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猫絵十兵衛 ~御伽草紙~ の感想と評価(良いところ、悪いところ)

猫絵十兵衛 ~御伽草紙~

猫絵十兵衛 ~御伽草紙~

完結
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著者: 永尾まる

連載: ねこぱんち

ジャンル: 動物和風ファンタジー人情ドラマ歴史・時代劇

評価: 8.8/10

あらすじ

江戸・深川の三笠長屋。ここには猫がうろうろしていて、猫丁長屋なんて呼ばれている。住人の十兵衛は、飾れば鼠が寄りつかなくなる猫絵を描く、うだつの上がらない絵師。相棒は煙管をくわえた大きな猫又・ニタで、元は猫仙人だという。十兵衛が筆を走らせ、ニタが息を吹きかけると、絵の猫は目を開けて鼠を追い払う。ふたりが町を歩けば、飼い主と猫の切れない縁や化け鼠の騒ぎなど、長屋の人たちの泣き笑いに満ちた事件が次々に転がり込んでくる。猫に育てられた十兵衛の生い立ちが明かされ、猫嫌いの浪人との妙な友情も少しずつ育まれていく。一話ごとに笑って、次の話で不意に泣かされる。猫と人の縁をつないでいく、江戸の御伽草紙!

読む前に確認したい相性

向いている人

  • 一話ごとに笑って泣ける読み切りの人情話が好きで、寝る前に少しずつ江戸の空気を味わいたい人
  • 猫の甘え方や鳴き分けの細やかさに弱く、読んだあとで思わず飼い猫を抱きしめたくなる人
  • 江戸の町並みや暮らしの細かな描き込みを背景まで眺めて、当時の賑わいを想像するのが好きな人

向いていない人

  • 動物が命を落とす展開が続くのが苦手で、読み終えたあとの重い気持ちを引きずりたくない人
  • 人物の作画の粗さや描き分けの弱さが気になると、物語そのものに入り込めなくなってしまう人
  • 一つの大きな筋をじっくり追いかけたくて、一話完結で場面が切り替わる進み方では物足りない人

良い感想・レビュー

  • 可愛い時代ファンタジーだと思って読み始めたら、一話目で涙が止まりませんでした。雪の中で跳ねる猫の姿が忘れられず、風呂上がりにまた泣きました。猫の一匹一匹に物語が用意されている濃密さにやられています。
  • 主人公のそっけない粋さが好きです。普段は狸みたいに丸い猫又が、猫神になると別物のような迫力を放ちます。この落差にやられました。唐辛子売りの猫も甘えん坊で、台詞まわしの小気味よさに口元がゆるみます。
  • 猫目当てで開いたのに、夢中になったのは背景でした。長屋の建具や貼り紙、流行りの長唄まで描かれています。画面の隅々までじっくり眺めたくなる作り込みで、江戸の暮らしが好きな人ほど得をするはずです。
  • 猫が苦手な浪人が居着いてからの空気が好きです。距離を置く絵師と素直すぎる隣人の噛み合わなさに、そわそわします。そばにいなくても同じ空の下で生きていてほしいという結びで、飼い猫を思い出しました。
  • 年を重ねた猫が猫又になるという決まりごとが、私にはうれしくてたまりません。うちの子にもそうなってほしいと本気で願います。ぶすくれ顔で丸い体の猫又に、寿命の先まで一緒にいたい気持ちを重ねてしまいます。

悪い感想・レビュー

  • 人情話としてはまとまっているのに、泣かせ方があざとい話もあります。実直な表紙とは裏腹に、本編には子どもの落書きめいた線が混じります。絵柄の落ち着かなさに引っかかって、話に集中できない回も出てきます。
  • 動物は達者なのに、人物になると急に読みづらくなるのがつらい。誰が誰か、男か女かもわからない場面があり、僕は顔を見比べました。人の描き分けの弱さはどうしても気になる。
  • 泣かせどころで人の表情が動かず、私の気持ちだけ置いていかれる時があります。猫の顔はあんなに豊かなのに、と思ってしまいます。猫と人の描写の落差で入り込めない回がありました。
  • 母を探す仔猫の話は、途中で本を閉じたくなった。母猫が三味線にされたと知る展開は、覚悟していてもえぐい。動物の受難をぼかさない描き方なので、しんどい日には開かないようにしている。
  • いちばん好きな回が、すっきりした結末ではないのが少し残念でした。いい話なのは分かるのですが、後味にほろ苦さが残ります。きれいに終わらせない締め方が続くので、もう少し救いのある結末も読みたくなります。

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