レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
弁護士のくず 第二審 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
弁護士のくず 第二審
完結著者: 井浦秀夫
連載: ビッグコミックオリジナル
評価: 8.5/10
あらすじ
弁護士が増えすぎて働き口すら見つからない時代。700万円の借金を抱えて司法試験に受かった32歳の新人・軒下歩夢は、固定給ゼロの「ノキ弁」として人権派の事務所に転がり込む。待っていたのは、女好きで金にがめつく人間のくずと呼ばれる九頭元人。依頼人の財産を食い荒らす同業者との真っ向勝負、身内同士の相続争い、ものづくりの現場で持ち上がるパクリ疑惑、気弱な少年が起こしたコンビニ強盗、虐待といじめ、ネットの見えない悪意。綺麗事では誰も救えないと言い切る九頭は、法律の盲点と人の心の裏を突き、建前の外側に救いの道をこじ開ける。真実はひとつじゃないと思い知らされる、くずの流儀!
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読む前に確認したい相性
向いている人
- 型破りな主人公が法律の盲点と人の心の裏を突いて真実にたどり着く話に痛快さを求める人
- 綺麗事では誰も救えないという、建前の外側から現実的な救いを探していく姿勢に納得したい人
- 現代の社会問題を法廷ものとして読ませる一話完結の短編を、じっくり腰を据えて味わいたい人
向いていない人
- 法律の筋道よりも理屈の飛躍だけで事件が片づいてしまう展開が出てくると、一気に冷めてしまう人
- 虐待やいじめなど現実の事件を思い出させる生々しい題材を重く受け止めやすく、読後に引きずる人
- 悪事を働いた側が必ず裁かれて終わる、後味のすっきりした結末を法廷ものに求めたい人
良い感想・レビュー
- つじつまの合わない証言の裏に何があったのか、もつれた事実関係を解きほぐしていく運びが面白い。破天荒なダークヒーローが真実を暴く痛快さは下手な推理小説より上で、善悪の線引きまで考え込んでしまった。
- いい加減に見えて、九頭の口から出る強盗論や親バカ論にはうなずかされた。綺麗事の建前では誰も救えないと言い切る姿勢が妙に腑に落ちて、こういう弁護士がもっと現実にいてほしいと思う。
- 身近な人まで巻き込んでぎくしゃくしていく回は、途中まで読むのが正直つらかった。それでも重たい話の最後にちゃんと救いを残してくれるから、読み終えたあとに嫌な気持ちが残らない。
- ペットが起こした事故の回は、飼い主のずさんな躾ぶりが他人事に思えませんでした。依頼人ごとに物の考え方や話しぶりを描き分ける腕もたしかで、今回の依頼人はとくに傑作です。
- 「死に際の人が嘘をつくわけない」という美しい思い込みが、とんでもない冤罪を生む。世間の常識の盲点を突いてくる着眼点はさすがプロの仕事で、噂や多数派の意見を鵜呑みにしないことの大事さが身にしみる。
悪い感想・レビュー
- 事件の謎と解決の結びつきが、法律の理屈ではなく妙にオカルトめいた回があった。当てずっぽうが当たっただけに見える片づけ方で、そこまで積み上げた推理がもったいない。
- 閉じた人間関係の中で相手を操っていく犯人の描き方が恐ろしく、実際の事件まで思い出して気分が沈みました。すごいとは思っても二度は読みたくならない重さで、しかも黒幕が捕まらないまま終わります。
- 親のいらだちのはけ口にされる子どもの描写が容赦なくて、読み進めるのがしんどかった。現実のひどい事件を嫌でも思い出させる生々しさがあるので、気持ちが弱っているときには開けない。
- 著作権を扱った回は、良い方にも悪い方にも話が転がりすぎた印象。登場人物が揃って都合よく動いてしまう詰めの甘さが気になって、法廷ものとしての緊張感はそこで切れる。
- 登場人物の名前がわかりやすすぎて、読んでいて少し笑ってしまう。役どころがそのまま名字に出ているネーミングはもう少し捻ってほしかったし、法律ものに必ず犬の話が入るのも気になった。
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