レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
MONSTER の感想と評価(良いところ、悪いところ)
MONSTER
マークダウンで表示著者: 浦沢直樹
連載: ビッグコミックオリジナル
ジャンル: ミステリー/サイコスリラー/青年マンガ/サスペンス
評価: 9.5/10
あらすじ
ドイツのアイスナー記念病院で働く天才脳外科医・Dr.テンマ。彼は倫理的な信念から、院長の命令を無視して瀕死の少年ヨハンの命を救う。しかし、その決断が地獄の始まりだった。テンマの周囲で次々と起こる不審死。かつて救った少年は、美しき「怪物」へと成長し、世界を破滅へと導こうとしていた。冷戦後の欧州を舞台に、逃亡犯となったテンマが、怪物の正体と自身の犯した罪の行方を追う。命の価値は平等か、それとも。浦沢直樹が圧倒的な筆致で描き出す、人間心理の深淵を抉るサイコスリラー。緻密なストーリーテリングと衝撃の伏線回収が止まらない、日本漫画史に刻まれる本格ミステリーの金字塔!
良い所
- 天才外科医テンマが助けた少年に運命を狂わされていくサスペンスアクションストーリー。謎の双子を救った瞬間から悪夢が始まる。残酷さの裏で人間の温かみもしっかり描かれているのが印象的で、引き込まれた。
- 80年代90年代のドイツを舞台にした濃密な本格サスペンスで、今読んでも全く古さや違和感を感じない。漫画を超えたクオリティーだと思う。久しぶりに再読してもまた一気に持っていかれた。
- 得体の知れないものに追われる恐怖と、なぜそんな事をするのかと理解不能な恐怖が同居している。巧みな伏線でどんどん先が気になり、結末はどうなるんだろうと読む手が止まらなくなってしまう漫画。
- それぞれの人物が物語で繋がっていて、それぞれに思いがあるのが魅力。登場人物がみんなリアルで、主要人物じゃないのに彼らのエピソードや主人公が残したものに、じんわりくる大好きな漫画。
- 伏線が散りばめられた物語の始まりがまるで映画を見ているよう。引き込まれまくって、でもむちゃくちゃゾワっとして一気に読んだ記憶がある。衝撃が忘れられず単行本もデジタルでも買い直した。
悪い所
- 序盤は得体の知れない存在感のヨハンに惹き付けられるのだが、徐々にミステリーもサスペンスもフェードアウトしていく尻すぼみな展開で、オチに至るまで人物像が薄らぼんやりしていて違和感を覚えた。残念。
- 男女の成人した双子が入れ替わるという設定にはツッコミどころがあると思う。ストーリーが複雑で分からないまま読み進めてしまったところもあり、最後はいまいち腑に落ちない印象が残ってしまった。
- 赤いバラの館での朗読会あたりからギミックがギミックとして透けて見えてしまったのが残念。ヨハンという悪魔のキャラクターが駄々をこねるガキにしか見えなくなり、終盤の印象が一気に冷めてしまった。
- 17巻まで文句なしに★5なのに、最終巻の決着の付け方がマスターキートンと展開が被りすぎているのが気になる。クライマックスがちょっと物足りなく、謎が謎のままで終わっている箇所も多くてすっきりしない。
- 壮大な物語の割にラスト前の展開だけは少しあっけない感じがした。回収しきれない伏線がいくつも残っており、ここまで膨らませたなら全部きっちり描いてほしかったと、最後の終わり方には消化不良が残った。





