レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。
連載: 月刊少年シリウス/少年マガジンエッジ
評価: 8.6/10
あらすじ
昭和二十三年、新制高校二年に進級した日下部栞奈の学校に、いつも不機嫌な顔で本ばかり読んでいる新しい国語の講師・中禅寺秋彦が赴任してきた。彼はやがて「京極堂」と呼ばれることになる男の若き日の姿だった。戦後の混沌とした空気が漂う学園内で、赤い紙・青い紙、図書室の幽霊、青マントといった奇々怪々な都市伝説や怪異事件が次々と発生する。しかし、中禅寺先生はオカルトを真っ向から否定し、膨大な知識と冷徹な論理で不思議な出来事を鮮やかに解体していく!京極夏彦の大人気「百鬼夜行シリーズ」の前日譚を、志水アキの美麗な筆致で描く、昭和初期を舞台にした学園青春怪異ミステリー!
良い所
- 京極夏彦の代表作である百鬼夜行シリーズの前日譚として、古書店を開く前の代用教員時代の京極堂が見られるなんて夢のようです。原作ファンとして大絶賛せざるを得ない素晴らしいスピンオフです!
- 志水アキ先生の美麗でレトロな絵柄が、戦後間もない昭和の雰囲気やキャラクターのイメージにぴったり合っていて最高です。中禅寺先生の不機嫌な表情や立ち振る舞いに、惚れ惚れしてしまいました。
- 学校で起こる赤い紙青い紙などの怪異や都市伝説を、オカルトではなく論理的に解体していく京極堂ならではの謎解きがテンポ良くサクサク読めました。本編よりも軽い気持ちで楽しめるのが良いです。
- 日下部さんというオリジナルキャラクターの生徒を通して、中禅寺先生の素の表情や意外な優しさが見え隠れするのがとても微笑ましいです。シリーズを読んだことがない人でも十分楽しめると思います。
- 膨大な知識をベースにした衒学的な会話劇が漫画でもしっかり再現されていて、知的好奇心が刺激されました。関口や榎木津などお馴染みの面々がいつ登場するのか、今後の展開にワクワクが止まりません。
悪い所
- 本編の重厚で複雑なミステリーに比べると、学校で起こる日常の謎レベルの軽いエピソードが多いため、本格ミステリーとしては少しトリックや展開が弱いと感じてしまいました。少し物足りなさがあります。
- 京極作品の最大の魅力である『膨大なテキストと理屈っぽさ』が漫画向けにどうしても簡略化されているため、熱心な小説ファンとしては活字で読んでこその面白さが薄れてしまっているように感じて残念です。
- 原作シリーズを知らない新規読者にとっては、特有の理屈っぽい会話劇が少し退屈に感じられたり、入り込みにくかったりするかもしれません。かなり人を選ぶ、アクの強い作風のミステリーだと思います。
- 生徒たちの噂話から事件が発展していくため、少し子供っぽくてドタバタした学園ドラマの要素が強く、京極堂のダークで陰鬱な世界観を期待して読むと肩透かしを食らってしまう読者もいるかもしれません。
- 中禅寺先生が毎回同じように事件を鮮やかに解決してしまうため、単行本をまとめ読みしていると途中で少しマンネリを感じてしまいました。もっと彼自身が窮地に立たされるようなハラハラする展開が見たいです。
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