レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:

3月のライオン の感想と評価(良いところ、悪いところ)

3月のライオン

3月のライオン

著者: 羽海野チカ

連載: ヤングアニマル

ジャンル: 将棋ヒューマンドラマ日常系

評価: 9/10

あらすじ

中学生でプロ棋士になった桐山零は、幼少期の家族の死と養父一家の重圧から逃げるように一人暮らしを始め、孤独な日々を送っていた。ある日、川崎の下町で出会った川本家の三姉妹との縁が、零の閉じた心をゆっくりと解きほぐしていく。将棋の対局と人との繋がりを通じて成長していく零の姿を、日常の温もりと葛藤を丁寧に描いたヒューマンドラマ。将棋の世界の厳しさやプレッシャー、いじめ、家族の喪失など重いテーマを扱いながら、羽海野チカ特有の柔らかな作画と心理描写で読者を引き込む。日本将棋連盟監修のもと、対局シーンのリアリティも高い。アニメ化・実写映画化もされた人気作。

良い所

  • 将棋という特殊な世界を舞台にしながら、孤独・喪失・再生という普遍的なテーマが丁寧に描かれており、将棋の知識がない読者でも深く感情移入できる傑作だ。
  • 川本家の三姉妹との交流シーンが持つ温かさと、将棋の対局シーンが放つ張り詰めた緊張感が絶妙なコントラストを生み出し、読後に豊かな余韻が残る作品だ。
  • 羽海野チカ特有の細やかな心理描写と繊細な作画が、主人公・桐山零の内なる孤独と葛藤をページの隅々まで丁寧に映し出し、読者の胸に静かに深く刺さる。
  • 将棋の世界を軸にしながら、いじめ・介護・貧困・家族の喪失など現実社会の問題が絡み合う構成が、フィクションの枠を超えたリアルな共感を生み出している。
  • 桐山零が巻を重ねるごとに少しずつ前向きに変わっていく姿が焦らずゆっくりと描かれており、その長い成長の過程を静かに見守る読者としての満足感が大きい。

悪い所

  • 物語がゆったりとしたスローペースで進むため、展開の速い漫画を好む読者には全体が冗長に感じられ、読み続けるのに根気が必要と感じる巻が出てくる。
  • 主人公の鬱屈した内面描写が序盤から延々と続くため、気持ちが沈んでいるときに読むと作品全体が重く感じられ、気軽に手に取れる雰囲気の漫画ではない。
  • 将棋の対局シーンには臨場感があるものの、具体的な手の解説は少なく、将棋をよく知る読者には勝負の描写が物語優先に映り、物足りなさを感じる場合がある。
  • 等身大の心理描写が丁寧である分、話のクライマックスがぼやけやすく、「ここが見せ場だ」とはっきり印象に残る山場が少ないと感じる読者も一定数存在する。
  • 連載が長期化しており、ストーリーが大きく動くまでに多くの巻を要するため、一気読みには向いているが、月刊連載をリアルタイムで追うには焦れる作品だ。

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