レビュー著者: 漫画よしあし
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王様の仕立て屋~サルトリア・ナポレターナ~ の感想と評価(良いところ、悪いところ)
王様の仕立て屋~サルトリア・ナポレターナ~
連載: グランドジャンプ/グランドジャンプPREMIUM
評価: 8.6/10
あらすじ
イタリア・ナポリ、路地裏に構えた小さな仕立て屋。伝説の職人が唯一認めた弟子・織部悠は、針と糸だけを頼りに客の人生へ切り込む。閑職に追われた会社員、スーツを嫌う男たち、海の向こうから逃げてきた英国の名匠。悠は相手が口にしない迷いまで見抜き、一着で背筋を伸ばさせていく。靴に詳しい少年やモード界から逃げてきた元モデルも店に転がり込み、仕事場はいつもにぎやかだ。ナポリの伝統を守る側と新しい風を入れたい側がぶつかり、後継者を育てる学校づくりにまで話は広がる。べらんめえ調の掛け合いと落語みたいな軽さで、服の理屈がすっと頭に入る。読み終えると自分のシャツの襟を確かめたくなる、粋な人情劇!
読む前に確認したい相性
向いている人
- スーツやジャケットの知識を物語として仕入れつつ、服が人の印象を変える瞬間を味わいたい人
- 一話完結で客の悩みがきれいに解けていく、職人ものの気持ちよさをじっくり味わいたい人
- べらんめえ調の掛け合いや小噺めいた皮肉が飛び交う、セリフ回しの粋さをじっくり楽しみたい人
向いていない人
- 派閥争いや業界の駆け引きが長く続く展開が苦手で、服そのものをめぐる話だけを追いたい人
- ギャグ寄りの濃い新顔が場を引っ張る回もあるので、終始まじめな職人ドラマだけを求める人
- 生地の厚みや体への沿い方は絵では伝わりにくく、着心地まで実感できる描写を期待する人
良い感想・レビュー
- 自分らしさって何だろうと迷っていた頃に読んだ。頼れる自分を出しているのにパッとしない、そんな人にこそ効く一冊だと思う。依頼された以上は期待以上で返す職人ぶりに、こっちの背筋まで伸びた。
- スーツは鎧みたいなものだと思い込んでいた俺には、着こなしが人柄まで映すという見方が新鮮だった。うんちくを痛快に語る軽さがあり、立体裁断は日本だと足袋職人の技だったという話にも驚かされる。
- ナポリが舞台なのに、飛び交う会話はどこか江戸っ子の職人みたいだ。少し芝居がかった皮肉や小噺のやり取りが楽しくて、セリフを味わうために読み返すことも多い。説明くさい場面まで軽く読ませてくれる。
- 職人物が好きで手に取ったが、これは当たりだった。もつれた人間関係が仕立てで解けていくすっきり感がたまらない。読み終わる頃にはファッションにも興味が出て、自分の靴を磨きたくなっている。
- 仕立ての話だけでなく、世界の情勢や工芸の小話まで挟まれます。噛みしめながら読める密度があり、一冊読むと少し賢くなった気がしてきます。脇を固める顔ぶれも増えて、話の広がり方も好みです。
悪い感想・レビュー
- 前作から絵柄が変わったのが引っかかる。磨かれたというより線が省かれた手抜き感が先に立って、話の運びまで無理やりに見えてきた。好きな作品なだけに、この変化はちょっと寂しい。
- 派閥の対立だの揉め事だのが続いて、正直だれてしまった。読みたいのは服そのもののうんちくなのに、本筋がそこから離れていく。服の力ってすごいんだと唸らせる話をもっと読みたい。
- 途中で出てくる濃すぎる新顔が、どうにも馴染まなかった。とってつけたようなパロディのノリで一冊付き合わされると、口だけの人物のために読んでいる気分になる。ギャグを足す方向は自分には合わない。
- 単行本でまとめて読むと、毎回はさまる読者向けのおさらいがくどく感じられます。主人公がほとんど裏方に回る回もあり、そのぶん展開は地味でした。こういう回もありだとは思うものの、物足りなさは残ります。
- 襟の形や色の組み合わせで印象が決まると説かれても、紙の上では生地の質感まで届かない。厚みや体への沿い方が伝わらないぶん、褒められている一着の良さがつかみきれずに終わることがある。










