レビュー著者: 漫画よしあし
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逃げ上手の若君 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
逃げ上手の若君
著者: 松井優征
連載: 週刊少年ジャンプ
評価: 8.8/10
あらすじ
1333年、鎌倉。幕府の総帥・北条高時の次男として生まれた少年・北条時行は、足利高氏の突然の謀反によって故郷も家族も全てを失ってしまう。絶望の淵に立たされた時行だったが、彼には「逃げる」「隠れる」という天性の才能が備わっていた。信濃国の胡散臭い神官・諏訪頼重に救い出された時行は、彼に導かれながら、逃げて生き延びることで英雄への道を歩み始める。『暗殺教室』『魔人探偵脳噛ネウロ』の松井優征が贈る、史実をベースにした前代未聞の歴史逃亡サバイバル。強大な敵に立ち向かうのではなく、逃げ上手という一風変わった才能を武器に、過酷な乱世を駆け抜ける少年の数奇な運命を圧倒的な画力と独特のギャグセンスで描き出す!
良い所
- 松井優征先生らしい独特のギャグセンスと、緻密に調べ上げられた史実が見事に融合していて、歴史が苦手な私でも夢中になって読めました。逃げることを武器にする主人公の設定がとても斬新で面白いです。
- 圧倒的な強さで敵を倒すのではなく、ひたすら逃げ延びることで英雄への道を切り拓いていく北条時行の姿に勇気をもらいました。彼を導く諏訪頼重の胡散臭さと底知れぬ実力のギャップが面白くて大好きです。
- 敵キャラクターがどれも強烈な個性を放っていて、時にはゾッとするほどの狂気を感じさせるのがたまりません。残虐なシーンもありますが、それを中和するようなコミカルな描写のバランスが絶妙で最高です。
- 鎌倉幕府滅亡後というマニアックな時代背景を、ここまでエンターテイメントとして面白く描ける構成力に脱帽しました。登場人物の誰もが生き生きと描かれていて、史実の結末を知っていても先が気になります。
- 時行が様々な試練を乗り越えて、仲間たちと共に少しずつ成長していく姿を親心のような気持ちで応援してしまいます。ただ逃げるだけでなく、そこから反撃の糸口を掴んでいく展開が爽快で一気に読み終えました。
悪い所
- 登場する敵キャラクターの性格や行動があまりにも変態的すぎて、読んでいてドン引きしてしまうシーンが多々あります。作者の過去作のノリが好きではない人には、少し受け入れがたい世界観だと感じました。
- 歴史漫画としてはギャグ要素が強すぎるため、真面目な時代劇や本格的な戦記物を期待して読むと肩透かしを食らいます。史実をベースにしているとはいえ、ファンタジー色が濃くてリアリティに欠けます。
- 首が飛んだり血が吹き出したりする残酷な描写や猟奇的なシーンが頻繁に出てくるので、グロテスクな表現が苦手な私には少し読むのが辛かったです。少年誌にしては過激すぎるのではないかと感じてしまいます。
- 鎌倉末期や南北朝時代の背景知識がないと、複雑な勢力図や人間関係を把握するのに少し苦労します。もう少し初心者向けに時代背景の解説が丁寧にされていると読みやすかったのになと感じてしまいます。
- 主人公が逃げてばかりで自ら戦うシーンが少ないため、王道のバトル漫画のような爽快感やスカッとする展開を求める人には物足りないかもしれません。ずっと逃げ回っている姿に少しヤキモキしてしまいました。



