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最終更新日:

八雲立つ 灼 の感想と評価(良いところ、悪いところ)

八雲立つ 灼

著者: 樹なつみ

連載: メロディ

ジャンル: ファンタジーオカルトサスペンス

評価: 8.5/10

あらすじ

伝説の和風伝奇サスペンス『八雲立つ』の完結から13年後の物語。過酷な戦いの末に命を落とした布椎闇己は、かつての記憶を持ったまま現代に転生していた。中学校の国語教師として落ち着いた暮らしをしていた七地健生は、ある日、中学生として現れた闇己と再び出会う。立場や年齢が逆転したまま、蘇る怨念の「念」や日本神話の神剣を巡る不気味な事件へと巻き込まれていく。前作で語られなかった空白の13年間の謎を解き明かしながら、怪異に立ち向かう二人の死闘と揺るぎない信頼関係が描かれる。古代ロマンとサイキックサスペンスが交わる、前作ファンが待ち望んでいた続編だ!

良い所

  • 前作の切ない結末から13年後、闇己の転生と七地との再会というドラマチックな展開に涙が止まらなかった。かつてと同じ毒舌な闇己と、大人になった七地との新たな相棒関係が本当に尊くて大好きだ。
  • スサノオや神剣を巡る、ブレない和風オカルトサスペンスの重厚さが素晴らしい。人間の生々しい怨念や、不気味で背筋が凍るような緊迫した事件解決プロットのキレが今なお全く衰えておらず感動した。
  • 前作の空白の13年間の出来事や、七地の元妻・美保の謎といった未解決の謎に迫るストーリー展開が本当に良かった。長年追いかけてきたファンにとって、痒いところに手が届くような丁寧な掘り下げが嬉しい。
  • 中学生となった闇己と、30代になった七地の立場や年齢が逆転した新たな関係性がたまらなく好きだ。過保護な七地と、呆れつつも彼を繋ぎとめようとする闇己の不器用な優しさに、いつもほっとする。
  • とにかく一話完結の怪異解決のテンポが非常に良く、一気読みしたくなる高い没入感がある。樹なつみ先生の美麗なコマ割りや、キャラクターたちの麗しさが目を引いて、眺めているだけで癒やされる。

悪い所

  • 前作の因縁や設定が100%前提なため、前作を未読だと完全に置いていかれる。新規でこの『灼』から読み始めた私にとっては、神剣のルールや登場人物の関係が少し難解すぎて話に没入しにくかった。
  • 闇己が中学生の小さな子供になってしまったため、前作の対等で鋭利な相棒感が薄れたのが少し寂しかった。七地がただの過保護なおじさんに見えてしまい、かつての美しい闇己の姿に戻ってほしいと焦る。
  • 掲載誌が隔月刊なせいで、単行本の刊行スピードが非常に遅いのがもどかしい。本編の怨念との闘いや宿敵の謎といったメインのストーリーが非常にゆっくりしか進まないため、じれったいことこの上ない。
  • 昔の鋭利で耽美な画風に比べると、現在の先生の画風は丸みがあり少し絵の凄みや迫力がマイルドになったのが物足りない。デジタルの柔らかいタッチのせいか、初期の冷たい美しさが恋しくなる瞬間がある。
  • お話が『誰かが怨念に憑依される→七地と闇己が神剣で祓う』というパターンに完全に固定化されているため、中盤以降は展開がかなりワンパターンに感じた。もう少し物語を大きく動かす知略戦が欲しい。

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