レビュー著者: 漫画よしあし
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傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 18世紀フランスのドレスやレースの緻密すぎる作画に、ただただ圧倒されました!ローズ・ベルタンが職人として腕一本でのし上がっていく姿が格好良く、当時のモード産業の裏側が見える構成も非常に興味深いです。
- 単なるファッション漫画ではなく、「封建社会での自立を描くキャリアストーリー」としての熱さがあります。マリー・アントワネットとの身分を超えた関係性が、歴史の荒波の中でどう変化していくのか目が離せません。
- 歴史背景のリアリティと考証の深さが素晴らしく、当時の常識や風俗が自然に頭に入ってきます。ドレスが単なる装飾ではなく、宮廷内の権力争いや「国富」と直結していたという視点は、歴史好きにも堪らない深み。
- 主人公ベルタンの、職人としての矜持とビジネスパーソンとしての逞しさに共感します。女性が働くことが困難だった時代に、自分の価値を証明し続ける彼女の生き様は、現代の働く人々にも勇気を与えてくれるはず。
- 磯見先生の美麗な美術が、ベルサイユの華やかさと革命前夜の不穏な空気感を見事に描き分けています。既存の歴史作品とは異なる「仕立て屋」の視点から描かれるフランス革命のドラマは、新しくて非常に刺激的です。
悪い所
- 日本語の誤用やセリフの違和感が一部で散見され、物語の没入感を削がれてしまうことがありました。歴史的な重厚さを求めている作品だけに、校閲の甘さが目についてしまうのは、非常に勿体ないポイントだと感じます。
- 物語のテンポが良い反面、「歴史的な大事件が駆け足で進んでいる」ように感じられる場面がありました。もっとじっくりと、特定のキャラクターとの交流や心理的な変化を時間をかけて描いてほしかったな、というのが本音。
- ドレスの描写は完璧ですが、「キャラクターの顔立ちや描き分け」が時折似通って見えることがありました。特に宮廷の貴婦人たちが増えてくると、誰が誰だか判別しづらくなるため、視覚的な整理に少し苦労しました。
- 漫画的な脚色が加わっているため、「特定の歴史上の人物のイメージが固定化」されてしまう懸念があります。史実をベースにしている分、どこまでが事実でどこからが創作なのか、境界線が分かりにくいのが気になります。
- 設定されている「キャリアアップ」の過程が、時折トントン拍子に進みすぎて、リアリティに欠けるように見える時期がありました。もっと泥臭い失敗や、社会的な壁にぶつかって苦悩するシーンを、より濃密に見たい。




