レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
太陽の黙示録 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
太陽の黙示録
完結著者: かわぐちかいじ
連載: ビッグコミック
ジャンル: 青年漫画/SF・架空戦記/パニック・ディザスター/政治漫画
評価: 8.3/10
あらすじ
巨大地震と富士山の噴火が立て続けに襲い、東京も関西も沈んだ。列島の真ん中には深い海峡が走り、日本は南北ふたつに裂かれる。南にはアメリカ、北には中国が乗り込み、故郷を捨てて海を渡る人が後を絶たない。震災で記憶をなくし台湾で育った政治家の孫・柳舷一郎は、自分の出自を知って分断された祖国へ戻る。一方、福岡の町工場から這い上がった宗方操は、軍事の力で強い日本を取り戻そうとする。武器を握るのか、手を差し出すのか。真逆の答えを選んだ二人が、灰に覆われた土地で新しい国の主導権を奪い合う。絵空事だと笑えないまま最後の一コマまで連れて行かれる、国家再生のドラマ!
読む前に確認したい相性
向いている人
- 災害そのものより、壊れた国をどう作り直すかという駆け引きを最後まで追いかけたい人
- もしも日本が二つに割れたらという仮定を、地図や政治の動きまで詰めて見せてほしい人
- 理想を語る指導者と力を信じる指導者、正反対の信念がぶつかる長い物語に腰を据えて向き合いたい人
向いていない人
- 会議や交渉の場面が長く続くと足踏みに感じてしまい、物語の速度が落ちる展開が苦手な人
- 大災害そのもののスペクタクルだけを求めていて、その後の国づくりの話には気が向かない人
- 最後にすべての謎が鮮やかに収束する幕切れを求めていて、静かな着地では物足りない人
良い感想・レビュー
- 主人公が演説ではなく飯を出して相手の警戒を解いていきます。腹を満たすところから人の心を動かすやり方が、屋台で育った生い立ちと重なっていて唸りました。追い詰められた男が壊れていく場面も圧巻です。
- 震災で国が割れ、南北それぞれに別の大国が後ろ盾としてつく。そこから先の駆け引きが細かく、政治の話が苦手な私でも架空の設定なのに国際ニュースを追っている気分になった。
- 日本人が難民として海を渡り、着いた先で厄介者扱いされる場面がやけに生々しい。国が明日なくなるかもしれないという前提を突きつけられて、読んでいる間ずっと落ち着かない。
- 後ろ盾のアメリカ人は自国の利益を優先し、宗方も日本人であることを捨てきれずにいます。互いの取り分を計算し合ううちに誰も望まない結末へ転がる流れが冷たく、読みながら背筋が寒くなりました。
- 終盤で二人が手を握る場面まで来たとき、ここまで付き合ってきてよかったと胸が詰まる。武器を持つ国と持たない国のどちらが人を守れるのかという問いを、答えを押しつけずに置いていく終わり方も好きだ。
悪い感想・レビュー
- この作者の別の代表作にはまってから手に取ると、期待の分だけ落差を感じます。広げた風呂敷に対して結末の熱量が足りないので、盛り上がりの頂点を求めて読むと少し拍子抜けするかもしれません。
- 災害そのものの絵を期待して読み進めると、途中から会議と交渉ばかりになる。国土が壊れた後は延々と政治劇が続くため、崩れていく列島の迫力を見たかった気持ちは早々に置いていかれた。
- 硬派な政治劇の合間に差し込まれる男女の話だけ、自分にはどうにも浮いて見えた。恋の行方が物語の芯と噛み合わないまま進むので、そこだけ気持ちが入り込めない。
- 終わりが見えてからの進み方が急で、打ち切りを疑ってしまいました。最後の数歩だけ駆け足で通り過ぎるような閉じ方は、長く付き合ってきた読者ほど物足りなく映るはずです。
- 主人公の理想が、周りの利害と噛み合わないまま押し通される場面がある。綺麗事に見えるほど主人公が理想を曲げないので、大国の思惑を冷めた目で追っていると乗り切れない箇所が残った。
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