レビュー著者: 漫画よしあし
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ブラックジャックによろしく の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 「医者は神様ではない」という冷徹な現実を、これほどまでに熱く、泥臭く描き出した作品は他にありません。斉藤の叫びが、閉塞感に満ちた医療現場の壁を突き破ろうとする姿に、魂が震えるほどの衝撃を受けました。
- がん治療、未熟児、精神外科……タブー視されがちなテーマに真正面から切り込む覚悟が凄まじいです。患者とその家族が直面する、正解のない「選択」の苦しみに、何度もページを捲る手が止まり、涙が溢れました。
- 佐藤先生の魂を削り取ったような、鬼気迫る筆致が物語の重みと完璧にマッチしています。キャラクターの表情一つ一つに、生きることへの執着や絶望が宿っていて、一コマたりとも目が離せない圧倒的な密度がありました。
- 医局制度や臨床研修制度の矛盾を白日の下にさらした功績は、漫画の枠を超えて社会現象になったのも納得です。今の日本の医療が抱える歪みを、これほど分かりやすく、かつドラマチックに伝える作品は他にありません。
- 斉藤がどれだけ打ちのめされても、最後には理想を捨てきれずに足掻く姿に、本物の正義を見ました。読み終えた後、自分の人生においても「正しさ」を貫く勇気をもらえる、一生モノのバイブルと呼べる一冊です。
悪い所
- 物語のテーマが終始重く、救いがないシーンも多いため、娯楽として気軽に読むにはかなりの覚悟が必要です。読み終えた後の疲労感が凄まじく、精神的に余裕がある時でないと、内容の重さに押し潰されてしまうかもしれません。
- 主人公・斉藤のあまりに無鉄砲で感情的な行動に、現実的な大人としては「青臭すぎる」「もっと周りを見ろ」と苛立ちを感じてしまう場面がありました。彼の純粋さが、時に自己中心的に見えてしまうことが欠点かも。
- 医療現場の実態が、ドラマチックにするために誇張されていると感じる部分もあり、すべてを真実と捉えると少し危険かもしれません。あくまで佐藤先生の視点を通した「告発」としての側面が強いフィクションです。
- 物語の後半、新シリーズに入ってからの展開が、少し思想的というか、著者のメッセージ性が強すぎて、初期の「一研修医の葛藤」から離れてしまったのが残念でした。もっと等身大なドラマが見たかったです。
- 登場人物の顔つきが皆、常に必死というか、追い詰められたような表情ばかりなので、画面から受ける圧迫感が凄いです。癒やしや休息の要素が皆無なので、一気読みをすると、文字通り息が詰まるような感覚になります。





