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最終更新日:

家栽の人 の感想と評価(良いところ、悪いところ)

家栽の人

著者: 魚戸おさむ毛利甚八

連載: ビッグコミックオリジナル

ジャンル: 青年漫画ヒューマンドラマ法律

評価: 8.8/10

あらすじ

家庭裁判所に、植物ばかり気にかけている風変わりな判事がいる。桑田義雄、最高裁判事を父に持ち成績も抜群でありながら、栄転の話を断って地方の家裁に留まり続ける男。少年事件、離婚、遺産争い。持ち込まれるのはどれも、正しさだけでは片づかない家族のもつれ。桑田は当事者の話をとことん聞き、草木の育ち方になぞらえながら、傷ついた子どもと親に向き合っていく。「育てなければ…毎日愛して、そこから始めませんか」。裁くのではなく栽てる。各話に添えられた植物の名前が、そのまま誰かの生き方と重なっていく。弱った子に要るのは、待ってくれる大人のまなざし。そう気づかせてくれる、静かな法廷ドラマ!

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読む前に確認したい相性

向いている人

  • 結論を急がず、傷ついた子どもが育つのを待つ大人のまなざしをじっくりと味わいたい人
  • 法廷ものでも、勝ち負けの決着より当事者の心の奥をゆっくりほどいていく過程を追いかけたい人
  • 教師や親として子どもと関わっていて、加害の側にも事情があるという見方に触れたい人

向いていない人

  • 白黒はっきりした判決で締めくくる話を求めていて、結末を読者に委ねる幕切れが苦手な人
  • 犯した罪の重さに見合った罰こそ必要だと考えていて、更生を信じて待つという前提になじめない人
  • 今の感覚とは違う家族観や言い回しが出てくるたびに、気になって物語に入り込めなくなる人

良い感想・レビュー

  • 基本は一話完結で気軽に読めるのに、法廷でひっくり返る回の切れ味には毎回やられます。ぼんやり植物をいじっていた判事が、裁きの場では別人みたいに鋭くなります。そのギャップが好きです。
  • 家裁は裁く場所ではなく栽てる場所、というタイトルの意味を知って背筋が伸びた。傷ついた子をそのまま受け止めて育つのを待つ姿勢が全編に流れている。法律の裏づけも確かで、絵空事に見えないのがいい。
  • 虐待した母親にも判事はじっくり耳を傾けます。ぽつりぽつりと語り出す場面で、責める前に聞くことの重さを教わりました。加害の側にも事情があると知らされる描き方は、子どもと関わる仕事の人に届くと思います。
  • 植物に触れているときと同じ距離感で人と向き合う判事が好きだ。遠い島から運ばれてきた木の話が忘れられない。出たばかりのパソコンを使った事件まで扱っていて、当時の世相を閉じ込めた記録にもなっている。
  • 荒れた中学で起きた体罰事件の長編では、拳を握ったまま読み進めた。社会の歪みが子どもの息苦しさに直結していく描き方が容赦ない。息子の不登校に悩みながら少年に向き合う判事の姿にも、何度も手が止まった。

悪い感想・レビュー

  • 現実にこんな進め方をしていたら裁判は回らないだろうな、とは思う。理想の判事像として楽しむ割り切りが要る。あと舞台が変わってからの長い章は、自分の目には付け足しにしか映らなかった。
  • 事件も調停もあれだけ細かく描くのに、肝心の決定だけ最後まで明かさない作りには物足りなさが残る。そういう作品だと頭ではわかっていても、すぱっと裁きを見せてほしい気持ちは消えない。
  • 少年の側に寄り添う話が続くと、どうしても被害者の側からしか読めない回がある。結末を言いかけたまま笑顔で終わる幕切れにも戸惑った。素人より法曹の人に向けて書かれた本なのかもしれない。
  • 凶悪な事件を起こしたなら、十代後半でも大人と同じように裁いてほしいと考えている。年齢を理由に更生の側へ振れていく判断には、どうしてもうなずけなかった。少年であることは免罪符にならないはずだ。
  • 独特の空気は心地よいし各話の出来もいい。ただ相当に昔の作品なので、今の感覚とずれた家族観や言い回しに引っかかる場面が何度もあった。そこも含めて読むものだと割り切れるかは人によると思う。

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