レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
クロカン の感想と評価(良いところ、悪いところ)
クロカン
完結著者: 三田紀房
連載: 週刊漫画ゴラク
評価: 8.6/10
あらすじ
豆腐屋の手伝いをしながら高校野球の監督を務める黒木竜次、通称クロカン。口は悪いし采配はバクチ。後援会とぶつかり、甲子園の土を踏まないまま辞任した男が次に選んだのは、万年コールド負けの弱小校だった。部員からは指導料を取り、家計のために練習へ来られない剛腕投手には自腹で給料を払う。やることは無茶苦茶なのに、選手はなぜか変わっていく。突き抜けた一人の力で駆け上がった世代、廃校が決まって全員が複数の守備を背負う最後の世代。チームの形が変わるたびに、この男の引き出しが開いていく。粗暴なだけに見えた監督が誰よりも選手を信じていたと気づく瞬間の、しびれるような熱さ!
読む前に確認したい相性
向いている人
- 選手ではなく、指揮を執る大人の視点から試合の駆け引きを追うスポーツ漫画を読んでみたい人
- 表向きは口が悪く乱暴でも、その裏に相手を伸ばすための計算が隠れているタイプの指導者に惹かれる人
- 弱い学校が世代交代のたびに戦い方を変え、廃校寸前の窮地から頂点を狙う物語に燃える人
向いていない人
- 怒鳴り声や体を張った荒っぽい指導が長く続くと、読んでいるだけで気持ちがすり減ってしまう人
- 試合の場面だけを気持ちよく追いたくて、保護者や後援会の駆け引きが挟まるのは面倒に感じる人
- 絵の安定感を大事にしていて、連載の途中で線が荒れる時期がある長編は読み進めにくい人
良い感想・レビュー
- 野球を教える代わりに高校生から金を取る監督なんて初めて見た。指導にきちんと対価を払わせる筋の通し方が効いていて、試合のテンポも良く、最後の決着が三振ではなく外野ヒットだったことにも意表を突かれた。
- 廃校が決まった学校で最後の三年間を賭ける話なんて、他で読んだ覚えがない。エラーの恐怖を抱えたまま守備の要を任される主将が、投手も捕手も兼ねて役目をやり遂げる姿に、思わず片手でガッツポーズ。
- 監督が主役という型の先駆けで、序盤と中盤と終盤でチームの色も戦い方も変わっていくので飽きません。乱暴に見える言動の裏に選手を一番に考えた狙いが隠れている作りがあって、そのタネ明かしに毎回やられます。
- 最初は突き抜けた一人の力で勝ち上がり、次の世代は全員で守って打つ。チーム事情が変わるたびに采配の引き出しを開けていく展開に引き込まれました。仕事の心構えとして刺さる言葉が多いです。
- 型破りな監督に加えて、部内の分裂や保護者会のどろどろまで描かれる。きれいごとで済まない大人の事情まで踏み込む泥臭さがあるから、寄せ集めのチームがどうまとまって甲子園を目指すのか気になって仕方なかった。
悪い感想・レビュー
- 監督の目線で話が進むぶん、選手の伸び方が急すぎて首をかしげた。ボールをまともに扱えなかった子が翌年には全国の舞台に立つような飛躍で、弱かったはずの選手が一年で化ける速さにはついていけない。
- 序盤の丁寧な絵で油断していたら、中盤あたりから線がかなり荒くなる。話は面白いので読み進めたものの、絵の粗さで好みが分かれてしまう時期があるうえに題材も通好みで、人に薦めづらいのが正直つらかった。
- 監督と選手がぶつかって、しごかれて、最後に分かり合う。話の骨組みはしっかりしているのに、この流れが何度も繰り返されるせいで同じ型の衝突が続く中だるみを感じてしまい、読む速度が落ちてしまう。
- チームのために全部を投げ出しているのに、表向きは自分勝手な人間を演じ続ける。本心を隠したまま理不尽を押し通す指導に息が詰まって、自分が部員なら間違いなく途中で辞めていたと思う。
- 野球そのものの描写は文句なしで、試合の駆け引きにはうならされる。それだけに大人同士の政治が試合の熱気に水を差す場面が挟まると、面倒なおじさんたちのやり取りを飛ばして早くグラウンドへ戻りたくなった。
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