レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
ダイヤモンドの功罪 の感想と評価(良いところ、悪いところ)

ダイヤモンドの功罪
マークダウンで表示著者: 平井大橋
連載: 週刊ヤングジャンプ
評価: 8.9/10
あらすじ
抜群の運動センスを持ちながらも、自分の才能のせいで周囲の仲間が挫折し傷つくことを恐れ、様々なスポーツを転々としてきた小学5年生の少年・綾瀬川次郎。彼は「みんなと楽しく野球がしたい」という純粋な願いを胸に、弱小少年野球クラブ「足立バンビーズ」の門を叩く。しかし、彼の底知れない圧倒的な才能は、周囲の子供たちに凄まじい劣等感と狂気を与え、チームを崩壊に追い込んでいく。次郎の才能を守ろうと歪んでいく大人たちと、それに抗えない子供たちの痛々しい心理劇。才能そのものが孕む残酷な宿命を描いた青春ヒューマンドラマ!
良い所
- 努力すれば誰もが輝けるという王道のスポ根漫画とは真逆の、才能がもたらす悲劇という新しさに強烈に引き込まれた。他者を踏みにじるつもりは一切ないのに、ただそこにいるだけで崩壊を招く構造が秀逸だ。
- 綾瀬川の才能を巡る、周囲の子供たちの劣等感や、大人たちの歪んだエゴの生々しさが驚くほどリアルに描かれている。親や監督が「この才能のために」と善意の顔で少年を追い詰める描写にゾクゾクした。
- 主人公の綾瀬川次郎が、本当に素直で優しくて他人の痛みに敏感な良い子だからこそ、彼が味わう孤独の対比が辛くもたまらなく魅力的だ。自らの才能ゆえに世界の全てを諦めたような表情に、胸が締め付けられる。
- 毎回のストーリーの引きが本当に巧みで、読む手がどうしても止まらなくなる圧倒的な求心力がある。読んだ後に「才能とは何か」や、親子関係のあり方について私自身深く考えさせられ、強い余韻が残った。
- 単なる技術の勝負や試合の勝ち負けではなく、野球というチームスポーツを題材にした唯一無二の極上心理サスペンスとして楽しんでいる。天才少年のもとに集まる、少年たちのヒリヒリした人間関係が大好きだ。
悪い所
- 誰も悪意を持っていないのに、ただ主人公が野球をするだけで周囲が傷つき離れていくあまりに救いのない鬱展開が続くため、読んでいてかなり心が痛い。爽快感やハッピーなカタルシスを求める私には辛すぎる。
- 投球数制限や戦術といった、ガチのスポ根漫画としての本格的な野球の試合展開や戦術描写は控えめで、心理描写に偏りすぎている気がした。もっと純粋なスポーツの熱いバトルが見たいと不満に思った。
- 連載初期は特に画力の不安定さや、キャラクターのデッサンの崩れが所々で気になってしまった。表情による心理的な演出力や表現力が非常に高いだけに、もう少し作画そのものの安定感が欲しかった。
- 他のあらゆるスポーツでも即座に大人を追い抜くなど、主人公のチート級の身体能力が非現実的で、物語に入り込みにくかった。フィクションの野球漫画とはいえ、さすがに現実離れしすぎているように感じる。
- 次郎を取り囲む大人たちや少年の周囲の人間が皆一様に歪んでおり、極端にドロドロした環境設定に作意を感じて少し冷めてしまった。少年野球クラブなのに、まるで悲劇のために用意された舞台のようで少し疲れる。
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