レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
お前、タヌキにならねーか? の感想と評価(良いところ、悪いところ)
お前、タヌキにならねーか?
マークダウンで表示著者: 奈川トモ
連載: comic POOL
評価: 9.1/10
あらすじ
毎日クタクタになるまでがんばりすぎて、心がポキッと折れそうな現代人。そんな彼らの前にふらりと現れるタヌキのこがね丸が、大きな丸い目で見つめながら問いかける。「お前、タヌキにならねーか?」。線路に吸い込まれそうだったOLや、他人を信じられないホストが、一時的にモフモフのタヌキに変身!四つん這いになって、おにぎりを食べて、ただ風を感じるだけで、凍りついていた心がゆっくりと溶けていく。押し付けがましい説教は一切なし。ただそっと寄り添い、忘れていた「生きる余白」を思い出させてくれる、現代を懸命にサバイブする大人たちのための極上のハートフル温情ファンタジー!
良い所
- 私は残業だらけの毎日に疲れ切っていた時、「がんばれ」じゃなく「一回タヌキになって休もう」って全肯定してくれるこがね丸の優しさにガチで救われて、部屋で一人でボロボロ泣いた。本当に心が救われる。
- こがね丸たちの丸っこいフォルムや、商店街でコロッケを買い食いするおバカで無邪気な仕草がまじで愛おしすぎる。ただページを眺めているだけで、ささくれ立った心がふっかりと丸く解れていくのが分かる。
- 助けられた野々原さんたちが、タヌキの姿を借りて人間としての肩書きを捨て、少しずつ自分を愛せるようになっていく過程が本当に丁寧。ただの現実逃避じゃなく、明日を生き直すための余白をくれる感覚になる。
- こがね丸と、救われた人間たちがその後もゆるいコミュニティを作ってお互いを支え合い続ける優しい世界観が大好き。孤独に戦う現代人にとって、こういう「サードプレイス」の描き方はリアルに心に染み渡る。
- 「タヌキになると、人間だった頃の悩みがちっぽけに見える」というシンプルなメッセージが深く刺さった。おにぎりを両手で持って美味そうに食べるタヌキたちを見て、私も少し肩の力を抜いて生きようと思えた。
悪い所
- 限界の人間に会ってタヌキにして癒やすというオムニバス形式の展開が基本的に同じパターンの繰り返しなので、一気に読むと中だるみを感じた。もう少しストーリー全体を引っ張る大きな軸や謎が欲しかったな。
- 奈川先生の色鉛筆のような手描き風のふんわりとした柔らかいタッチはタヌキの毛並みには合うけど、線のクッキリした綺麗なデジタルアートを好む僕としては、全体的に少し絵がラフに感じてノイズになってしまった。
- タヌキになって一時的に癒やされても現実のブラック企業や毒親が消えるわけじゃないから、そこが解決しないまま「救われた」となるファンタジーな着地に、少し現実的な冷めたモヤモヤを感じてしまったのが本音。
- キャラクターがみんな優しすぎて、葛藤や悪意のない「綺麗事だけの優しい世界」に、ひねくれた性格の私は途中から少し飽きてしまった。物語としてもっと強烈なライバルや、不条理な毒気が欲しかったなと思う。
- ホストのハヤトとか初期の性格がかなり悪めなキャラクターが、タヌキになっただけで急に改心していい奴になるのが少し強引に思えた。人間としてのドロドロした内面の変化を、もう少しじっくり描いてほしかった。
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