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レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:

ダーウィン事変 の感想と評価(良いところ、悪いところ)

ダーウィン事変

ダーウィン事変

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著者: うめざわしゅん

連載: 月刊アフタヌーン

ジャンル: 人間ドラマSFサスペンス

評価: 9.3/10

あらすじ

テロ組織によって生物科学研究所から救出された、ヒトとチンパンジーのハイブリッド種『ヒューマンジー』の少年チャーリー。里親のもとで15年間静かに暮らしていた彼は、高校で知り合った変わり者の少女ルーシーと心を通わせていく。だが、世界各地で過激なテロ活動を展開する動物解放同盟『ALA』が、チャーリーを自らのシンボルに仕立て上げるべく、誘拐・ラチ計画を開始する!種差別、テロ、ヴィーガニズムといった現代社会の不条理な闇を、感情を持たないチャーリーの冷徹で客観的な視点から浮き彫りにする。2026年のTVアニメ化でも更なる旋風を巻き起こした、新世代社会派サスペンスの最高峰!

本音のガチ長文レビュー(ネタバレ有)

10巻まで読んでの感想です。(投稿時の最新刊) 現実感を盛り込んだファンタジー漫画。 序盤から新感覚な設定で面白いんだけど、 5巻ぐらいまではプロローグと言っていい。 最初のほうは、設定理解を促すためのなのか、 倫理観を問うような描写や展開が多くて、 このあたりが最初に話題になったきっかけだと思うが、 誕生の秘密に迫りだしたあたりから、 現実の倫理観がどうとかもはや関係ない話になってくる。 そのあたりから、ファンタジー感とかフィクション感のあるストーリー展開になるんだけど、 個人的にはそのあたりからも面白い。 ずっと倫理観をテーマにされても面白味には欠けますからね。。 ただ、そこからは普通の青年漫画の展開になるので、斬新さはどうしても薄い。 それでも導入だけが面白い出オチ漫画ではないことは確かなので、 展開が変わってきても受け入れながら読んでほしい。 兄弟が出てくるあたりで、強敵みたいな設定が入ってくるので、 そのあたりは少年漫画に近くて好き。 主人公が修行して強くなるとかは無いけど。 人間に対して無敵すぎでは?と思うことはある。 兄弟間の関係とか、出生の流れは正直ちょっとわかりにくい。 わかりにくいというか、さらっと一度しかその話出てこないというのが多くて、これなんでだっけ?となる。 色々説明はあるんだけど、そんなことより危機的状況・急いでいる状態をどうやって打破するのかが気になってしまうせいかも。 連載で読むだけなら、絶対に覚えられない自信があるので、単行本で読んでいてよかった。 とにかく場所が転々とするので、今どこにいるのかもわからなくなりやすい。 妊娠する流れは唐突だと感じるところだった。 ほとんどそんな関係の心理描写なかったのに、えっどういう流れなの?となった。 ストーリー上重要な展開なのはわかるし、そういう漫画じゃないから、恋愛要素とか無くてよいのだが、 もうちょっと欲しかったというのが正直なところ。 大学とか本当序盤だけだったけど、 たまには昔の場所にも戻って閑話休題してほしい。 ずっとシリアスが続くので、これだけを長く読むのは疲れる。 序盤は先が気になって早く読みたくなるんだけど、 序盤以降は、 「この後どうなるの!早く続き読みたい!」とは不思議とならなかった。 でもなんだかんだで続きを読むと「なるほどこうなっていくのか」と感心しながら読める。 これは核心中の核心には中々たどり着かず、 たどり着くには多くの説明を通過する必要があるんだろうなぁと思ってしまっているからだろうか。 青年漫画なので読む人を選ぶ感はあるが、 ちょっと小難しい話も取り入れたタイプの漫画が好きな人はぜひ読んでみてほしい。

読む前に確認したい相性

向いている人

  • 差別・テロ・動物倫理など現代社会の問題を中立な視点で問い直したい人
  • 感情移入しにくい主人公の冷徹なロジックで善悪を問うサスペンスが好きな人
  • 漫画でありながら小説や映画に近い、社会派の読み応えを求めている人

向いていない人

  • 議論・説明テキストが多く、読み疲れしやすいタイプの人
  • 勧善懲悪の明快な展開を好み、救いのない重苦しい結末が精神的にきつい人
  • 月刊連載特有の刊行ペースの遅さが気になり、話の流れを忘れてしまう人

良い感想・レビュー

  1. 俺、人間社会の差別やエゴ、テロを「人間の感情を持たないチャーリー」の冷徹で完璧なロジックで論破していく姿にガチでシビれた。善悪の二元論では語れない、真の知的なサスペンスのキレが最高に面白い。
  2. 動物解放、ヴィーガニズム、テロといった現代の最もデリケートな社会問題を、一切説教臭くなく完全に中立な視点で描き出す筆致に脱帽。自分自身の当たり前だと思っていた常識が、鮮やかに解体される。
  3. 2026年冬放送のアニメ版の、種﨑敦美さんの冷たくも透き通ったチャーリーボイスの静かな演技にまじで鳥肌が立った!ベルノックスフィルムズの、まるで洋画を観ているかのような映画的な作画の演出に感動。
  4. 社会から浮いているが非常に知的な少女ルーシーとチャーリーとの、友情とも愛ともつかない不器用な距離感が尊い。彼女との会話劇のテンポの良さが、この重苦しい物語の最高のオアシスになっている気がする。
  5. テロ組織「ALA」による襲撃や、FBIとの駆け引きといったハリウッド映画さながらのスケールの大きなサスペンスアクションが凄い。10巻から11巻へ続く、激動の緊迫した展開に毎回興奮が止まらない。

悪い感想・レビュー

  1. テロや動物愛護、人種差別などの現代の政治的な思想や道徳に関する議論のテキスト量が非常に多くて、僕は読むのにかなり体力を削られた。サクサクと直感的に絵の動きだけでバトルを楽しみたい人には重すぎる。
  2. 「テロリストのALA」も「偽善に満ちた人間社会」もどちらも悪としてリアルに描くため、「どちらが正義でどちらが悪か」の答えがなく救いがない。読了後に、どんよりと重苦しい社会不信の虚脱感が残る。
  3. 月刊連載で休載もあるせいか、単行本(最新10巻など)が出るスパンが年に1回近く空く刊行ペースの遅さがファンとしてじれったい。新刊が出るまでに、複雑なFBIや製薬会社の陰謀のプロットを忘れてしまう。
  4. 主人公のチャーリーが、良くも悪くも「何を考えているか分からないエイリアン」のようで、どうしても感情移入しきれなかった。彼に利用されていくルーシーや周囲の大人たちが、読んでいて少し痛々しくて辛い。
  5. 戦闘シーンのアクションが、主人公の「ヒューマンジーとしての圧倒的な身体能力」だけで力ずくで解決されがちなのが気になった。もう少し、人間と頭脳を競い合うような緻密な駆け引きのバトルが見たかった。

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