レビュー著者: 漫画よしあし
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僕らはみんな河合荘 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 宮原先生のセリフ回しの切れ味が抜群で、登場人物たちの会話が本当に自然で面白い。クドい伏線やご都合主義がなく、何気ない日常のやり取りの中から少しずつ感情が動いていくのが上手すぎます。
- 律ちゃんの、本に向ける情熱とコミュニケーションへの不器用さのバランスが愛おしいです。彼女が心を開いた瞬間の小さな変化に気づける読者だけが味わえる、じわじわとした幸福感があります。
- メインの恋愛以外に、下宿の住人たちのキャラクターがどれも濃くて面白い。その変人ぶりが物語を飽きさせない役割を果たすと同時に、サブキャラクターの恋模様がまた別の深みを持っていて、群像劇としても読み応えがあります。
- 大人になってから読んでも刺さる。青春の良質な部分が丁寧に掬い取られていて、読んでいると自分の高校・大学時代を少し思い出す懐かしさがあります。後味が清々しく、読了後に穏やかな気持ちになれます。
- 最終的な結末への向かい方が非常に誠実。長期連載でキャラクターへの愛着が深まった状態でラストを迎えると、思わず目頭が熱くなる人も多いと思います。完成度の高い、終わり方まで美しい漫画です。
悪い所
- 律ちゃんとの関係進展が本当にゆっくりで、「なんか進んだ?」という感覚で何巻も過ぎてしまうことがあります。スローペースの恋愛を楽しめる忍耐が求められる(あるいはそれが魅力だと感じられる)作品です。
- 住人たちのギャグや騒動がメインになる回では、メインストーリーがほとんど動かないため、恋愛漫画としての本筋を求めている読者には少し消化不良を感じてしまうことも。コメディと純愛の比率は均等ではありません。
- 律ちゃんのキャラクターが特殊すぎるため、彼女への「ありかも」という感情移入に時間がかかる読者も。コミュニケーションの仕方があまりに一般的なそれとかけ離れているので、賛否が分かれるキャラだと思います。
- 河合荘の住人たちの個性が強烈すぎるせいか、主人公の宇佐の影が時々薄くなってしまうのが惜しい!ツッコミ役としては最高だけど、もっと彼自身の内面の葛藤やカッコいい部分を前面に出してほしかった。
- 下宿という限定的な舞台設定で物語が進むため、後半になるにつれてシチュエーション的な閉塞感を感じてしまうことも。新しい場所や展開への広がりを求める読者には、少し窮屈に感じてしまうかもしれません。



