レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
逃げ上手の若君 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 「逃げ」を武器にするという発想が天才的!松井優征先生らしい、奇抜な演出と史実の絶妙なブレンドに一気に引き込まれました。北条時行というマイナーな武将をここまで魅力的に描けるのは流石です。
- 歴史の解説が非常にポップで分かりやすく、馴染みのない時代の話なのにスラスラと読めてしまう。時行の、時折見せる「逃げ」に対する異様な執着や悦びが、不気味ながらも格好良く、目が離せません。
- 足利尊氏の圧倒的なラスボス感がすごい。神仏を味方につけたような不気味な強さが、作品の緊迫感を高めています。そんな強者に、ただ「逃げ延びること」で抗うという構成にカタルシスを感じます。
- 松井先生特有のシュールなギャグと、シリアスな歴史ドラマのバランスが絶妙。時時挿入されるグロテスクな描写も、戦乱の世の非情さを際立たせていて、深みのあるエンターテインメントになっています。
- とにかく時行のキャラが可愛い!それでいて、いざという時の覚悟や冷静な判断力に惚れ直します。周囲を固める「逃若党」の面々も個性が強く、チーム戦としての面白さも非常に高いです。
悪い所
- 松井先生独特のシュールな演出や、時々挿入される現代的なメタギャグが、歴史ものの重厚な風格を期待していた読者には少し「ノリが軽すぎる」と感じられてしまう場面があるかもしれません。好みが分かれるセンスです。
- 作品の性質上、戦時中の凄惨な処刑や拷問の描写がかなり具体的に描かれることがあり、そうしたグロテスクな表現に耐性がない人には、読んでいてかなりきついと感じるシーンも少なくありません。
- 時行の「逃げて興奮する」という性癖的な設定が少し特殊すぎて、純粋な歴史英雄譚としての共感がしづらい瞬間があった。キャラクターの変態性を楽しめるかどうかで作品への没入度が変わると思います。
- 歴史のifや解釈が大胆なので、厳格な史実至上主義の人からすると、キャラクターの味付けが恣意的に見えて不自然さを感じてしまう箇所もあるかもしれません。あくまでエンタメとして楽しむ必要があります。
- 物語のスケールが大きくなるにつれて、展開がダイジェスト気味に進んでしまうのが少しもったいない!もっと腰を据えて、若君たちが泥臭く戦い抜く個別のエピソードをじっくり読みたかった。



