レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
血の轍 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
血の轍
完結著者: 押見修造
連載: ビッグコミックスペリオール
評価: 8.4/10
あらすじ
群馬の小さな町で暮らす中学二年の少年は、若く美しい母から惜しみない愛情を受けて育った。だが夏の山登りの日、崖から落ちかけた従兄弟を、母は助けるどころか微笑みながら突き落とす。見てしまったことを誰にも言えず、少年の言葉は喉に詰まりはじめる。自分をわかってくれるのは母だけだと思うほど、二人の距離は縮まりすぎていく。好きになった同級生との細い糸も、母の手でゆっくりほどかれていく。逃げ場のない家の中で、どこまでが自分の気持ちでどこからが母のものなのか、少年にはもうわからない。読むこちらの呼吸まで浅くなり、それでも目を離せなくなる。愛と呼ばれてきたものの正体をむき出しにする、静かな地獄!
読む前に確認したい相性
向いている人
- 派手な事件よりも、静かな狂気がじわじわ日常を侵していく怖さを腰を据えて味わいたい人
- 台詞よりも目線や表情で語る漫画が好きで、描き込みだけで心の内を読ませる作画にのめり込める人
- 親子の距離感や家族という関係が抱える息苦しさについて、読み終えたあとも考え込みたい人
向いていない人
- 読み終えたあとに気持ちが軽くなる話を求めていて、後味の悪さが長く残る重さには向き合いたくない人
- 逃げ場のない家庭内の支配や虐待の描写が重く、気持ちが弱っているときは距離を置きたい人
- 登場人物に共感できないと物語へ入れず、理屈では割り切れない母子の結びつきにいらだってしまう人
良い感想・レビュー
- モノローグが一切ないのに、母が何を考えているかは表情だけで伝わってくる。同級生みたいに可愛い顔のまま平然と人を突き落とす母親、あの見開きで背筋が凍りました。
- 明るい気持ちにはまるでならないのに、途中でやめられなくなる。BGMの消えた映画館で二人のやりとりだけを見つめているような静けさが紙の上から伝わってきて、読んでいる間ずっと落ち着かなかった。
- はじめは母の静かな狂気がただ怖かったのに、読み進めるうちに見方が変わる。母をそこまで追い詰めた過去がさりげなく挟まれていく作りで、途中から憎みきれなくなっていく。
- 「早く楽になってほしい」と祈るように読み続けました。年老いて赤ん坊へと戻っていく母を、それでも息子は見捨てません。無償の愛は親から子ではなく子から親へ向かうのだと思い知らされました。
- 無料分だけのつもりが止まらなくなり、課金を重ねて最後まで読んでしまった。夢の中でだけ叶う、ごく普通の親子のやりとりに涙があふれて、しばらく画面から顔を上げられない。
悪い感想・レビュー
- 群馬に縁がある身としては、方言が中途半端に混ざる喋り方がどうしても引っかかった。地方の親戚づきあいの息苦しさを出したいのはわかるけれど、耳で拾う言葉としては受けつけない。
- 冒頭から気分が悪くなりました。道端で死んでいる猫を子どもに触らせ、理由を尋ねられた母は微笑むだけ。死を前にしても顔つきが優しいままの母親が気味悪くて、先へ進むのがつらかったです。
- 最後まで読みましたが、評価はつけられません。ここまで母の言いなりになってしまう息子の従順さが現実の男の子とはかけ離れて見えて、かわいそうという気持ちより先に違和感が残りました。
- 怖いし気持ち悪いし、まとめて読み進めるのは無理でした。隅まで手描きで埋めつくされた画面のねっとりした感じが陰湿さを増していて、何ページかごとに手が止まってしまいます。
- 母が壊れたのは周りの環境のせいだ、という描かれ方に納得がいかない。同じ立場でも子に頼らず生きる人はいるはずで、壊れた理由を環境へ押しつけていく筋立てが飲み込めず、途中で読むのをやめた。
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