レビュー著者: 漫画よしあし
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ヒストリエ の感想と評価(良いところ、悪いところ)

ヒストリエ

ヒストリエ

著者: 岩明均

連載: 月刊アフタヌーン

ジャンル: ヒューマンドラマ歴史戦記

評価: 9.2/10

あらすじ

紀元前4世紀、古代ギリシア・マケドニア王国のアレクサンドロス大王に仕えた実在の書記官エウメネスの波乱に満ちた生涯を描く歴史大作。スキタイ人の出自を持ちながらも、過酷な運命に翻弄され奴隷の身分にまで堕ちたエウメネスが、持ち前の明晰な頭脳と知略、そして揺るぎない精神力で乱世を生き抜き、やがて稀代の智将として歴史に名を刻んでいく過程を、岩明均が圧倒的な筆致で描き出す。

良い所

  • 岩明均先生の卓越したストーリーテリングが光る名作。歴史の大きな流れの中に、緻密なキャラクター描写と知略が組み合わさり、一度読み始めると手が止まらない。
  • 主人公エウメネスが武力ではなく知略で困難を切り抜けていく様子が非常に知的で面白い。古代ギリシアの風習や戦術が細かく考証されており、非常に勉強になる。
  • 『寄生獣』で見せたような、淡々とした筆致の中に潜む圧倒的なリアリティと迫力が健在。名言や耳に残るセリフも多く、キャラクターの個性が強く印象に残る。
  • 読み進めるほどに伏線が繋がっていく感覚が素晴らしい。単なる戦記物にとどまらず、文化や哲学的な背景もしっかり盛り込まれており、非常に読み応えがある。
  • 歴史上の大事件をエウメネスという個人の視点から再構築するセンスが抜群。冷徹なようでいて人間味のある主人公のキャラクター造形が完璧だ。

悪い所

  • 連載のペースが非常にゆっくりであり、次の巻が出るまで年単位で待つことが珍しくない。完結まで辿り着けるのか不安になるファンも少なくないだろう。
  • 古代の残酷な描写(拷問や殺戮など)が、岩明作品特有のドライなタッチで描かれるため、耐性がない人にはかなりショッキングに感じる場面がある。
  • 登場人物が非常に多く、またカタカナの名前や地名も頻出するため、歴史的背景に疎いと相関図を把握するのに苦労するかもしれない。腰を据えて読む必要がある。
  • 物語のテンポが非常にじっくりしており、大きな戦争が始まるまでの政治的な駆け引きが長く感じられる巻もある。爽快なバトルアクションを求める層には不向き。
  • 絵柄が独特で好みが分かれる部分がある。最新の美麗な漫画表現に慣れている読者からすると、初期の巻は少し素朴に感じられるかもしれない(それも味だが)。

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