レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
エロイカより愛をこめて の感想と評価(良いところ、悪いところ)
エロイカより愛をこめて
完結著者: 青池保子
連載: 別冊ビバプリンセス/月刊プリンセス/プリンセスGOLD
評価: 9/10
あらすじ
「美しいものはすべて自分のもの」と言い切る金髪の伯爵は、各国の警察に追われる美術品泥棒。片や、部下をどやしつけながら国家機密を追いかけるドイツ軍の堅物将校。まるで噛み合わないふたりが、冷戦のヨーロッパで顔を合わせるたびに大騒動を起こす。ボンからロンドン、地中海の島、砂漠の遺跡まで、ひとつの事件が思わぬ場所へ転がっていき、追う側も追われる側も何を探していたのか見失いそうになる。戦車も原子力潜水艦も出てくるのに、二人のやりとりは漫才そのもの。命のやりとりのすぐ横で、くだらない言い合いが平気で始まる。少女漫画の棚にあったとは信じがたい、四十年分の大冒険!
この作品が載っている特集
読む前に確認したい相性
向いている人
- 冷戦時代のヨーロッパを舞台にした腹の探り合いと国境をまたぐ追跡劇に、どっぷり浸かってみたい人
- 戦車や諜報機関が出てくる硬派な題材を、あちこちにまぶされた笑いごと楽しんでしまいたい人
- 性格も生き方も正反対な男たちの噛み合わないまま続く掛け合いを、何十巻でも眺めていたい人
向いていない人
- 古びた絵柄や昔ふうの作風が続く序盤を、面白くなるまでの助走として割り切って読めない人
- 今の感覚では引っかかる女性の扱いが作中に残っている作品は、なるべく避けて選びたい人
- 速さのある戦闘描写やきれいに決まる格闘シーンを、漫画の読みどころの第一に求める人
良い感想・レビュー
- テスト会場の待ち時間に読んでいて、王冠と一緒にせり上がってくる場面で腹を抱えて笑い、椅子から転げ落ちました。まさかむさ苦しい中年男に色気を感じてしまうとは、あの頃は思ってもみませんでした。
- ボンからロンドン、北欧、スペインの片田舎、砂漠の遺跡まで、ひとつの事件で主人公たちがどこまでも移動していく。目的を忘れるほど各地を転々とする旅そのものが楽しいので、
- 少女漫画の棚から取ったのに、戦車が走り回り、原子力潜水艦が浮上してきます。NATOという言葉を知ったのもこの作品からでした。硬派な軍事描写をコメディでくるんでしまうやり方に、何度も笑わされました。
- 連載当時は友達と「アラスカへ行け!」を真似し合っていた。引っ越しのたびに手放せず、今では娘まで読んでいる。怒鳴り散らす堅物が世代をまたいで愛されるというのが、我が家では当たり前の光景になっている。
- 仕事しか頭にない情報将校に、美しいものしか目に入らない泥棒が横から絡んでくる。そりの合わない二人の言い合いが、そのまま漫才として成立しているうえ、街並みの描き込みも台詞回しも隙がなく、
悪い感想・レビュー
- 子どもの頃は夢中だったが、大人になって読み返すと引っかかる。移民の多いヨーロッパが舞台なのに白人しか出てこないし、女性への物言いが昭和の日本の親父そのもので、今の感覚で読むと苦しいところがある。
- 読み返すと、序盤は登場人物の脚がひょろ長くて、バンド青年みたいなノリが抜けきっていません。絵柄が途中で別人のように太く重くなるので、どの時期の絵が好みかで評価が割れてしまう気がします。
- 出だしはどうにも古い少女漫画の匂いが残っていて、続きに課金するかどうか正直かなり迷いました。面白くなるまでにかなりの話数を我慢しないといけないので、最初の何話かで投げ出してしまう人も出てきそうです。
- 取っ組み合いの重さや痛そうな踏ん張りはしっかり伝わるのに、殴り合いになると急に動きが止まって見えます。速さのある戦闘描写だけは最後までうまくいっていない印象で、アクション目当てで読むと物足りません。
- 最初の主役が途中で入れ替わり、しまいには画面から姿を消してしまう。看板を掛け替えるような路線変更が序盤で起きるため、出だしはとばして読んでかまわないと言われるのも仕方ないなと思ってしまった。
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