レビュー著者: 漫画よしあし
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アオイホノオ の感想と評価(良いところ、悪いところ)
アオイホノオ
著者: 島本和彦
連載: ゲッサン
評価: 8.6/10
あらすじ
1980年代初頭の大阪を舞台に、漫画家を目指す大学生・焔燃(ホノオモユ)の七転八倒の青春を描く自伝的作品。実在のクリエイターや作品が実名で数多く登場し、当時のアニメ・漫画界の熱狂的な空気を背景に、主人公の根拠のない自信と激しい自意識過剰、そして才能への嫉妬がコミカルかつ熱く描写される。島本和彦独自の「熱血」な文体でありながら、客観的な自己批判とパロディ精神が同居した唯一無二のメタ漫画として、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞など数々の賞に輝いている。
良い所
- 主人公の身の程知らずな自信と、現実を突きつけられた時の落差が最高に面白い。当時のオタク文化への深い考察もあり、同世代でなくても情熱に引き込まれる。
- 実在の作家たちがライバルとして実名で登場し、彼らへの嫉妬を隠さない生々しさが逆に清々しい。クリエイターなら誰もが抱く葛藤に共感できる。
- 島本先生特有の勢いのある絵柄と台詞回しが、爆笑必至の面白さを生んでいる。特に岡田斗司夫や庵野秀明とのやり取りは歴史的資料としても貴重。
- 一見コメディだが、底流には漫画への真摯な愛と、挫折を乗り越えて描こうとする情熱が流れている。読むと不思議と創作意欲が湧いてくる名作。
- 自分の過去をここまで赤裸々に、かつ面白おかしく描けるのは天才。自意識過剰で空回りする青春の格好悪さが、愛おしく感じられる作品です。
悪い所
- 主人公の自意識が強すぎて、人によっては鼻につくかもしれない。プライドが高く言い訳ばかりする姿にイライラする可能性もあるが、それが作品の味でもある。
- 当時のアニメや漫画の知識があった方が楽しめるネタが多く、全く知らない若年層にはピンとこないパロディが含まれているかもしれない。
- 島本和彦独特の「熱さ」と大げさな表現が多用されるため、静かな日常ものや洗練された物語を好む人には少しクドさを感じる場合がある。
- 物語の大きなゴールは漫画家デビューだが、そこに至るまでの足踏みや葛藤が長く続く。スピーディーな物語展開を求める人にはじれったいかも。
- 実在の人物をかなり誇張して描いている部分があるため、ファンによっては複雑な心境になる可能性も。あくまでフィクションとして楽しむ必要がある。





