レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
ホムンクルス の感想と評価(良いところ、悪いところ)
ホムンクルス
著者: 山本英夫
連載: 週刊ビッグコミックスピリッツ
評価: 8.8/10
あらすじ
新宿西口の公園で車上生活を送る名越進。一流の身なりをしながらホームレスの中に混じる彼は、金に困り、謎の医大生・伊藤から報酬70万円で「頭蓋骨に穴を開ける手術(トレパネーション)」を受ける。手術後、名越が左目を閉じると、他人の深層心理やトラウマが異形の姿「ホムンクルス」となって可視化されるようになった。不可解な力に翻弄されながらも、名越は他人の心の闇に踏み込み、同時に自分自身の正体を見つめ直していく。「自分とは何か」「人間とは何か」という深淵な問いを突きつける、衝撃のサイコ・サスペンス。圧倒的な画力で描かれる、山本英夫の最高傑作がここに誕生!
良い所
- 頭蓋骨に穴を開けるという設定に度肝を抜かれました。他人のトラウマが異形の「ホムンクルス」として見える描写が本当に凄まじく、深層心理を視覚化する発想の天才っぷりに終始圧倒されっぱなしでした。最高です!
- 山本英夫先生の圧倒的な画力に惹き込まれました。グロテスクな描写さえも美しく感じてしまうほどの緻密さがあり、ページをめくるたびにゾクゾクしました。人間の本性をえぐり出すような鋭い視点に、深く考えさせられます。
- 「自分は何者なのか」という根源的な問いを突きつけてくる、唯一無二の物語です。名越が他人の心の欠損を埋めていく過程で、自分の空虚さと向き合う展開が非常に重厚で、読み終わった後は放心状態になるほどでした。
- サスペンスとしての緊張感が凄まじく、一気に全巻読み切ってしまいました。現実と妄想の境界が曖昧になっていく感覚が怖くもあり、同時に抗えない魅力に満ちています。私の価値観を大きく変えてくれた、一生モノの名作です。
- 登場人物たちが抱える心の闇が、あまりにもリアルで胸に突き刺さりました。誰しもが持っている孤独やエゴをここまで完璧に描き切った漫画は他にありません。衝撃的な体験を求めている人には絶対におすすめしたい傑作。
悪い所
- 性的で暴力的なシーンがあまりにも生々しすぎて、正直に言って引いてしまいました。内容が深いのは分かりますが、生理的に受け付けない描写が多々あり、読み進めるのが精神的にかなりキツくて途中で断念しました。
- 物語の後半になるにつれて、展開がどんどん抽象的で難解になっていき、何が言いたいのか分からなくなりました。序盤のようなスリリングなサスペンスを期待していた私には、独りよがりなサイコドラマに見えて退屈でした。
- 主人公の名越をはじめ、登場人物に全く共感できるキャラクターがいませんでした。倫理観が崩壊している人物ばかりで、読み終わった後の後味の悪さが凄まじかったです。ハッピーエンドを求めている人には不向きですね。
- 心理学的な蘊蓄やセリフが理屈っぽくて、漫画としてのテンポが悪いと感じる箇所がありました。もっとシンプルにストーリーを楽しみたいのに、難解な説明を読まされている感覚になってしまい、少し疲れてしまいました。
- 結末が非常にモヤモヤする形で、全ての謎がスッキリ解決するわけではないのが残念でした。壮大な風呂敷を広げた割には、最後は個人の内面だけで終わってしまった感じがして、期待していた分だけ不完全燃焼な気分です。





