漫画よしあし10巻以上の漫画レビュー専門サイト
レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:

MOONLIGHT MILE の感想と評価(良いところ、悪いところ)

MOONLIGHT MILE

著者: 太田垣康男

連載: ビッグコミックスペリオール

ジャンル: 青年漫画SF漫画

評価: 8/10

あらすじ

エベレストの頂に立った二人の男が、次の到達点に選んだのは宇宙だった。月でヘリウム3が見つかり、大がかりな月開発が動き出す。建設会社に入った猿渡吾郎は現場の腕とガッツで認められ、民間人のまま宇宙ステーションや月面基地を組み上げていく。かたや米軍に入ったロストマンは、エースパイロットとして軍と政治の渦に飲み込まれる。同じ夢を追いながら、二人の道は光と影に分かれた。やがて月の資源をめぐる米中のにらみ合い、表に出ない宇宙での戦闘、月に生まれた子どもたちの受難まで描かれ、夢の裏側にある泥もすくい上げられる。汗と鉄の匂いを乗せて突き進む宇宙開拓ドラマ!

読む前に確認したい相性

向いている人

  • 現実の国際情勢がそのまま地続きになった硬派な近未来SFを、腰を据えてじっくり読みたい人
  • 3DCGで組んでから描かれたメカや月面基地の絵を、一コマずつじっくり眺めて楽しみたい人
  • 夢を追う男たちの熱さだけでなく、開発の裏に生まれる貧しさや影の部分まで見届けたい人

向いていない人

  • 物語の主役が途中で入れ替わる長い群像劇が苦手で、一人の視点のまま最後まで追いたい人
  • 資源の奪い合いをめぐる政治や軍事の駆け引きが長く続く展開を、まどろっこしく感じる人
  • 整った絵で通して読みたくて、続きが下書きのままの配信になる点が気になってしまう人

良い感想・レビュー

  • 吾郎とロストマン、光と影に分かれた二人を最後まで対比させる組み立てに唸った。和解の場面で見せた気の置けない親友の笑顔がまぶしくて、そこだけは何度も読み返している。
  • ロケットの打ち上げ、米中の宇宙戦争、人類初の月生まれの子。毎回とんでもない速さで話が動くから、俺はずっと興奮しっぱなしだった。分厚いページの読み応えがまたたまらない。
  • 表舞台には出てこない米中の戦いが描かれ、終盤は敵同士が手を組む大気圏突入へなだれ込む。この熱さ、一冊読んだだけで映画を一本観たような気分になれる。
  • 3DCGとレゴでメカを組んでから描いていると知って納得した。メカ作画の異様な密度はほかでなかなか見かけない。近未来SFを硬派に浴びたい人には、強くすすめたい。
  • 月面都市が動き出しても、その裏のスラムや難民から目をそらさない。開発の影を描き切る姿勢に好感が持てるし、そちら側にも大事な人物をきっちり置いてくるのがうまい。

悪い感想・レビュー

  • 全巻通して読むと、一本の線でつながっているとは言いにくい。途中で話ががらっと変わり、主役が息子へ移る。二人の出番が減った第二部には、俺にはだれてしまう部分があった。
  • 10年近い長期休載はさすがにこたえた。作者が別の作品を描いている間ずっと続きが止まったままで、そっちより先を読ませてほしかったし、待たされ続けたもどかしさが今も残る。
  • 再開後は作者の腱鞘炎の影響で、ペン入れ前の下書き状態のまま配信されている。前の緻密な絵を知っているだけに、ネーム版で読む寂しさはどうしても否めない。
  • 月の資源をめぐるドロドロした政治の話が、後半の主体になっていく。序盤は薄かったその色が露骨に出てきて、政治描写の後味が自分にはどうにも合わなかった。
  • 古典の名作と聞いて開いたら、1巻の冒頭から刺激的な描写が続き、本筋とかけ離れていて面食らった。話に絡まないおまけにしか思えず、自分はそこを飛ばして読んでいる。

同じジャンルの漫画