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レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:

イリオス の感想と評価(良いところ、悪いところ)

イリオス

イリオス

著者: 小野寺浩二

連載: ビッグコミックオリジナル

ジャンル: ドラマ歴史アクション

評価: 8.5/10

あらすじ

古代ギリシャ・トロイア戦争を舞台に、小野寺浩二が独自の解釈と卓越した画力で描く神話絵巻。英雄アキレウスやヘクトールたちの戦と生と死を、壮大かつ繊細に紡ぐ。史実と神話の間を行き来しながら、「英雄とは何か」「誰かのために戦うとはどういうことか」を問い続ける、濃密な歴史叙情アクション。

良い所

  • 小野寺先生の作画が本当に凄い。人体の躍動感や、戦場の広大さ、英雄たちの表情——全てが圧倒的な密度で描かれていて、ページをめくるたびに一枚の絵として眺めてしまいます。
  • ヘクトールの描き方が特に好きです。強さだけでなく、家族への愛情や戦争への複雑な感情が伝わってきて、読んでいる途中から「この人に死んでほしくない」という切ない気持ちになっていました。
  • 神話を知っている人でも知らない人でも楽しめるように作られていると思います。結末を知っていても、この作品のキャラクターたちがどう描かれるかを見届けたくて読み続けられました。
  • 英雄を「神々しい存在」ではなく、傷つき迷い、それでも選択する人間として描いているのが素晴らしい。そのリアルな人間ドラマが、神話という遠い物語を自分のこととして感じさせてくれます。
  • 画面に漂う、どこか悲しい空気感が好きです。戦場にあっても美しい瞬間が確かにあって、その一コマ一コマを見るたびに胸に残る感動があります。

悪い所

  • 絵柄や画風が非常に個性的で、人を選ぶタイプの作品だと思います。緻密で美しい画面ですが、取っつきにくさを感じる読者も少なくないと思います。一般受けしやすいデザインではありません。
  • トロイア戦争という題材の性質上、登場人物の多くが死を迎えます。感情移入した後の喪失がひたすらに重くて、読み続けるのが辛くなる時期がありました。
  • 史実や神話についての知識があると細かい演出の面白さがより伝わりますが、全く知識がないと状況の把握が少し大変な場面もあります。基本的な神話の知識は持っておくと良いです。
  • 戦争描写が非常にリアルで残酷な場面も含まれます。歴史物として覚悟を持って読むことができれば良いですが、そういった描写が苦手な読者には辛い場面が続くことがあります。
  • 物語の進行が骨太な分、一話当たりの場面転換が少なく、じっくりと噛みしめながら読む作品のため、テンポよく読み進めたい人には少し重たさを感じるかもしれません。

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