レビュー著者: 漫画よしあし
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MOONLIGHT MILE の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 「宇宙開発は綺麗事ではない」という冷徹な政治的リアリティと、男たちの剥き出しの野心が真っ向からぶつかり合う様が、凄まじい筆致で描かれていて、ページをめくるたびに胸が熱くなるどころか焼かれるような衝撃でした!
- 主人公の二人、自由奔放な吾郎と、権力の頂点を目指すロストマンの対照的な生き様。かつての親友が、いつしか世界の命運を分けるライバルとして対峙していくドラマには、一言では言い表せない深い感慨があります。
- 太田垣先生の描く、メカニックの圧倒的な精密さと宇宙空間の静謐な恐怖の描写。ボルト一つ、計器一枚にまで宿る説得力が、まるで自分が本当にISSや月面に立っているような没入感を与えてくれます。
- 「科学の進歩が、同時に戦争の道具にもなる」という重いテーマを真正面から扱い、現代社会が抱える矛盾を宇宙という舞台で鋭く抉り出している点に、他の漫画にはない知的な凄みを感じました。
- 全24巻(完全版)を通して、「人間はなぜ空を目指すのか」という根源的な問いに対する男たちの答えを見届けた時、あまりのスケールの大きさに、ただただ茫然と夜空を見上げたくなるような、そんな傑作です。
悪い所
- 登場人物たちの性格がかなり強烈で、かつ性的・倫理的に過激な言動も多いため、清廉潔白なヒーロー像を求めている人には、彼らの野蛮さやエゴに強い拒否感を感じてしまう場面があるかもしれません。
- 物語の途中で、それまでの主人公視点が別のキャラクターに移る期間があり、吾郎たちの活躍をずっと追いかけたかった自分としては、少し物語の焦点がぼやけてしまったように感じて退屈した時期がありました。
- 政治的な駆け引きや軍事的な用語がかなり専門的で、知識がないと「今、どの国がどの勢力と何を争っているのか」というパワーバランスを正確に把握するのに、かなりの集中力と根気を要する漫画です。
- 中盤以降の、ある「衝撃的な技術的飛躍(あるいは変化)」について、初期の地に足の着いたリアルな宇宙開発が好きだった読者からすると、「少し別のジャンルになってしまった」という違和感を抱く可能性があるかも。
- 一部の女性キャラクターたちの扱いが、あくまで男たちの野心を引き立てるための道具的に映ってしまう場面があり、現代の感覚から見ると、少し偏ったジェンダー観を感じてしまうことが不満として挙がるかも。





