レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
そこをなんとか の感想と評価(良いところ、悪いところ)
そこをなんとか
完結著者: 麻生みこと
連載: MELODY
評価: 8.3/10
あらすじ
「文系が得意だから弁護士になって稼ぐ」。そんな見込みで司法試験をぎりぎり突破した改世楽子、通称らっこ。ところが世は弁護士あまりの就職難で、行き先がどこにも決まらない。学生時代のバイト先の常連だった所長のもとへ押しかけ、零細事務所にころがりこむ。舞い込むのは結婚詐欺、痴漢冤罪、泥沼の離婚調停、自己破産と、一攫千金には程遠い小さなもめごとばかり。それでも「そこをなんとか!」と食い下がり、条文だけでは救えない依頼人の暮らしに踏み込んでいく。毒舌の先輩に鍛えられ、やがて一人立ちして大企業との集団訴訟へ。泥くさくて、あたたかい、法廷のむこう側!
この作品が載っている特集
読む前に確認したい相性
向いている人
- 大きな法廷劇よりも、もめごとの当事者どうしのやり取りを丁寧に追いかける話が好きな人
- 相続や詐欺、自己破産など暮らしのすぐ隣にある揉め事を、身構えずに知っておきたいと思う人
- 頼りない新人が場数を踏んで、一人で仕事を回せるようになる過程をゆっくり見守りたい人
向いていない人
- 主人公の恋の行方にはっきりと決着がつき、まっすぐ結ばれる結末をきちんと見届けたい人
- 読み終えたときにすべてが丸くおさまる、王道の大団円で締めくくられる話を求めている人
- 弁護士の仕事ぶりだけを追いかけたくて、恋の駆け引きへ話が偏る展開を退屈に感じる人
良い感想・レビュー
- テレビの法廷ものみたいな堅苦しい言い合いはほとんどなくて、もめている双方の言い分を噛み砕いて見せてくれるから、法廷の外のやりとりのほうがずっと面白い。
- 結婚詐欺に傷害、離婚調停、遺産相続と、よくここまで違う案件を並べられるものだと感心した。取材の厚みが事件の一つ一つに出ているので、お仕事ものとして読みごたえがある。
- 各話のあいだに挟まる傍聴記も毎回おもしろいです。再犯を防ぐ手立てを無茶な調子で語る被告人に呆れたり怖くなったり、自分もいつ裁かれる側に回るかわからないと思わされました。
- 言葉にしない心のうごきを、会話の間やコマ運びで分からせてくる描き方が私の好みです。不器用でだめな男ほど仕事はできるという描き分けも効いていて、恋の行方まで気になります。
- 新米弁護士の話と聞いて身構えたけれど、ゆるい調子のなかで悪戦苦闘が進んでいく。落ちが読めていても「ええ話や」としみじみするし、一人で事件を回し後輩を導くまでになる変わりようがうれしい。
悪い感想・レビュー
- 終わりに向けて時間の流れが急に速くなり、駆け足で幕を下ろされた感じが残った。三角関係もあんなに捻らず、どちらかとまっすぐ結ばせてよかったのではないか。
- こういう幕切れもありだとは思うものの、王道の大団円が来ない物足りなさは正直ある。ベタな展開が好きな自分には、まだ続きがありそうな終わり方が少しさみしい。
- 弁護士の仕事ぶりを追いかけていたのに、途中から恋の駆け引きへ話の重心が移るのが残念だった。ネタ切れかと不安になったころに元の路線へ戻ってくれて、ようやくほっとする。
- ずっと立っていた先輩とのフラグが、最後まで拾われないまま終わってしまうのが気にかかった。同期との別れの理由も、分かるような分からないような曖昧さでもやもやが残る。
- 最後の裁判が長引くあいだに、恋のほうの熱がすっかり冷めてしまいます。ラブコメと言いながら手をつなぐ手前で止まったままなので、そこを楽しみにしていた身には物足りないです。
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