レビュー著者: 漫画よしあし
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7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 「シェイクスピアは7人の集団だった」という大胆な仮説から始まる物語に、知的好奇心が刺激されまくりました!ハロルド作石先生らしい独特のテンポで、歴史上の謎を解き明かしていく展開に一瞬で引き込まれます。
- 16世紀イギリスの不衛生で混沌とした街並みや、宗教対立の緊迫感が緻密に描かれていて、当時の空気を肌で感じられました。成り上がっていく7人の才能が噛み合う瞬間のカタルシスは、BECK譲りの熱量です。
- 『ロミオとジュリエット』などの名作が誕生する裏側を、脚本制作の苦悩として描く視点が斬新です。単なる伝記ではなく、演劇というビジネスで勝ち抜いていく戦略的な面白さに、ページをめくる手が止まりません。
- 主要キャラ7人の個性が際立っていて、特にリーが放つ圧倒的なカリスマ性に痺れました。歴史の波に翻弄されながらも、ペン一本で時代に爪痕を残そうとする彼らの執念に、創作することの尊さを再確認しました。
- 「NON SANZ DROICT(権利なきにあらず)」というタイトルに込められた意味が、物語が進むにつれて重みを増していくのが見事です。身分を超えて自己を証明しようとする彼らの戦いに、強く共感しました。
悪い所
- 連載の休載期間が長すぎて、一番盛り上がっているところで話が止まってしまうもどかしさが凄いです。緻密な伏線が張られているだけに、完結まで読めるのかという不安が常に付き纏い、素直に没頭しきれないのが辛い。
- 16世紀のイギリスの時代背景や宗教知識が前提として必要な場面が多く、歴史に疎い自分には少し難解に感じる箇所がありました。説明はありますが、設定の重さに物語のテンポが負けているように見える瞬間も。
- 初期の導入部が少し説明過多で、7人が揃って物語が加速するまでに少し時間がかかると感じました。ハロルド先生の作風を知らないと、この独特な「タメ」に耐えきれず脱落してしまう読者もいそうで、少し勿体ない。
- 史実とのギャップや大胆な脚色に、歴史漫画としての厳密さを求める人には違和感があるかもしれません。あくまでフィクションとしての面白さが売りですが、特定の有名人の扱いが少し恣意的に見えて、覚めることも。
- 第1部から第2部への移籍や連載の中断により、全体の流れが少し寸断された印象を抱きました。1冊ずつの満足度は高いのですが、長大な歴史絵巻としての整合性を保つのが難しくなっているように見えて、惜しい。



