レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
応天の門 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
応天の門
著者: 灰原薬
連載: 月刊コミックバンチ
評価: 8.6/10
あらすじ
時は平安、藤原家が宮廷の権力を掌握せんとしていた頃。都で続発する女官の行方不明事件を「鬼の仕業」と恐れる帝をよそに、京随一の色男・在原業平は一人の少年に出会う。その名は、菅原道真。理屈っぽく皮肉屋な引きこもり学生の道真と、情に厚い業平。身分も年齢も異なる異色のバディが、平安の闇に潜む怪奇を科学的かつ論理的に解体していく!美麗で緻密な作画で描かれる雅な世界の裏側、そして渦巻く権力の陰謀。学園の神様・道真の若き日を描いた、圧倒的知性と情緒が交錯する至高の平安クライム・サスペンス!
良い所
- 菅原道真を引きこもりの秀才、在原業平を艶やかな色男として描くバディ設定が最高です!平安の怪異を論理で暴く展開に知的な快感を覚え、ページを捲る手が止まらないほどの面白さにシビれました。
- 灰原薬先生の描く雅で美しい平安の世界観に一瞬で心を奪われました。装束や建築の緻密な描写が素晴らしく、視覚的な没入感が凄まじい。歴史の教科書とは違う、生きた道真たちに出会える最高の作品です!
- 怪異を人間の仕業として解体するミステリー要素が本当に秀逸です。鬼や呪いを恐れる都の人々の中で、独り冷静に真実を見抜く道真が最高に格好いい。歴史の深みと謎解きが融合した、私にとって至高の傑作。
- 藤原家が権力を握ろうとする重厚な政治劇に圧倒されました。平安時代のリアルな空気感と陰謀渦巻く人間ドラマが絶妙に絡み合い、読むたびに知的好奇心が満たされます。大人のための本格歴史サスペンスですね。
- 冷徹な道真と情に厚い業平、正反対な二人の絆が深まっていく過程に胸が熱くなります。単なる謎解きに終わらず、当時の若者の葛藤や孤独も丁寧に描かれていて、気づけば物語の世界にどっぷりハマっていました。
悪い所
- 歴史用語や当時の官位が非常に多く、背景知識がない私には内容を理解するのがかなり大変でした。解説を読み込みながらでないと話についていけず、純粋に物語を楽しめなかったのが正直な不満点です。
- 主人公の道真があまりに冷淡で可愛げがない性格なので、序盤はなかなか好きになれませんでした。理屈っぽくて人を寄せ付けない言動にイライラしてしまい、感情移入できるようになるまで時間がかかりました。
- 一つ一つの事件にじっくり時間をかけるため、物語全体の進展が遅いように感じてしまいました。歴史的な大事件にいつ辿り着くのかと焦れったくなり、サクサクと大きな流れを読みたい私には不向きなテンポです。
- セリフや説明文の文字数が非常に多く、一気に読むと目が滑ってしまうことが多々ありました。情報量が多いのは良いのですが、漫画らしいスピード感に欠ける箇所があり、読むのにかなりの体力が要る作品です。
- 純粋な捕物帖だと思って読み始めましたが、政治的な駆け引きが複雑すぎて途中で飽きてしまいました。もっとシンプルな怪異ミステリーを期待していたので、名家の思惑に振り回される展開に少し疲れました。



