レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
エロスの種子 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
エロスの種子
マークダウンで表示著者: もんでんあきこ
連載: グランドジャンプめちゃ/グランドジャンプPREMIUM
ジャンル: 青年漫画/官能エロティック/ヒューマンドラマ/オムニバス
評価: 8.8/10
あらすじ
理性では抑えきれない人間の狂おしい情欲と、その裏に潜む孤独を描く、もんでんあきこ渾身の官能オムニバス・ヒューマンドラマ。戦前・戦後の因習に縛られた田舎、学生運動に燃える昭和、バブル期、そして現代にいたるまで、異なる時代背景の中で『愛の形』を模索し、もがき続ける男女の生々しい性。緊縛、不倫、トラウマといった倒錯的で背徳的なテーマを扱いながら、もんでん先生の妖艶で美しい圧倒的な画力が、静かな色気と切なさを紙面に漂わせる。ただのエロティシズムにとどまらず、傷だらけの魂が最後には温かい『救い』へと辿り着く連作短編の最高峰!
良い所
- 私はただの官能目的じゃない、日本の戦後や昭和の因習に翻弄される女性たちの文学的な人間ドラマの深みに本気で感動した。情欲の裏に潜む、人間の寂しさや脆さの描き方がとにかくリアルで胸を打たれる。
- もんでん先生の、登場人物たちの指先の動きや情念を孕んだ視線、吐息まで伝わるような妖艶で美しい画力が本当に素晴らしい。汚いエロじゃなく、静かな色気と切なさが紙面から漂うようで息をのむ美しさ。
- ちあき先生とアシスタントの上澤さんのお話など、オムニバスでありながら連作として彼らの不器用な愛のハッピーエンドを描く回が本当に大好き。過酷な過去を乗り越えた二人の救いに、毎回涙が出るほど救われた。
- 昭島先生の緊縛シーンに込められた「縛る側と縛られる側の、深い魂の信頼と解放」という倒錯的な美学に震えた。単なるSMの道具じゃなく、お互いの傷を癒やし合うための神聖な儀式に見えて本当に素晴らしい。
- 普段は絶対に触れないようなドロドロした不倫や偏愛、家格の因習といった重いタブーを、圧倒的な説得力で読ませてくれる。愛することの残酷さと美しさを、一度に味わせてくれる唯一無二の大人のための劇薬。
悪い所
- 性的興奮や甘いロマンスを期待して読み始めると、いじめや虐待、不妊によるいびりといった容赦ない重いトラウマ描写に心がバキバキに折れて鬱になる。官能目的で読むにはあまりに切なすぎて覚悟がいる。
- 緊縛や古い一族の「子産みの道具」としての扱いなど、かなりニッチで倒錯したデリケートなテーマが多いため、正直私には生理的に受け付けない回があった。人を選ぶ性癖やグロテスクさがあるのが難点。
- 一冊に複数の異なる短編が収録されているので、収録作によってクオリティや好みのばらつきが激しい。お気に入りのキャラクターの続きが読みたいのに、全然違う話で終わって不満な時があるのが残念。
- 登場人物がみんな「自分の欲望に忠実すぎて周りを容赦なく傷つける悪人」に見えてしまう瞬間があり、誰にも感情移入できなくて冷めてしまった。もう少し爽やかで健気な普通の恋愛ストーリーも見たかった。
- 時代背景のレトロさや、昭和の不倫描写のドロドロ感が、今の若い世代の私の価値観からすると少し古臭いというか、共感しづらいと感じる部分があった。良くも悪くも、大人のドロドロした愛憎劇に少し疲れる。





