レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
最強伝説黒沢 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
最強伝説黒沢
完結著者: 福本伸行
連載: ビッグコミックオリジナル
ジャンル: 青年漫画/格闘・バトル/コメディ/人情・ヒューマンドラマ
評価: 8.3/10
あらすじ
テレビの中では誰かが盛り上がっている。でもどんなに熱くなっても、あれは他人の祭りだ。オレの、オレだけの感動が欲しい。土木の現場で二十六年働いてきた四十四歳の黒沢は、そう気づいてしまう。家族もなく、慕ってくれる後輩もいない。人望がほしい一心で動き出すのに、差し入れも気遣いもことごとく裏目に出て、笑われ、避けられ、道端の人形にひとり話しかける夜が続く。それでも理不尽な暴力が目の前に現れたとき、この情けない男だけが逃げなかった。誰も守ろうとしない弱い者たちの前に立ち、ぼろぼろになりながら一歩も引かない。みっともなさと誇りが同じ顔で殴り合う、福本伸行の人間賛歌!
読む前に確認したい相性
向いている人
- 人望も居場所もない焦りを抱える自分を、みっともなくても抗おうとする主人公の姿に重ねたい人
- 賭け事や専門知識がなくても入れる、台詞ひとつで背中を押される人間ドラマを探している人
- 情けない笑いと熱い場面が交互に来る、格好悪さと誇りが同居する主人公を好きになれる人
向いていない人
- 善意が空回りして周りに迷惑をかける描写を延々と見せられるのがつらい、共感性羞恥が強く出る人
- 働く中年の悲哀を期待していて、後半が本格的な殴り合いに傾く展開には戸惑ってしまいそうな人
- 読み終えたあとは明るい気持ちで本を閉じたいので、尾を引く切なさが残る終わり方は避けたい人
良い感想・レビュー
- 麻雀も賭け事も出てこないのに、福本作品の濃さはそのままでした。やることなすこと裏目に出る哀れさが、そのまま笑いになるので、重い話のはずなのに何度も吹き出してしまいます。
- 胸に刺さる台詞が多すぎる。孤独な中年の独り言のはずが、こっちの人生にまで手を伸ばしてくる。誇れる物語が自分にもあると言い切る強さに、終盤は目が滲んで文字が追えなくなった。
- 人生の折り返しを過ぎた私には効きすぎた。ずり落ちる一方だった男が立ち上がり、まわりまで巻き込んでいく。同じ場所でくすぶる人間を引きずり起こす熱があって、明日から少し動いてみようという気になれる。
- 敵に向かって真っ直ぐ言葉を投げる場面で心を掴まれた直後、とんでもない奇行で全部台無しにしてきます。まっとうな感動と最低な行動が交互に来る落差が癖になって、最後まで振り回されっぱなしでした。
- 中年の悲哀だけかと思ったら、後半は本気で熱いぶつかり合いになる。人の生き方を語る切れ味そのままに拳まで出てくるとは。語り口の重さに比べて読み切れる長さなのもありがたく、するする読み通せる。
悪い感想・レビュー
- 他人の弁当に勝手におかずを足す、後輩を連れ回して店で大騒ぎする。善意のつもりの行動が全部迷惑になっているのを延々見せられるのは、私にはかなりきつい時間でした。
- 歳が近いせいで笑えなかった。空回りがどうにも他人事に思えず、自分の駄目なところを鏡で見せられる感覚が続く。面白いのは分かるのに、読み進めるほど気持ちが沈んだ。
- 終わり方が尾を引きすぎる。悲しい結末の作品は他にも読んできたが、これは種類が違った。読み終えたあとに気持ちの置き場がなくなるので、明るい読後感がほしい日には向かない。
- 序盤の職場でのやりとりが好きだったぶん、中学生相手の抗争に移ってからは温度差についていけなかった。笑って泣ける話が殴り合いに置き換わる中盤は、正直そこだけ飛ばし読みしてしまった。
- 話の馬鹿馬鹿しさは好きなのですが、描かれる職場の空気も言葉遣いも今とはずれているのは引っかかります。土木の現場を知る人ほど楽しめる作りで、そうでないと少し入り込みにくく感じます。
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