レビュー著者: 漫画よしあし
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迷宮ブラックカンパニー の感想と評価(良いところ、悪いところ)
迷宮ブラックカンパニー
著者: 安村洋平
連載: MAGCOMI/月刊コミックガーデン
評価: 9.1/10
あらすじ
不労所得で勝ち組ニート生活を謳歌していた青年・二ノ宮キンジは、ある日突然、亜人たちが蠢く異世界へと転送されてしまう。そこで彼を待ち受けていたのは、巨大企業『ライザッハ鉱業』による「命を削って労働せよ」というブラックな労働環境だった。最底辺の『探索労働者』に身を落としながらも、キンジは持ち前の卑劣さと知略、そして異常なまでの労働への執念を武器に、異世界のブラック企業を逆買収し、再び勝ち組に成り上がるための「社畜」生活を開始する。
良い所
- 主人公が全く『正義の味方』ではなく、徹底して自分の利益のために動く『クズ』なのが最高に面白い。そのクズっぷりが、ブラック企業の理不尽をぶち壊していく展開が痛快。
- 労働現場の『あるある』を異世界に落とし込むネーミングセンスに脱帽。労働組合、残業代未払い、パワハラといったテーマを、エンタメとしてこれほど面白く昇華できるのは凄い。
- 安村先生の画力が非常に高く、特にキャラクターの『ゲス顔』のバリエーションが豊富で笑える。一方で、ファンタジーとしての迷宮描写やモンスターのデザインも本格的で隙がない。
- 単なるコメディではなく、資本主義の闇や労働の本質を突くような鋭い視点があり、大人こそ楽しめる内容。キンジの圧倒的な『社畜(を操る)力』には尊敬すら覚える。
- アニメ化もされたが、やはり原作の描き込みの密度とテンポの良さは別格。ニートが労働を通じて(歪んだ形で)成長していく姿は、ある種のカタルシスを感じさせてくれる。
悪い所
- 主人公の行動がかなり非人道的で卑劣な場面が多いため、勧善懲悪や清潔感のある主人公を求める読者には不快に感じられる可能性がある。好みが非常にはっきりと分かれる作品。
- 物語の初期は『労働』ネタがメインだが、話が進むにつれてファンタジー的な規模が大きくなり、初期の泥臭い労働ギャグを期待していた層からは『方向性が変わった』と言われることも。
- 一部のキャラクターの扱いが非常に雑、あるいは残酷な場面がある。ギャグとして処理されてはいるが、デリケートな人は少し注意が必要かもしれない。
- 掲載サイトが移り変わったりしていた影響か、単行本の間隔があく時期があった。連載を追うのが少し大変だったというファンの意見も見受けられる。
- 設定が濃いため、時折入る状況説明や世界観の解説が少し長く感じられる巻がある。もっとスピーディーにキンジの悪巧みを見たい読者にははじれったいかも。




