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乙嫁語り の感想と評価(良いところ、悪いところ)
乙嫁語り
著者: 森薫
連載: Fellows!/ハルタ
評価: 9.3/10
あらすじ
19世紀後半の中央アジアを舞台に、20歳の女性アミルが12歳の少年カルルクに嫁ぐところから物語が始まる。年齢差や文化の違いに戸惑いながらも、家族や周囲の人々との交流を通じて少しずつ絆を深めていく二人。遊牧民や定住民の生活、豊かな食文化、刺繍や衣装などの伝統工芸が緻密な筆致で描かれ、異文化の中で生きる人々の姿と愛情が紡がれていく。
良い所
- 民族衣装や刺繍の描き込みが圧倒的で、ページをめくるたびに美術品を鑑賞しているような感覚になる。
- アミルとカルルクの年の差夫婦が少しずつ距離を縮めていく過程が微笑ましく、温かい気持ちになる。
- 異文化への深いリスペクトが感じられ、生活や風習の描写が非常にリアルで没入感が高い。
- セリフに頼らず表情や仕草で感情を伝える演出が巧みで、想像力を刺激される。
- 一話ごとに異なる人物や家族の物語が描かれ、中央アジアの多様な文化を旅しているような楽しさがある。
悪い所
- 大きな事件や急展開が少なく、淡々とした日常描写が続くため物足りなく感じることがある。
- キャラクターの内面描写が控えめで、感情移入しづらい場面がある。
- 絵の緻密さは素晴らしいが、ストーリー自体は地味に感じる読者もいる。
- 文化や風習の説明が多く、物語のテンポが遅く感じられることがある。
- 登場人物が多く、視点が頻繁に切り替わるため物語の軸がぼやけると感じることがある。

