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六法全書だけでは人は救えない。10巻以上の『弁護士・法律漫画』おすすめ11選

編集: 漫画よしあし
公開日:更新日:

法律漫画と聞くと、法廷で弁論が飛び交う場面を思い浮かべるかもしれません。でも実際に描かれるのは、敷金、相続、離婚、ネットの書き込みといった、隣の家で起きていてもおかしくない揉め事のほうが多いんです。

主役の顔ぶれにも幅があります。悪人だけを引き受ける偏屈な弁護士、植物ばかり気にかけている家裁の判事、書類と知恵で戦う行政書士、そして気まぐれで傍聴席に座った会社員。立っている場所が違えば、同じ法律がまるで別の顔を見せます。

10巻以上の長編にしぼって11作品を並べました。合う人と合わない人も正直に添えてあります。気になった一作から手に取ってみてください。

時間がない人向け結論:おすすめTOP3

  1. 第1話から、飲酒ひき逃げの犯人が法の抜け穴で執行猶予になる理不尽さを突きつけてきます。

  2. 基本は一話完結で気軽に読めるのに、法廷でひっくり返る回の切れ味が毎回効いてきます。

  3. わざと相手を怒らせて本音を引きずり出すやり方は汚いのに、なぜかよく効きます。

目次

選び方のポイント

  1. 1. 法曹の側から見るか、傍聴席から見るか

    弁護士や判事が主役の作品は、依頼人の話を聞き、手を打ち、結果を引き受けるところまで描きます。いっぽう傍聴席に座る素人が語り手の作品では、裁かれる人の人生が赤の他人の目に映ったまま置かれます。どちらの距離で事件を眺めたいかで、読み心地はずいぶん変わります。

  2. 2. 一話完結の切れ味か、長い一本の物語か

    一話ごとに依頼が片づいていく作りなら、通勤の合間でも拾い読みできます。反対に、ひとつの事務所や一人の新人を長く追いかける作りは、育っていく手応えや人間関係の積み重ねが効いてきます。腰を据えて読む時間があるかどうかで選ぶのも手です。

  3. 3. 弁護士の交渉か、行政書士の書類か

    同じ法律ものでも、法廷で争う話と、内容証明や申請の書類で道を開く話とでは手ざわりが違います。書類仕事を主役にした作品は、資格の中身を知らない読者にも伝わるように書かれています。お仕事ものとして読みたいなら、ここが大きな分かれ目です。

  4. 4. 後味のよさを取るか、割り切れなさを取るか

    悪い側がきちんと裁かれて終わる話ばかりではありません。救えなかった依頼人が残る作品も、加害の側にも事情があったと突きつけてくる作品もあります。読み終えたあとに何を抱えていたいか。そこを先に決めておくと、選び間違えにくくなります。

11作品の比較表

横にスクロールすると他の項目も見られます

順位作品名ジャンル完結状況評価特徴向いている人
1九条の大罪九条の大罪青年漫画/社会派ドラマ/法律/サスペンス連載中9.3/10第1話から、飲酒ひき逃げの犯人が法の抜け穴で執行猶予になる理不尽さを突きつけてきます。法が守るのは正しい人だけではない、という現実をまっすぐ見たい読者に刺さります。取材の厚みに裏打ちされた社会の暗がりから目をそらさずに読める人ほど、深く入り込めるはずです。感情を挟まず損得だけで動く主人公の流儀に痺れたい人にも向いています。
2家栽の人家栽の人青年漫画/ヒューマンドラマ/法律完結8.8/10基本は一話完結で気軽に読めるのに、法廷でひっくり返る回の切れ味が毎回効いてきます。勝ち負けの決着より、当事者の心の奥がほどけていく過程を追いたい読者に届きます。結論を急がず、傷ついた子どもが育つのを待つ大人のまなざしに触れたい人向き。教師や親として子どもと関わっている人ほど、読みながら考え込む場面が増えるはずです。
3弁護士のくず弁護士のくず青年漫画/ブラックコメディ/法律完結8.4/10わざと相手を怒らせて本音を引きずり出すやり方は汚いのに、なぜかよく効きます。清廉潔白なヒーローに物足りなさを覚える人ほど、建前より本音でぶつかる主人公が効きます。第一印象が最後にひっくり返る話を、一話完結で気楽に追いかけたい読者向け。世間で当たり前とされている常識を疑う目線に触れて、自分の思い込みを点検したい人にもはまります。
4弁護士のくず 第二審弁護士のくず 第二審青年漫画/ブラックコメディ/法律完結8.5/10つじつまの合わない証言の裏にあるものを解きほぐしていく運びが面白く、下手な推理小説より上だという声まで出ています。前作の毒はそのままに、社会の揉め事を一話ずつ読ませてほしい人に向いています。法律の盲点と人の心の裏を突いて真実へたどり着く運びに、痛快さを求める読者にも刺さります。綺麗事では誰も救えないという構えのまま、それでも救いを探していく姿勢に納得したい人なら、なおさら。
5しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~法律/リーガル/社会派連載中8.4/10開示請求にかかる費用感や手続きの流れまで細かく描かれていて、勉強になったという声がたくさん出ています。SNSの誹謗中傷や情報開示の手順を、物語のかたちでざっくり知っておきたい人向けです。ドライに見えて筋は通っている仕事人の型が好きな読者にもはまります。加害と被害のどちらの心理もフラットに見せてくるので、単純な善悪では読みたくない人にも合います。
6そこをなんとかそこをなんとかお仕事/少女漫画/ヒューマンドラマ/法律完結8.3/10堅苦しい言い合いはほとんどなく、もめている双方の言い分を噛み砕いて見せてくれるので、法廷の外のやりとりのほうが面白く読めます。大きな法廷劇より、もめごとの当事者どうしのやり取りを丁寧に追う話が好きな人に届きます。相続や詐欺、自己破産といった暮らしのすぐ隣にある揉め事を、身構えずに知っておきたい読者向き。頼りない新人が場数を踏んで一人で仕事を回せるようになるまでを、ゆっくり見守りたい人にも。
7カバチタレ!カバチタレ!青年漫画/お仕事/社会派ドラマ/法律完結8.2/10堅苦しいと思っていた法律が、読み始めると楽しくなってきます。敷金や借金、相続といった暮らしの揉め事が、法律という武器でどうひっくり返るのかを見届けたい人に向いています。きれいごとで終わらせず、人の欲や弱さまで踏み込む人間ドラマを味わいたい読者にも刺さります。新米が現場で叩き上げられていく泥くささが好きで、腰を据えて読みたい人向け。
8特上カバチ!! -カバチタレ!2-特上カバチ!! -カバチタレ!2-青年漫画/ヒューマンドラマ/法律/経済完結8.2/10最後の長編は所長が主役で、だらしない若者が一つの家族に入り込み、じわじわと崩れていく予感だけが積もっていく運びが忘れられないという声が出ています。身近な揉め事が法律の手順どおりに解きほぐされていく過程を、順を追って知りたい人に向いています。理不尽な目にあったとき泣き寝入りせずに戦う知恵を、物語から受け取りたい読者にも刺さるはずです。立場も流儀も違う実務家どうしが、ぶつかり合いながら手を組んでいく関係にぐっとくる人にも。
9カバチ!!! -カバチタレ!3-カバチ!!! -カバチタレ!3-青年漫画/ヒューマンドラマ/法律/経済完結8.2/10飲食店の無断キャンセルの回では、言い分の矛盾を法の理屈で崩していく手際がよく、誰も損をしない落としどころまで運んでくれます。身の回りで起きそうな揉め事が、法律でどこまで解決できるのかを順に知りたい人に向いています。頼りないままの主人公が周りに叱られながら育っていくのを、長い時間をかけて見守りたい読者向き。後味の苦い結末も含めて、きれいごとだけでは片づかない人間模様をそのまま受け止めたい人にもはまります。
10裁判長!ここは懲役4年でどうすか裁判長!ここは懲役4年でどうすか青年漫画/エッセイ/ヒューマンドラマ/法律完結7.6/10有罪か無罪か当事者にしか分からない事件もあって、気づけば被告人の側にも検察の側にも心が傾きます。短いニュースでは省かれてしまう、罪に至るまでの事情や葛藤を腰を据えて知りたい人に向いています。実際の裁判をもとにしたやり取りの緊張感を、素人の目線から味わってみたい読者にも刺さります。軽い罪の滑稽さから重い事件のつらさまで、振れ幅の大きい人間模様をまとめて読みたい人向け。
11島根の弁護士島根の弁護士青年漫画/ヒューマンドラマ/法律完結7.5/10弁護士は法と人をつなぐ役目だという考え方に、素直にうなずけたという声が出ています。法律知識の見せ合いより、依頼人の気持ちを少しずつほぐしていく仕事ぶりに惹かれる人に届きます。一話ごとにきちんと決着がつく人情味の濃い読み切りを、肩の力を抜いて読みたい読者向き。若くて志の高い主人公がまっすぐぶつかっていく姿を見て、背筋を伸ばしたくなる人にもはまります。
1

九条の大罪

悪人ばかりを救う弁護士!?法律とモラルの限界に挑む、あまりに非情な法廷サスペンス!

この特集で選んだ理由

11作のうち、法を守る側ではなく法の抜け穴を使う側に立ち続ける唯一の主人公です。人情で決着をつける他の作品と正面からぶつかる立ち位置なので、このリストの振れ幅をいちばん広げてくれます。

九条の大罪
作者
真鍋昌平
掲載誌
週刊ビッグコミックスピリッツ
ジャンル
青年漫画/社会派ドラマ/法律/サスペンス
完結
連載中
評価
9.3/10

良い点

第1話から、飲酒ひき逃げの犯人が法の抜け穴で執行猶予になる理不尽さを突きつけてきます。法とモラルは別物だと割り切る主人公の冷たさが格好よく、悪人を救う手順そのものが法治国家の歪みをあらわにしていきます。風俗ビジネスの搾取や介護詐欺を描く取材の厚みも相当で、主人公を支えながら自分の正義感と仕事の冷たさに引き裂かれていく相棒が、常識人の視点を代わりに背負ってくれます。

気になる点

半グレやクズが無罪放免になり、罪のない被害者がさらに追い詰められる回が多く、胃が痛くなったという声が出ています。犯罪者に悪知恵を授けて罪逃れさせるやり方には倫理の面で嫌悪感が勝ってしまい、主人公へ気持ちを寄せられなかった人もいました。ネットの搾取や半グレの生態が生々しすぎて読後に気分が沈む、法解釈や判例の文字量が多くて体力を使う、といった指摘も挙がっています。

こんな人におすすめ

法が守るのは正しい人だけではない、という現実をまっすぐ見たい読者に刺さります。取材の厚みに裏打ちされた社会の暗がりから目をそらさずに読める人ほど、深く入り込めるはずです。感情を挟まず損得だけで動く主人公の流儀に痺れたい人にも向いています。

こんな人には不向き

悪い側が裁かれて終わる爽快さを求める人には向きません。罪のない側がさらに追い詰められる展開が続くので、読後に気持ちを引きずりやすい人はつらくなります。法解釈や判例の文字量も多く、絵でテンポよく進む話を探している人は途中で離れやすいです。

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2

家栽の人

完結

植物を愛する家裁判事が、少年事件や家族のもつれに向き合う。裁くのではなく栽てる、静かな法廷ドラマ。

この特集で選んだ理由

弁護士でも行政書士でもなく、家庭裁判所の判事という立場から法律を見せてくれる一作です。争って勝つ話が並ぶこのリストの中で、裁かずに待つという別の答えを示す役割を担っています。

家栽の人
作者
魚戸おさむ/毛利甚八
掲載誌
ビッグコミックオリジナル
ジャンル
青年漫画/ヒューマンドラマ/法律
完結
完結
評価
8.8/10

良い点

基本は一話完結で気軽に読めるのに、法廷でひっくり返る回の切れ味が毎回効いてきます。ぼんやり植物をいじっていた判事が、裁きの場では別人のように鋭くなる。そのふり幅に引き込まれます。虐待した母親にもじっくり耳を傾け、加害の側にも事情があると知らせてくる描き方や、荒れた中学の体罰事件のように社会の歪みが子どもの息苦しさへ直結していく長編まで、法律の裏づけが確かなので絵空事に見えません。

気になる点

現実にこの進め方では裁判が回らないだろうと感じる人もいて、理想の判事像として楽しむ割り切りが要ります。事件も調停も細かく描くのに肝心の決定だけ最後まで明かさない作りには、すぱっと裁きを見せてほしいという不満が残るようです。少年の側に寄り添う回が続くと被害者の側から読めなくなるという声や、昔の作品ゆえの家族観と言い回しに引っかかったという感想も出ています。

こんな人におすすめ

勝ち負けの決着より、当事者の心の奥がほどけていく過程を追いたい読者に届きます。結論を急がず、傷ついた子どもが育つのを待つ大人のまなざしに触れたい人向き。教師や親として子どもと関わっている人ほど、読みながら考え込む場面が増えるはずです。

こんな人には不向き

白黒はっきりした判決で締めくくる話を求める人には物足りません。罪の重さに見合った罰こそ必要だと考える人は、更生を信じて待つという前提になじめない場面が出てきます。昔の作品なので、今とは違う家族観や言い回しが気になりやすい人も引っかかります。

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3

弁護士のくず

完結

人間のくずと呼ばれる弁護士が、嘘を見抜く目と綺麗事抜きの手段で揉め事を解決する法廷劇。

この特集で選んだ理由

主人公が正義の側に立つことを最初から放棄している点で、同じ弁護士ものでも人情路線の作品とは別の入口になります。毒と笑いで揉め事をさばく一話完結ものとして、このリストの中ではいちばん気楽に手を伸ばせる一作です。

弁護士のくず
作者
井浦秀夫
掲載誌
ビッグコミックオリジナル
ジャンル
青年漫画/ブラックコメディ/法律
完結
完結
評価
8.4/10

良い点

わざと相手を怒らせて本音を引きずり出すやり方は汚いのに、なぜかよく効きます。白か黒かで割り切れない話ばかりなのに読み終えるとすっきりしますし、話をかき回してくる相手と向き合ううちにこちらの頭までおかしくなりそうになる感覚まで正確に描かれています。強盗殺人の回では被告人が家を失うまでの経緯を細かく語り、死ぬ間際の人が嘘をつくはずがないという思い込みが冤罪を生む、といった常識のほうを疑う視点も持ち込んできます。

気になる点

男女が揉める話になると、女性の側が感情的だったり実は加害者だったりする筋書きが続き、落としどころが読めてしまうという不満が出ています。一話ごとの出来はいいのに、話どうしがつながって本筋を作る手応えが最後までないと書いている読者もいました。人を追い詰めて支配する回の後味の悪さ、法律の中身の薄さ、役どころがそのまま名字になっている人物名に興ざめしたという声も挙がっています。

こんな人におすすめ

清廉潔白なヒーローに物足りなさを覚える人ほど、建前より本音でぶつかる主人公が効きます。第一印象が最後にひっくり返る話を、一話完結で気楽に追いかけたい読者向け。世間で当たり前とされている常識を疑う目線に触れて、自分の思い込みを点検したい人にもはまります。

こんな人には不向き

裁判の手続きや条文まで読みながら学びたい人には物足りません。一話ごとに片づく作りなので、全体を貫く一本の物語が積み上がっていく形を求める人にも合わないはずです。男女の揉め事でどちらが悪役になるか読めてしまう筋書きが続くと、気持ちが離れる人もいます。

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4

弁護士のくず 第二審

完結

就職難の新人弁護士が飛び込んだのは、綺麗事抜きで真実を暴く人間のくずの事務所!

この特集で選んだ理由

就職難で固定給ゼロの新人という、今の時代の弁護士事情を入口にした続編です。前作が一話完結の痛快さに寄っていたのに対し、ネットの悪意や虐待といった重い題材まで幅を広げた点でこのリストに加えました。

弁護士のくず 第二審
作者
井浦秀夫
掲載誌
ビッグコミックオリジナル
ジャンル
青年漫画/ブラックコメディ/法律
完結
完結
評価
8.5/10

良い点

つじつまの合わない証言の裏にあるものを解きほぐしていく運びが面白く、下手な推理小説より上だという声まで出ています。いい加減に見えて、綺麗事の建前では誰も救えないと言い切る主人公の言葉は妙に腑に落ちます。重たい話の最後にちゃんと救いを残してくれるので読後に嫌な気持ちが残りませんし、依頼人ごとに考え方や話しぶりを描き分ける腕もたしかです。

気になる点

事件の謎と解決の結びつきが法律の理屈から外れて、当てずっぽうが当たっただけに見える回があったという指摘が出ています。閉じた人間関係のなかで相手を操っていく犯人の描き方が恐ろしく、すごいとは思っても二度は読みたくならないという感想も。親のいらだちのはけ口にされる子どもの描写のしんどさ、著作権を扱った回の詰めの甘さ、役どころがそのまま名字に出ている人物名にも首をかしげる人がいます。

こんな人におすすめ

前作の毒はそのままに、社会の揉め事を一話ずつ読ませてほしい人に向いています。法律の盲点と人の心の裏を突いて真実へたどり着く運びに、痛快さを求める読者にも刺さります。綺麗事では誰も救えないという構えのまま、それでも救いを探していく姿勢に納得したい人なら、なおさら。

こんな人には不向き

法律の筋道より理屈の飛躍で事件が片づく回が出ると冷めてしまう人には向きません。虐待やいじめなど現実の事件を思い出させる題材を重く受け止めやすい人も、読後に引きずります。悪事を働いた側が必ず裁かれて終わる後味を求める人にも合いません。

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5

しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~

「しょせん他人事」が口癖のドライな弁護士が、ネット炎上や誹謗中傷トラブルをリアルに解決するリーガルドラマ!

この特集で選んだ理由

11作のうち、争いの舞台がネットの書き込みに置かれている唯一の作品です。法廷の内側を描く作品が並ぶなかで、今いちばん身に降りかかりやすいトラブルを扱う枠として選びました。

しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~
作者
左藤真通/富士屋カツヒト/清水陽平
掲載誌
黒蜜
ジャンル
法律/リーガル/社会派
完結
連載中
評価
8.4/10

良い点

開示請求にかかる費用感や手続きの流れまで細かく描かれていて、勉強になったという声がたくさん出ています。やる気のなさそうな弁護士が淡々と片づけていくテンポが痛快で、法律の解説もわかりやすいと評判です。誹謗中傷を書き込む人が特別な悪人ではなく、日常に少し不満を抱えた普通の人として描かれるところが怖く、匿名と集団心理で気が大きくなる構図に背筋が冷えます。

気になる点

仕返しをしてスッキリという展開が肌に合わず、似たような話が続くように感じて途中で飽きたという声があります。主人公が有能でも軽薄で好きになれない、食えない性格を生かした解決でもないので爽快さに欠ける、という不満も出ています。加害者が反省しないまま終わる回の多さ、通じない相手には届かないという落ちのやるせなさ、絵柄の好みが分かれる点も指摘されています。

こんな人におすすめ

SNSの誹謗中傷や情報開示の手順を、物語のかたちでざっくり知っておきたい人向けです。ドライに見えて筋は通っている仕事人の型が好きな読者にもはまります。加害と被害のどちらの心理もフラットに見せてくるので、単純な善悪では読みたくない人にも合います。

こんな人には不向き

ネットの悪意や加害者の心理が続くと気持ちが沈む人にはつらい作品です。法廷での劇的な逆転劇や熱血展開を待って読むと、肩透かしを食らいます。SNS用語やツールに不慣れで置いていかれやすい人も、読み進めにくいかもしれません。

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6

そこをなんとか

完結

就職難でころがりこんだ零細事務所で、小さなもめごとに食い下がる新米弁護士の奮闘記!

この特集で選んだ理由

このリストで唯一、少女漫画の畑から法律の現場を描いた作品です。仕事の泥くささと恋の行方を同じ重さで扱うので、法廷ものに身構えている読者の入口として並べました。

そこをなんとか
作者
麻生みこと
掲載誌
MELODY
ジャンル
お仕事/少女漫画/ヒューマンドラマ/法律
完結
完結
評価
8.3/10

良い点

堅苦しい言い合いはほとんどなく、もめている双方の言い分を噛み砕いて見せてくれるので、法廷の外のやりとりのほうが面白く読めます。結婚詐欺に傷害、離婚調停、遺産相続と扱う案件の幅が広く、取材の厚みが一つ一つに出ています。言葉にしない心の動きをコマ運びで分からせてくる描き方も効いていて、ゆるい調子のなかで悪戦苦闘を重ねた主人公が、一人で事件を回し後輩を導くまでに変わっていきます。

気になる点

終わりに向けて時間の流れが急に速くなり、駆け足で幕を下ろされた感じが残ったという声が出ています。王道の大団円が来ない物足りなさや、途中から恋の駆け引きへ話の重心が移ることへの不満も。ずっと立っていた先輩とのフラグが最後まで拾われないまま終わる点、ラブコメと言いながら手をつなぐ手前で止まったままという指摘も並びます。

こんな人におすすめ

大きな法廷劇より、もめごとの当事者どうしのやり取りを丁寧に追う話が好きな人に届きます。相続や詐欺、自己破産といった暮らしのすぐ隣にある揉め事を、身構えずに知っておきたい読者向き。頼りない新人が場数を踏んで一人で仕事を回せるようになるまでを、ゆっくり見守りたい人にも。

こんな人には不向き

主人公の恋の行方にはっきり決着がついてほしい人には物足りません。すべてが丸くおさまる大団円で締めくくられる話を求める人も、幕切れに肩透かしを感じます。弁護士の仕事ぶりだけを追いかけたい人には、恋の駆け引きへ重心が移る時期が退屈に映るはずです。

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7

カバチタレ!

完結

不当解雇された青年が行政書士事務所に飛び込み、法律を武器に泥沼のトラブルへ体当たりしていく物語。

この特集で選んだ理由

弁護士ではなく行政書士という、聞き慣れない資格の仕事を世に知らせた出発点にあたる一作です。三部作の第1部として、補助者の下働きから始まる視点の低さがこのリストの中でも際立っています。

カバチタレ!
作者
田島隆/東風孝広
掲載誌
モーニング
ジャンル
青年漫画/お仕事/社会派ドラマ/法律
完結
完結
評価
8.2/10

良い点

堅苦しいと思っていた法律が、読み始めると楽しくなってきます。行政書士の仕事の中身がよく分かり、法を武器にして悪党をやり込める痛快さが効いてきます。遺産の分け方、離婚、借金、商売の許認可と、暮らしと法律がこんなに近いのかと考えさせられる作りで、この作品をきっかけに資格の勉強を始めたという読者まで出ています。

気になる点

許認可の話がほとんど出てこず、やっているのは弁護士の領分に踏み込んだ交渉ばかりだという指摘があります。絵柄が独特なうえ登場人物の考え方を受け入れられず、もやもやが残ったという声も。改正前の古い決まりごとが多いので実用書のつもりで真に受けると危ない、人の欲がぶつかる騙し合いが重い、救われない依頼人が多い、といった感想も挙がっています。

こんな人におすすめ

敷金や借金、相続といった暮らしの揉め事が、法律という武器でどうひっくり返るのかを見届けたい人に向いています。きれいごとで終わらせず、人の欲や弱さまで踏み込む人間ドラマを味わいたい読者にも刺さります。新米が現場で叩き上げられていく泥くささが好きで、腰を据えて読みたい人向け。

こんな人には不向き

悪がきっちり裁かれて終わる後味のよさを第一に求める人には向きません。むき出しの欲や身勝手さが続く展開が苦手で、登場人物に気持ちよく入り込みたい人もつらくなります。作中のやり方をそのまま実務の手本にしたい人には、今とは違う古い決まりごとが残る点も気になるはずです。

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8

特上カバチ!! -カバチタレ!2-

完結

補助者から一人前になった行政書士が、身近な法律トラブルに知恵と書類で挑む一作。

この特集で選んだ理由

補助者だった主人公が資格を手にし、対等な実務家として組み直される第2部にあたります。シリーズ三作のうち、相棒との衝突と協力に物語の重心を置いた巻として位置づけました。

特上カバチ!! -カバチタレ!2-
作者
田島隆/東風孝広
掲載誌
モーニング
ジャンル
青年漫画/ヒューマンドラマ/法律/経済
完結
完結
評価
8.2/10

良い点

最後の長編は所長が主役で、だらしない若者が一つの家族に入り込み、じわじわと崩れていく予感だけが積もっていく運びが忘れられないという声が出ています。ネットオークション詐欺の回では、悪気がなくても追い詰められれば人は手を出してしまうと見せたうえで、泣き寝入りさせないための手順が順を追って飲み込めます。匿名の投書から内容証明、直接の謝罪の録音、そして裁判の予告までやりきる仕事ぶりには、同業の読者からも事情を解きほぐすヒントが拾えるという評価がついています。

気になる点

前作とくらべて主人公が頼りなく描かれるようになり、相棒からの当たりの強さが度を越していると感じた人がいます。店を潰すか金を返すか選べという迫り方は書類を作る仕事の枠から明らかにはみ出している、扱われる紛争の解決が弁護士法の引いた一線に触れかねない、という懸念も出ています。金融漫画の取り立て屋のような立ち回りが続く点にも、首をかしげる読者がいました。

こんな人におすすめ

身近な揉め事が法律の手順どおりに解きほぐされていく過程を、順を追って知りたい人に向いています。理不尽な目にあったとき泣き寝入りせずに戦う知恵を、物語から受け取りたい読者にも刺さるはずです。立場も流儀も違う実務家どうしが、ぶつかり合いながら手を組んでいく関係にぐっとくる人にも。

こんな人には不向き

前作から引き継いだ主人公に、最初から最後まで頼れる姿でいてほしい人には向きません。資格の実務をそのまま学べる内容を漫画に求める人も、使いどころに困ります。職域からはみ出した強引な交渉が続く展開に、引っかかりを覚えやすい人にも合いません。

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9

カバチ!!! -カバチタレ!3-

完結

万年下っ端だった田村がまさかの新所長に。現代の揉め事に泥くさく向き合うシリーズ完結編!

この特集で選んだ理由

下っ端だった男が人の上に立つところまで描く完結編で、シリーズ全体の答え合わせにあたります。三部作をまとめて読む価値がどこにあるのかを示す一作なので、このリストには欠かせません。

カバチ!!! -カバチタレ!3-
作者
田島隆/東風孝広
掲載誌
モーニング
ジャンル
青年漫画/ヒューマンドラマ/法律/経済
完結
完結
評価
8.2/10

良い点

飲食店の無断キャンセルの回では、言い分の矛盾を法の理屈で崩していく手際がよく、誰も損をしない落としどころまで運んでくれます。あくどいやり方ばかりだった同業のライバルが今回は依頼人のために腕を振るい、敵役が味方に回る瞬間の熱っぽさが初期の泥くささを思い出させます。甘ったれだった主人公が四苦八苦しながら一人立ちしていく過程を手を抜かず描ききっていて、長いシリーズの着地として申し分ないという声が出ています。

気になる点

権力と戦う話が減り、浮気やご近所の揉め事が増えて身辺雑記寄りになったと感じる読者がいます。修習生の実家の遺言トラブルに所長が首を突っ込む回は、職域を踏み越えた違法すれすれの動きに見えるという指摘も。濃い劇画調の顔立ちと暑苦しいノリ、幼なじみが同じ作り手の別作品の人物と重なりすぎる点、最終章まで来ても所長らしさが身につかない主人公への不満も並びます。

こんな人におすすめ

身の回りで起きそうな揉め事が、法律でどこまで解決できるのかを順に知りたい人に向いています。頼りないままの主人公が周りに叱られながら育っていくのを、長い時間をかけて見守りたい読者向き。後味の苦い結末も含めて、きれいごとだけでは片づかない人間模様をそのまま受け止めたい人にもはまります。

こんな人には不向き

巨大な権力とぶつかる展開を期待していると、身近なご近所トラブル中心の作りには物足りなさが残ります。昔ながらの劇画調の濃い絵や、汗くさくて暑苦しい人情のノリが苦手な人にも合いません。資格の実務書のように読みたい人には、漫画としての誇張や職域を超えた展開が引っかかります。

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10

裁判長!ここは懲役4年でどうすか

完結

裁判所の傍聴席に座った平凡な会社員が覗いた、赤の他人の剥き出しの人生!

この特集で選んだ理由

法律の仕事に就いていない会社員が語り手という点で、11作のなかでただ一つ外側からの視点に立っています。裁く側の技術ではなく、裁かれる人の言葉そのものを聞き取る枠として選びました。

裁判長!ここは懲役4年でどうすか
作者
北尾トロ/松橋犬輔
掲載誌
週刊コミックバンチ
ジャンル
青年漫画/エッセイ/ヒューマンドラマ/法律
完結
完結
評価
7.6/10

良い点

有罪か無罪か当事者にしか分からない事件もあって、気づけば被告人の側にも検察の側にも心が傾きます。冤罪の弁護を担当した弁護士の、雑談から本番へ切り替わる緩急に唸ったという声や、一つの事件だけで一冊を使い切る回の読み応えを挙げる声が並びます。たった一人の友人に心を預けてしまう危うさが実話として突きつけられ、裁判を知らない人にも分かる説明が添えられているのも助かるという評判です。

気になる点

女性検事のキャラ付けだけはどうにも乗れなかったという人がいて、芝居がかった口調や被告人に体を寄せる演出が、そこだけ別物に見えてしまうそうです。産んだ子を死なせた元教師の回で自己保身だと決めつける独白が差し込まれる点や、痴漢を扱った回の加害者に逃げ道を作るような調子にも、強い反発が出ています。掲載誌の休刊で話が途切れる終わり方、原作にはない野次馬めいた目線への指摘も見られます。

こんな人におすすめ

短いニュースでは省かれてしまう、罪に至るまでの事情や葛藤を腰を据えて知りたい人に向いています。実際の裁判をもとにしたやり取りの緊張感を、素人の目線から味わってみたい読者にも刺さります。軽い罪の滑稽さから重い事件のつらさまで、振れ幅の大きい人間模様をまとめて読みたい人向け。

こんな人には不向き

性犯罪の加害者へ同情的な言葉が並ぶ場面があるため、そこで気持ちが萎えてしまう人には向きません。登場人物を色気のある演出で飾る描き方も入るので、法廷ものに現実味だけを求める人は引っかかります。傍聴する側の軽口や野次馬めいた語り口が挟まる点も、事件そのものを静かに受け止めたい人には邪魔になります。

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島根の弁護士

完結

弁護士がいちばん少ない島根に赴任した新人女性が、依頼人の心に寄り添いながら一人前になっていく法律ドラマ。

この特集で選んだ理由

弁護士がいちばん少ない地域という条件を物語の軸に据えた点が、他の10作にはない切り口です。都市の事務所を舞台にした作品が並ぶなかで、地方に法律家が足りない現実を伝える一作として加えました。

島根の弁護士
作者
あおきてつお/香川まさひと
掲載誌
ビジネスジャンプ
ジャンル
青年漫画/ヒューマンドラマ/法律
完結
完結
評価
7.5/10

良い点

弁護士は法と人をつなぐ役目だという考え方に、素直にうなずけたという声が出ています。一話ごとの組み立てがうまく登場人物の誰にも嫌味がなく、話を投げ出さずに最後まで人情で決着をつけるので読み心地がいいです。腕前を見せつけるのではなく、こわばった依頼人の気持ちを少しずつ解きほぐしていく主人公の姿が中心にあり、身構えていたよりずっと人情寄りであたたかい話だったという感想も並びます。

気になる点

主人公をはじめ女性陣の言い分がいちいち鼻につき、気が強いというより性格が悪く見えてしまうという声があります。正しさをまっすぐ信じきる理想主義がときどき偽善に見えてしまい、きれいごとが苦手な人にはつらいという指摘も。読み終えるたびにあと一歩なにかが足りない感じが残る、先へ進むほど事件が重くなって読むのに体力がいる、といった不満も出ています。

こんな人におすすめ

法律知識の見せ合いより、依頼人の気持ちを少しずつほぐしていく仕事ぶりに惹かれる人に届きます。一話ごとにきちんと決着がつく人情味の濃い読み切りを、肩の力を抜いて読みたい読者向き。若くて志の高い主人公がまっすぐぶつかっていく姿を見て、背筋を伸ばしたくなる人にもはまります。

こんな人には不向き

登場人物の物言いの強さが気になりやすく、話より性格のほうへ意識が向いてしまう人には向きません。きれいごとが苦手で、まっすぐすぎる正義感が偽善に見えてしまう人もつらくなります。読み進めるほど題材が重くなるので、最後まで軽い調子で読める法律ものを探している人にも合いません。

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目的別のおすすめ

よくある質問

法律の知識がなくても読めますか?

予備知識は要りません。どの作品も、話の流れのなかで仕組みの説明が挟まります。『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』のように、裁判を知らない読者向けの注が添えられている作品もあります。むしろ読んだあとで、敷金や相続の決まりごとに詳しくなっていることのほうが多いです。

11作品のうち、まだ続いているのはどれですか?

『九条の大罪』と『しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~』の2作が連載中で、残る9作は完結済みです。終わりまで一息に追いかけたいなら完結組から。今まさに動いている話を追いたいなら、連載中の2作から選んでください。

最初の一冊に向いているのはどれですか?

重い読み心地が苦手なら、『島根の弁護士』や『そこをなんとか』のように一話ごとに人情で決着がつく作品が入りやすいです。読み応えを最優先するなら『九条の大罪』。ただし救いのない結末が続くので、体調のいい日に開いたほうがいいかもしれません。

カバチタレ!のシリーズは順番に読むべきですか?

『カバチタレ!』『特上カバチ!!』『カバチ!!!』の順で、同じ主人公が補助者から行政書士、そして所長へと変わっていきます。一話ごとの依頼は独立しているので途中から読めますが、頼りなかった青年が変わっていく手応えは最初から追ったほうが効きます。

弁護士ものと行政書士ものは、何が違いますか?

弁護士が主役の作品は法廷での争いや刑事事件まで扱い、行政書士が主役の作品は書類や交渉で道を開くところに重心があります。ただしカバチシリーズには、書類を作る仕事の枠を越えた踏み込みが多いという指摘も読者から出ています。その線引きごと眺めると、また違う面白さが出てきます。

読んでいて気持ちが沈む作品はありますか?

『九条の大罪』は悪い側が法に守られたまま終わる回が続きますし、『弁護士のくず 第二審』も虐待やいじめを正面から扱います。反対に『家栽の人』『島根の弁護士』は静かであたたかい読み心地。そのときの気分で選び分けるのがいいと思います。

まとめ

法律の世界を描いた漫画は、条文を覚えさせる読み物ではありません。理不尽な目に遭った人がどこへ駆け込み、誰が何を武器に立ち向かうのかを、物語のかたちで見せてくれます。読んでいるうちに、揉め事の相手と向き合うときの心構えが少しずつ変わってきます。正直なところ、法律より先に人の弱さのほうを教わった気がしています。気になった一作から、ゆっくり手を伸ばしてみてください。

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