レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
MONSTER の感想と評価(良いところ、悪いところ)
MONSTER
著者: 浦沢直樹
連載: ビッグコミックオリジナル
ジャンル: ミステリー/サイコスリラー/青年マンガ/サスペンス
評価: 9.5/10
あらすじ
ドイツのアイスナー記念病院で働く天才脳外科医・Dr.テンマ。彼は倫理的な信念から、院長の命令を無視して瀕死の少年ヨハンの命を救う。しかし、その決断が地獄の始まりだった。テンマの周囲で次々と起こる不審死。かつて救った少年は、美しき「怪物」へと成長し、世界を破滅へと導こうとしていた。冷戦後の欧州を舞台に、逃亡犯となったテンマが、怪物の正体と自身の犯した罪の行方を追う。命の価値は平等か、それとも。浦沢直樹が圧倒的な筆致で描き出す、人間心理の深淵を抉るサイコスリラー。緻密なストーリーテリングと衝撃の伏線回収が止まらない、日本漫画史に刻まれる本格ミステリーの金字塔!
良い所
- 「怪物」ヨハンの圧倒的な美しさと底知れない恐怖に、最初から最後まで心臓を掴まれっぱなしでした。冷戦後のドイツを舞台にした緻密な世界観が素晴らしく、まるで極上の映画を観ているような没入感を味わえました。
- 主人公のテンマだけでなく、グリマーさんやルンゲ警部といった脇役たちの人生が丁寧に描かれていて、群像劇として完璧な出来栄えです。彼らの葛藤や悲しみに何度も涙し、命の重さを改めて深く考えさせられました。
- 「人の命は平等か」という重厚なテーマを真っ向から描く浦沢先生の筆力に脱帽です。サスペンスとしての緊張感が一瞬たりとも途切れず、ページをめくる手が震えるほどの興奮を味わえる、私にとって生涯最高の一冊です。
- ナレーションを最小限に抑えた絵で見せる演出が本当に見事。心理描写が繊細で、キャラクターの表情一つから感情が痛いほど伝わってきます。緻密な伏線が回収されていく快感は、他のミステリーでは決して味わえません。
- 善と悪の境界線が揺らぐストーリー展開に、どっぷりと引き込まれました。ヨハンのカリスマ性とテンマの誠実さの対比が素晴らしく、壮絶な旅の果てに見える真実には、言葉では言い表せないほどの衝撃を受けました。
悪い所
- ストーリーが非常に重層的で登場人物も多いため、正直一回読んだだけでは状況が理解しきれない部分がありました。一気に集中して読まないと伏線や人物関係を忘れてしまい、私には少しハードルが高く感じられました。
- 物語の核心であるヨハンの正体や動機が少し抽象的で、最後にすべての謎がスッキリ解明されるわけではないのがモヤモヤしました。不完全燃焼な感じがしてしまい、もっと明快な結末を期待していたので少し残念です。
- 中盤の旅のパートが長く感じ、なかなか本筋のヨハンにたどり着かないので展開の遅さに焦れったさを覚える時期がありました。エピソードは面白いのですが、もう少しテンポ良くストーリーが進んでほしかったです。
- 児童虐待や人体実験といったショッキングで救いのない描写が多く、読んでいて精神的にかなり削られました。内容が素晴らしいのは分かりますが、心が元気な時じゃないと読み進めるのが辛くなる重すぎる作品です。
- 本格ミステリーとしては最高峰だと思いますが、純粋なエンタメやハッピーエンドを求めている私には、読後の喪失感が大きすぎました。全体的に暗く鬱々とした空気が漂っているので、好みがはっきりと分かれる気がします。





