レビュー著者: 漫画よしあし
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黄泉のツガイ の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 荒川弘先生だ、という安心感が読み始めから確かにあります。世界観の見せ方、キャラクターの立て方、緊張感の積み上げ方……全てが職人技で、「この人の漫画は絶対に外れない」という信頼を改めて感じました。
- 「黄泉」という設定の独自解釈が非常に面白い。日本神話的なモチーフを下敷きにしながら、全くオリジナルな世界に昇華されていて、読んでいると現実とは異なるルールで動く世界の空気を肌で感じます。
- ユルとアサの関係性が好きです。幼馴染として積み重ねてきた信頼と、異能力者の世界に引き込まれることで生まれる緊張感が、二人の間に常に漂っていてページから目が離せません。
- 序盤の「村」という閉鎖空間の描写が本当に濃密で、外の世界を知らない人間の視点から物語に入れる構造が巧みです。ユルが村を出た後の、世界の広さへの驚きが自分のことのように感じられました。
- 荒川先生の描くバトルは本当に分かりやすくて熱い。能力の仕組みが論理的に設計されているので、試合を頭で理解しながら熱くなれます。勝ち負けに説得力があって、スカッとします。
悪い所
- 序盤は謎が多く提示される一方で解明が遅いため、「結局この世界はどういう仕組みになっているのか」がなかなか見えてこないもどかしさを感じる時期がありました。荒川先生の作品の中では入口が少し難しめです。
- 鋼の錬金術師と比べてしまうのは正直避けられなくて、キャラクターや展開に既視感を感じる場面があります。全く別の作品として楽しもうとする意識が最初は必要でした。
- 民話的・土着的な世界観の独特さが魅力ですが、その分だけ現代的なポップさが薄くて、とっつきにくさを感じる読者も一定数いると思います。世界観に慣れるまでの序盤が少し辛抱のいる作品です。
- バトルのスケールが大きくなるにつれて、序盤の「閉鎖的な村」特有の不気味で濃密な空気が薄れてしまったのが少し寂しい。あの土着的な閉塞感こそが最大の魅力だったのに!
- アサのキャラクターの内面描写が、序盤はやや謎めいたままにされていて、共感しにくいと感じてしまう瞬間がありました。もう少し早めに彼女の視点が掘り下げられると良かったと感じます。





