レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
だんドーン の感想と評価(良いところ、悪いところ)
だんドーン
著者: 泰三子
連載: モーニング
評価: 8.6/10
あらすじ
幕末。龍馬が薩長同盟を仲介し、新撰組が京を駆けた時代の裏側で、地味に、それでも確実に「仕事」をやり抜いた男がいた。薩摩藩士の川路正之進は、太鼓の腕を島津斉彬に見込まれて側近に取り立てられる。西郷吉之助とともに国を変えようと動き出した矢先、斉彬は政敵の手で命を落とす。安政の大獄、そして桜田門外に響く一発。川路は軍資金を運び、暴走しかけた仲間を引き剥がす。危うい密命が次々と降ってくる。刀ではなく、情報と人の機微で局面を動かす立ち回りが、笑いを連れて転がっていく。のちに日本警察の父と呼ばれる男が、まだ何者でもなかったころ。ややこしいはずの幕末を腹を抱えて読ませる、薩摩の青春譚!
読む前に確認したい相性
向いている人
- 学校の授業では幕末で挫折したけれど、笑いながら時代の流れを飲み込みたいと思っている人
- 力で押し切る強さよりも、情報と人の機微で局面を動かす主人公の立ち回りに痺れたい人
- 作者の前作で笑った人はもちろん、ギャグの切れ味と重い史実が同居する物語を求めている人
向いていない人
- 登場する名前や勢力が増えると混乱してしまい、込み入った歴史の筋を追うのが苦手な人
- まじめな時代物を読みたいのに、合間に下ネタ混じりの笑いが挟まると気持ちが冷める人
- 史実の解釈は中立であってほしく、書き手の色が濃く出た歴史の描かれ方に引っかかる人
良い感想・レビュー
- 桜田門外での襲う側と守る側、その死闘をどちらも省かずに描き切っていて、若い武士たちの最期には泣きました。郷中制度や稚児文化まで噛み砕いて見せる書きぶりにも助けられます。
- 川路って誰、と思いながら読み始めた俺が、いつのまにか目で追っている。力で押すのではなく情報と人の機微で場を動かすまともさが、有名人だらけの幕末でやたら光って見える。
- 幕末は複雑で血なまぐさくて苦手だったのに、読んでみたら大正解でした。1話の中で笑って泣いて怒ってハラハラする、その密度の濃さとテンポの良さに圧倒されます。
- 学生の頃、日本史の授業ではさっぱりだった内容が、この漫画だとすっと頭に入ってきます。お堅い政治の話をゆるく噛み砕いて見せる構成のおかげで、今更ながら腑に落ちることが多いです。
- とにかく笑える。薩摩ホグワーツと呼びたくなる過激な藩の描かれようは、事実だとしたら薩摩ヤバいなと唸るしかない。実在の人をどこまで笑いにしていいか悩む作者の長文も、また面白い。
悪い感想・レビュー
- 幕末ものはもともと好みではなかったのですが、内容自体はいい出来だと思います。ただしっかり読み込まないと置いていかれる難しさがあって、一巻を読み終えるのにかなり時間がかかりました。
- 西郷隆盛や島津斉彬を描いた漫画は他にもありますが、川路については大警視になってからのエピソードのほうが多い印象です。若き日の話は面白い分、絵が可愛くてほのぼのしすぎているようにも感じました。
- 小ネタで笑わせる腕は文句なしなのに、何話にもまたがる大きな筋になると引っ張る力が弱まる気がする。この作者は一話完結のほうが合っているんじゃないか、というのが正直なところだ。
- 無料アプリで読み続けている作品です。これはこれでいいのですが、明治維新をどう評価するかという重い論点も絡む題材なので、司馬遼太郎作品ほどの鋭さが欲しくなる瞬間があります。
- 薩摩藩の描かれ方がとにかく野蛮で、下ネタも多くて笑いどころとしては強すぎるくらいです。怪物みたいに強すぎるタカというキャラは、都合が良すぎて少し引っかかりました。










