レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
裁判長!ここは懲役4年でどうすか の感想と評価(良いところ、悪いところ)
裁判長!ここは懲役4年でどうすか
完結連載: 週刊コミックバンチ
評価: 7.6/10
あらすじ
空調機器メーカーの営業・北尾太郎は、東京地方裁判所へエアコンの点検に出向いた合間、ふとした気まぐれで傍聴席に座ってみる。そこで目にしたのは、短い報道からはこぼれ落ちる赤の他人の剥き出しの人生だった。殺人、詐欺、覚醒剤、老いた親子の心中未遂。友人に心を支配されたまま凶行へ走った男、情けない言い訳を並べる小悪党。法廷で明かされる動機はときに滑稽で、ときに胸を締めつける。鋭い尋問で追い詰める女性検事、不当な自白強要に食い下がる弁護士。法律の素人だからこそ、人を裁く側に回る怖さも、罪を背負って生きる重さも、そのまま突きつけられる。傍聴席から覗いた、むき出しの人間模様!
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読む前に確認したい相性
向いている人
- 短いニュース報道では省かれてしまう罪に至るまでの事情や葛藤を、腰を据えて知りたい人
- 実際の裁判をもとにした法廷でのやり取りの緊張感を、素人の目線から味わってみたい人
- 軽い罪の滑稽さから重い事件のつらさまで、振れ幅の大きい人間模様をまとめて読みたい人
向いていない人
- 性犯罪の加害者へ同情的な言葉が並ぶ場面があるため、読んでいて気持ちが萎えてしまう人
- 登場人物を色気のある演出で飾る描き方が入るので、法廷ものには現実味だけを求める人
- 傍聴する側の軽口や野次馬めいた語り口が挟まるので、事件そのものを静かに受け止めたい人
良い感想・レビュー
- 有罪か無罪か、本当のところは当事者にしか分からない事件もあって、気づけば被告人の側にも検察の側にも心が傾いていました。罪に至るまでの葛藤を知って、情状酌量という言葉の重みが少し分かった気がします。
- 冤罪の弁護を担当した先生がとにかく格好いい。裁判前の雑談から本番へ切り替わる緩急の付け方に唸った。覚醒剤におぼれた母のために証言台へ立った娘の話も、語られる言葉と現実の落差が忘れられない。
- 一つの事件だけで一冊まるごと使い切る回があって、読み応えがすごかった。たった一人の友人に心を預けてしまう危うさは、友達の少ない俺にも分かってしまう。これが実話だというのが一番こたえる。
- 仮名になっていても、どの事件のことか見当がつくものが混じっています。だめな被告人の回は下世話に笑えて、重い罪の回はずしりと来ます。裁判を知らない人にも分かるよう説明が添えられているのも助かりました。
- 原作エッセイの空気そのままに、法廷の流れが絵で追えるようになっている。傍聴席からはこう見えるのかという発見が続いた。仕事で法律に関わっている身としては、自分の振る舞いを考え直す場面もあった。
悪い感想・レビュー
- 女性検事のキャラ付けだけはどうにも乗れなかった。芝居がかった口調に加えて、被告人に体を寄せて追い詰めるような演出まで入ってくる。現実の法廷を見せたい作品なのに、そこだけ別物の漫画になっている。
- 産んだ子を死なせてしまった元教師の回はつらかったです。相手の男を明かさない彼女に自己保身だと決めつける独白が差し込まれるのですが、一人で育てようとする人の事情を汲まない書き方だと感じました。
- 痴漢を扱った回だけは読んでいて気分が悪くなった。加害者に仕方ないと逃げ道を作るような調子が地の文にちらつく上、捕まった男へ投げる軽口まで出てくる。冗談で済ませていい話ではない。
- 掲載誌の休刊で話が途切れ、終わり方はすっきりしません。読むうちに引っかかったのは原作にはない主人公の野次馬めいた目線で、原作者視点で描かれた回の方が良かったです。
- 性犯罪の被告人に同情の言葉ばかりが並ぶ場面は、どうしても飲み込めませんでした。検察の真っ当な追及を言い過ぎだと受け取る書き方で、他人の裁判を見世物として眺める姿勢が透けて見えます。
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