レビュー著者: 漫画よしあし
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もののがたり の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- オニグンソウ先生の描く、墨の質感を感じさせるような力強くも繊細な画風に、1ページ目から完全に心を奪われました。特にバトルシーンの構図の格好良さは、今の漫画界でもトップクラスの美しさです。
- 兵馬がぼたんや付喪神たちとの生活を通じて、頑なだった心を少しずつ溶かし、本当の「強さ」を見つけていく過程が非常に丁寧に描かれていて、親のような気持ちで見守ってしまいました。
- 敵対する付喪神たちにもそれぞれの「理(ことわり)」があり、単なる勧善懲悪ではない深みのある物語が展開される点が見事です。道具に宿る想い、というテーマが最後まで一貫していました。
- 全16巻、伏線を完璧に回収しての大団円のハッピーエンドには、読み終えた後に温かい涙と深い満足感がこみ上げてきました。これほど綺麗に、かつ熱く終わる作品はなかなかありません。
- スーツを纏った付喪神たちのキャラクターデザインがとにかくクールで、彼らがそれぞれの依り代を武器に戦うシーンは、何度読み返しても惚れ惚れするほどスタイリッシュです。
悪い所
- 物語の導入部において、主人公の付喪神に対する憎しみがかなり極端なので、彼の攻撃的な態度に最初は少し戸惑いや抵抗を感じてしまう読者もいるかもしれません。中盤以降は最高なのですが。
- 和風ファンタジーとしての設定が作り込まれている分、専門用語や家系の相関図が少し複雑に感じられ、物語の全貌を把握するのに少し時間がかかってしまう時期がありました。一気読みがおすすめです。
- 一部の重要なバトルシーンの決着が、少し精神論や勢いに頼っているように見える回があり、もっと理詰めの戦術的な攻防を期待していた自分には、少し物足りなさを感じる瞬間がありました。
- キャラクターの書き分けについて、特に中盤以降に登場する脇役たちが、似たような雰囲気の美男美女が多く、誰が誰だか一瞬混乱してしまうような場面が稀にありました。衣装などで判断はつくのですが。
- 物語が王道を行く構成なので、先の展開がある程度読めてしまう「ベタさ」が気になる人には、刺激が少し足りないと感じられる可能性があります。安定感を求める人には最高の傑作です。





