レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
ランウェイで笑って の感想と評価(良いところ、悪いところ)
ランウェイで笑って
完結著者: 猪ノ谷言葉
連載: 週刊少年マガジン
評価: 8.4/10
あらすじ
身長158センチ。モデルを夢見る少女の前に、その数字は何度も立ちはだかる。同じ高校には、家の貧しさと妹たちのために服づくりの夢をたたんだ少年がいた。少女は彼に「自分を一番きれいに見せる服」を頼み込み、その一着で事務所の契約をもぎ取る。東京のショー、服飾大の文化祭、そしてブランドの立ち上げ。きらびやかに見える世界は、才能も金も足りない者に遠慮なく冷たい。それでも縫い、歩き、負けを抱えたまま次の布へ手を伸ばす二人から目が離せなくなる。誰かに「無理だ」と言われた覚えがあるなら、この足音はきっと刺さる。夢の丈を自分で伸ばしていく、熱のランウェイ!
読む前に確認したい相性
向いている人
- 綺麗事の通じない場所で腹が据わっていく主人公の変わりようを、じっくり追いかけたい人
- 華やかに見える業界の裏にある泥くさい手仕事と数字の話まで書いた物語を、腰を据えて読みたい人
- 不利な条件を抱えたまま、互いの違いを認めて押し上げ合う二人の関係に、ぐっとくるものを感じたい人
向いていない人
- 現実の仕事ぶりと細かく照らし合わせながら読むほうで、設定の無理を飲み込むのが苦手な人
- 物語の筋を通すために力ずくで話を進める場面が続くと、気持ちが冷めて離れてしまう人
- 作中に出てくる服の意匠やブランド名の付け方に、垢抜けなさを感じてどうしても気になってしまう人
良い感想・レビュー
- 登場人物に思い当たるところが多すぎて、何度も泣かされました。読み終えたあと後回しにしていた用事を片付けたくなるくらい、綺麗事の通じない場所で腹が据わっていく変化が心に響きます。
- 業界の細かい知識をたっぷり盛り込みながら、人と人の話としてきちんと読ませてくる。もたつく主人公にも誠実さがにじむ描き方をしてあるから、私がいらついた場面はほとんどなかった。
- 見せたい服と売れる服は違い、作りたくても作れないのです。きらびやかな見た目の裏にある泥くさい台所事情まで書いてあるので、絵空事の成功話で終わらないのがうれしいです。
- 「無理」「あきらめ」の壁を、才能も家の事情も違う二人が互いの違いを認めたまま押し上げ合って登る。努力に少しの運が乗る配合がちょうどよく、読むこちらまで前のめりになった。
- 悪人が出てこないのに張り詰めた感じが続くのは、我の強い人にもそれぞれの筋が通っているから。努力した人がきちんと報われる筋書きと、ショー場面の描き込みに僕の気持ちがすっかり持っていかれました。
悪い感想・レビュー
- 身長の不利はできることを全部やって埋めると言うわりに、オーディションでの立ち姿が素人のままなのが引っかかる。見られる仕事を描くなら、体の線や所作にもっと気を配ってほしかった。
- 題材は面白いのに、力ずくで話を進める場面が続き、私の熱は途中で下がりました。序盤に出てくる主役級の服のデザインが古くさく見えるのも、装いの物語としては痛いところです。
- 骨格や髪質でふるい落とされる世界だと聞くと、一人だけ極端に背の低いモデルが並ぶ絵はどうにも飲み込めない。作り話と分かっていても、私が乗り切れなかったのはそこだ。
- 終わりに向けて急に駆け足となり、好敵手との関係描写が中途半端に置き去りになったのが心残りです。独立までの早さにも現実味が薄く、もう少し時間をかけてほしかったところ。
- ブランド名や商品名の付け方がとにかく垢抜けず、ギャグかと思うほど。感情が高ぶったときの顔のゆがみが強すぎる描き方も苦手で、泣く場面まで引いてしまった。
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