# 陽だまりの樹

## 基本情報

- 著者: 手塚治虫
- 連載: ビッグコミック
- ジャンル: 医療・ヒューマンドラマ、歴史・時代劇
- 評価: 8.9/10
- 最終更新日: 2026年06月11日
- 元ページ: https://mangayoshiashi.com/manga/90682531-ff2c-4025-835f-94e1a9237a99

## あらすじ

陽当たりのいい場所でぬくぬく育った大木が、内側をシロアリに食い荒らされて倒れるのを待つだけになっている。それが、腐りきった幕末の幕府だ。物語は安政から明治維新へ、対照的な幼馴染みの二人を軸に転がっていく。義を曲げられず世渡り下手な下級武士・伊武谷万二郎は、滅びゆく幕府を最後まで守ろうとする。道楽者で女好きの医師・手塚良庵は、適塾で福沢諭吉らと机を並べ、コレラや天然痘と格闘する。良庵のモデルは、手塚治虫の実際の先祖だ。万二郎は上野の炎へ、良庵は西南戦争の戦地へ。そして最後の一行で、良庵の正体が明かされる衝撃の幕末譚！

## 良い所

- 面白い、面白過ぎる。これまで未読だったのが悔やまれます。170年前が地続きで存在したと思える説得力がすごくて、**登場人物が紙の上で生きている**ように感じました。
- 全巻一気に読みました。「当たり前」が崩れていく様子が見事で、良い悪いの視点でこの漫画は語れない。そういう物差し自体を超えてくる、めったにない作品でした。
- 義理に生きる伊武谷万二郎と人情に生きる手塚良庵、その**対比をはじめ登場人物それぞれの魅力**にやられて、手塚作品の中でも特に好きな一作になりました。
- 最終巻の怒涛の展開から、あの**一番最後の衝撃的な一文**でしめる終わり方が本当に好き。1人で読んでたのに「マジかよ…」と独り言が漏れてしまいました。
- 歴史に名を残さず去った人間を土台にして残るやつなど許せない。**居たかもしれない人物のあったかもしれない物語**という一節が、ずっと頭から離れません。

## 悪い所

- 絵が手塚治虫らしく癖があるので、正直読み始めるのにずいぶん時間がかかりました。でも話の先が頭から離れなくなって、最後まで読まずにはいられませんでした。
- 主人公の良庵が**適塾でひたすら怠惰**なのに、どんどんイライラしてきました。義理一途な万二郎のほうが精神的に大人に見えてくるのが、なんとも複雑な読後感でした。
- 盛り上がりに欠けるので、手塚作品にしてはメジャーにならなかったのも分かる。ただ実在の人物が題材だから都合よく進まない、そのリアルさが逆に良かったです。
- 漢方を勉強している身として、**漢方医があまりに無能に描かれている**のは我慢ならなかった。蘭方だけを持ち上げる描写ばかりが続いて、正直がっかりです。
- その後の歴史を知っている読者としては、何とも歯痒い思いが残りました。**万二郎の生死が明確にされない**まま終わるので、もやもやがずっと消えないんです。
