レビュー著者: 漫画よしあし
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イサック の感想と評価(良いところ、悪いところ)

イサック

イサック

著者: 真刈信二DOUBLE-S

連載: 月刊アフタヌーン

ジャンル: 歴史アクション戦記

評価: 9.2/10

あらすじ

17世紀、三十年戦争に揺れる神聖ローマ帝国。そこに、遠く東方の日本から一人の侍「イサック」が現れる。圧倒的な射撃技術を持つ彼は、傭兵としてカトリックとプロテスタントが血で血を洗う戦場を渡り歩く。彼の目的は、かつて日本で師匠を殺し、異国へ逃れた仇敵・赤屋長三郎を討つこと。史実に基づいた重厚な世界観の中で、日本刀とマッチロック銃を携えた一人の男の復讐劇が、ヨーロッパの歴史を静かに変えていく。

良い所

  • 17世紀のヨーロッパという舞台設定が非常に詳細で、当時の戦術や社会情勢が丁寧に描かれている。その中に日本人が混ざる違和感が、物語の面白さに直結している。
  • DOUBLE-S先生の圧倒的な画力が素晴らしい。特に戦闘シーンの迫力と狙撃時の緊張感は、息を呑むような美しさがある。装備品や背景の細かな描き込みも見事だ。
  • 単なる無双系漫画ではなく、当時の軍事考証がしっかりしている点に惹かれる。マッチロック銃の特性を活かした狙撃の描写が非常にリアルで説得力がある。
  • 言葉の通じない異国で、その腕一本で信頼を勝ち得ていくサクセスストーリーとしても楽しめる。寡黙な主人公イサックが時折見せる侍としての誇りが格好いい。
  • 歴史の裏側で日本人が活躍していたかもしれないというロマンに満ちている。実在の歴史上の人物との絡みも自然で、知的な興奮を味わえる名作だと思う。

悪い所

  • 歴史的な背景知識がないと、状況を把握するのに少し苦労するかもしれない。派手なバトルを期待しすぎると、戦記物特有の重厚な展開が冗長に感じる可能性もある。
  • 主人公が非常に寡黙で感情を表に出さないため、彼に深く感情移入できるようになるまで少し時間がかかるかもしれない。物語の序盤は少し淡々としている印象。
  • 青年誌らしい凄惨な描写も多いため、暴力的なシーンが苦手な読者には不向き。戦場の残酷さがリアルに描かれている分、読むのにエネルギーが必要な作品。
  • 史実に忠実であろうとする分、物語の大きなうねりが来るまでが長く感じられる巻がある。エンタメとしてのスピード感を重視する人には少しじれったいかも。
  • 仇敵との対決というメインテーマが、戦場の大きな争いの中に埋もれてしまう時期がある。目的を忘れたわけではないが、寄り道が多いと感じる読者もいそう。

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