レビュー著者: 漫画よしあし
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ホーリーランド の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 「なぜ暴力が生まれるのか」という路上での喧嘩の心理描写や、具体的な格闘技の技術解説が極めて論理的で、格闘漫画としての説得力が他の作品とは桁違いです!読んでいるうちに、自分も少し強くなったような錯覚を覚えました。
- 主人公のユウが、戦いを通じて他者と繋がり、初めて「自分の居場所」を実感していく過程に、震えるほどの感動を覚えました。単なる暴力ではなく、魂の叫びとしての拳。その切実さに、何度も胸が締め付けられました。
- 森先生の描く、深夜の静謐な空気感と、突発的に起こる暴力の鮮烈なコントラストが本当に美しい。夜の街という「異世界」でしか生きられない少年たちの孤独が、全ページからヒリヒリと伝わってきます。
- 「路上のカリスマ」マサキさんをはじめとする、敵対者たちとの魂の共鳴が熱いです。敵だった相手と拳を交えることで分かり合える、という使い古されたテーマが、これほどまでに説得力を持って描かれた例を知りません。
- 全18巻、ユウが最後に辿り着いた「自分の聖域(ホーリーランド)」の答えを読み終えた時、しばらく本を閉じることができませんでした。孤独に悩むすべての若者に、そしてかつて少年だった大人に読んでほしい、一生モノの傑作です。
悪い所
- 主人公の心理描写が非常に繊細で深いのですが、物語全体に漂うトーンが終始一貫して暗く重いため、スカッとする爽快な格闘モノを求めている人には、少し陰鬱すぎて疲れてしまう場面があるかもしれません。
- 森先生特有の、「作者による客観的な解説ナレーション」が頻繁に入るため、物語のテンポを崩されているように感じてしまう読者がいるかもしれません。じっくり理論を学びたい人には最高なのですが、好みが分かれます。
- 初期の絵柄が少し不安定で、キャラクターのデッサンに違和感を抱くページが一部にありました。物語の熱量でカバーされているのですが、最近の綺麗な作画に慣れている人には、導入部分で少し壁を感じるかもしれません。
- 格闘技の技術に関する主張がかなり強く、特定の流派や技術を神格化しているように見える箇所がありました。格闘技経験者の中には、そうした理論的な偏りに対して、少し批判的な目で見てしまう瞬間があるかもしれません。
- 結末の後の描写がもう少し具体的であれば、という、余韻を楽しみつつも物足りなさを感じるファンの声がありました。主人公がその後どう生きていくのか、もう少しだけ未来の断片が見たかったな、というのが正直な願望です。





