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高校生からプロまで!『10巻以上で完結した』野球漫画おすすめ12選【完結済み】

公開日:2026年08月25日更新日:2026年08月25日

野球漫画を読みたいけれど、途中で止まっている作品に手を出して置いていかれるのはつらいものです。かといって数巻で終わる話では、あの夏まで丸ごと追いかけた読後感は手に入りません。

ここに集めたのは、10巻以上の長さで最後まで描き切った野球漫画12作です。甲子園を追う高校生の三年間もあれば、リトルリーグからメジャーまで駆け抜ける半生もあります。根性で押し切る話だけでなく、配球の読み合いや金の使い道で勝ち筋を組み立てる変わり種も並べました。

良かったところも引っかかったところも、隠さず両方書いています。合わない理由まで先に分かるほうが、結局は選びやすいはずです。

時間がない人向け結論:おすすめTOP3

  1. 1位:タッチ
  2. 2位:H2
  3. 3位:クロスゲーム
目次

選び方のポイント

  1. 1. 高校三年間を追うか、半生ごと追うか

    甲子園を目指す高校野球ものは、三年という区切りがあるぶん最後の夏へ向けて気持ちが乗っていきます。対してリトルリーグからメジャーまで一人の選手の半生を追う大河型は、巻数こそ多いものの読み終えたときの手応えが別物です。まとまった時間が取れるかどうかで決めると外しにくくなります。

  2. 2. 熱血で押す話か、頭で勝つ話か

    泥だらけの練習と根性で勝ち上がる王道もあれば、配球の読み合いや確率、ときには金の使い道まで計算して勝ち筋を組み立てる作品もあります。汗と涙をまっすぐ浴びたい日と、相手を出し抜く痛快さが欲しい日。同じ野球漫画でも、手が伸びる一作はまるで違います。

  3. 3. 結末の畳み方まで見て選ぶ

    完結していても、決着をきれいに描く作品ばかりではありません。勝負の行方を読者に委ねたり、余韻を残したまま幕を下ろしたりする終わり方もあります。そこは好みが大きく分かれるところ。すっきり畳んでほしい人は、各作品の引っかかるところの欄で終盤の評価を先に見ておくといいでしょう。

12作品の比較表

順位作品名ジャンル完結評価
1タッチタッチ少年漫画/青春ラブコメディ/スポーツ完結9.4/10
2H2H2少年漫画/高校野球/スポーツ/青春/ラブコメ完結8.8/10
3クロスゲームクロスゲーム少年マンガ/青春・学園/スポーツ・野球/ラブコメ完結8.6/10
4ドカベンドカベンスポーツ漫画/少年漫画/学園ドラマ/高校野球/青春完結9.1/10
5キャプテンキャプテンスポーツ漫画/少年漫画/野球/青春完結9/10
6MAJORMAJOR少年マンガ/野球/スポーツ/青春完結9/10
7ダイヤのAダイヤのA少年マンガ/野球/スポーツ/青春/学園完結9/10
8ROOKIESROOKIESスポーツ漫画/少年漫画/高校野球/ヤンキー・不良/学園完結8.7/10
9Mr.FULLSWINGMr.FULLSWING少年マンガ/野球/スポーツ/ギャグ・コメディ完結8/10
10ラストイニングラストイニング青年漫画/スポーツ漫画/学園ドラマ/心理戦・頭脳戦/高校野球完結8.9/10
11砂の栄冠砂の栄冠青年漫画/スポーツ漫画/学園ドラマ/高校野球完結8.6/10
12ONE OUTSONE OUTS青年漫画/野球/ギャンブル/心理戦完結8.5/10
1

タッチ

完結

双子の兄弟と幼なじみの少女。ままならない想いと白球が交差する、青春漫画の原点

タッチ
作者
あだち充
掲載誌
週刊少年サンデー
ジャンル
少年漫画/青春ラブコメディ/スポーツ
完結
完結
評価
9.4/10

良い点

結末を覚えているのに、決勝の延長戦になるとやっぱり落ち着かない気持ちで読んでしまう。マウンドに立つ投手も、そこからナインへ指示を飛ばす女房役も格好いい。二人の近づいては離れるもどかしい距離にはいつまでもキュンとさせられるし、はぐらかしてばかりの会話にふいにど真ん中の直球みたいな一言が混じる落差にもやられる。台詞のないページの使い方がうまく、泣いた事実を本人ではなく見ていた側の一言で伝えたり、両親の心ここにあらずの表情だけで喪の空気を出したりする。盛り上げずに引き算で描くから、大人になって読み返すとぼろぼろ泣いてしまう。

気になる点

兄を想っているのは伝わるのに、弟に気があるようにも見える思わせぶりな態度が最後まで崩れない。女性の目から見ると男の頭の中で作られた理想の女の子そのものに映り、男の前だけ態度が変わるあたりも何度か引っかかる。盛り上げるために都合よく転がる展開も目につき、予定調和だなと感じる場面がある。終盤に出てくる監督が竹刀で追い込む特訓も、理屈をつけたところで理不尽なまま。最後まで投げると思っていた控え投手の退場があっさりしていたり、強敵との試合が引き分けで終わったりと、置いていかれた気分の残る運びもある。

こんな人におすすめ

白球を追う熱さと、言えないままの初恋のもどかしさを、どちらも手加減なしで味わいたい人

こんな人には不向き

思わせぶりに見えるヒロインの言動が気になりだすと、そこから物語に入りづらくなる人

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2

H2

完結

野球と恋、二人のヒーローと二人のヒロインが交わる高校三年間の青春譚

H2
作者
あだち充
掲載誌
週刊少年サンデー
ジャンル
少年漫画/高校野球/スポーツ/青春/ラブコメ
完結
完結
評価
8.8/10

良い点

野球部すらない学校で愛好会から始める立ち上げのわくわく感がたまらない。わき役の一人ひとりにちゃんと見せ場があり、正捕手の人の良さや、目立つことしか頭になかった一番打者が疲れきったエースを休ませるためにマウンドへ上がる場面で泣かされる。春も夏も甲子園をきちんと描くから、エースと強打者がぶつかるたびに背負うものが重くなっていく。セリフを削り、表情も大げさにしないまま登場人物の抱えているものを伝える間の取り方はさすがで、読み返すたびに拾えるものが増える。悪役にすら、なぜそうなったのかという過去が用意されている。

気になる点

あれだけ引っ張っておいて、決勝の行方は読者の想像にお任せという幕引き。投げっぱなしに見える結末を受け入れられず、集めた単行本を手放した人もいる。主人公が幼なじみへの未練を引きずる場面ばかりで、期待していたときめきはほとんどない。断ち切れないまま相手の家へ通う姿には呆れに近い気持ちしか湧かず、完璧すぎるヒロインが二人の男を振り回しているように見える四角関係にも気分が下がる。終盤は宿命の対決ばかりが描かれ、支えてきたマネージャーが蚊帳の外に置かれるのも引っかかる。作者の他作品と人物の顔立ちが似ていて、読みながら見分けに困る場面もある。

こんな人におすすめ

野球の熱さと淡い恋が半々で進む青春ものを、腰を据えて最初からじっくり味わいたい人

こんな人には不向き

恋の行方にはっきり決着がつかないと落ち着かず、結末を読者に委ねる終わり方が苦手な人

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3

クロスゲーム

完結

亡き幼馴染が見た夢を追って、嫌い合っていた二人がマウンドと本音にたどり着く青春野球漫画

クロスゲーム
作者
あだち充
掲載誌
週刊少年サンデー
ジャンル
少年マンガ/青春・学園/スポーツ・野球/ラブコメ
完結
完結
評価
8.6/10

良い点

あだち充の野球ものを一通り読んだ人が、最後にこれを推したくなる一作。ばらまかれた小さな仕掛けが終盤で一本につながっていく手際が気持ちよく、読み終えてしばらく動けなくなる。言葉にならない気持ちを表情とちょっとした掛け合いだけで伝えてきて、はっきり口にしないまま届く想いを追いかけているうちに何度も胸が詰まる。恋のライバルが物語の邪魔にならず、脇の一人ひとりが互いを引き立てる配置も心地よい。嫌いという言葉だけでここまで好きを描けるのかと唸らされ、言い合いの裏に隠れていた本心がほどける場面ではよかったねと声が出る。

気になる点

最悪の監督と留学生という燃える下地があるのに、そこがまるで盛り上がらない。敵役が敵役として立っていないせいで、倒したときの手応えが薄いまま終わる。高校に上がるまで野球をしてこなかった主人公が実力の底を見せないまま試合に入っていくので、才能だけで勝ち上がる主役像にはどうしても乗り切れない。同じ作者の野球ものと比べると細部の作り込みで見劣りし、投球や打席の場面も淡白。全体にこぢんまりまとまりすぎていて、途中から出てくる子が何のために置かれた役どころなのか最後まで飲み込めず、終盤に後味の悪さが残る。

こんな人におすすめ

言葉にしない気持ちのやりとりが好きで、間や表情で語る恋の描き方にじっくり浸りたい人

こんな人には不向き

敵チームや競争相手まで濃く描かれていないと物足りず、手強い相手との緊張感を求める人

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4

ドカベン

完結

弁当箱がトレードマークの巨漢捕手が、クセの強い仲間と甲子園を駆け上がる青春野球漫画。

ドカベン
作者
水島新司
掲載誌
週刊少年チャンピオン
ジャンル
スポーツ漫画/少年漫画/学園ドラマ/高校野球/青春
完結
完結
評価
9.1/10

良い点

魔球で片づける野球漫画に飽きた人ほど、打者が配球を読み合う駆け引きの新しさに引き込まれる。誰か一人を抜き出しても別の漫画の主役が務まるほど濃い面々がぶつかり合うので、試合の中身を覚えていても何度でも読み返せる。暴れん坊が引っかき回すたび、気の優しい巨漢が渋々腰を上げる噛み合わないコンビが話を前へ押し出していく。笑いの多い作品なのに、負けられない相手との死闘だけは空気が変わり、おちゃらけが消えた緊張感にのまれる。ふいに明かされる家族の事情に気づいてから、一球一球の見え方が変わってくる。延長戦のもつれ方も、読み終えてしばらく忘れられない。

気になる点

野球漫画のつもりで開いたのに、しばらく男たちが泥まみれで組み合う柔道が続く。序盤は喧嘩に警察沙汰、たかりまで出てきて、これは荒っぽい不良ものではないかと疑いたくなる。最初の山を越えるのに骨が折れるうえ、主人公が打つ場面が続きすぎて途中から結果が読めてしまう。乱暴者だったはずの相棒が賢い側に寄っていくのも気になり、初めの頃の勢いを返してほしくなる。監督が代わったあたりからは展開がずっと駆け足で、最後の夏まで描かれずに終わる。積み上げてきた戦いの果てが肩透かしな幕切れで、学校に何かできなかったのかと引っかかったまま呆然とさせられる。

こんな人におすすめ

必殺技で片づける展開よりも、ルールと配球を読み合う駆け引きで勝負が決まる試合を見たい人

こんな人には不向き

最初から試合が始まってほしくて、別競技から始まる長い助走に付き合う気になれない人

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5

キャプテン

完結

魔球も天才もいない中学野球部。四代のキャプテンが泥まみれで受け継ぐ、努力だけの物語!

キャプテン
作者
ちばあきお
掲載誌
月刊少年ジャンプ
ジャンル
スポーツ漫画/少年漫画/野球/青春
完結
完結
評価
9/10

良い点

魔球も超人プレイも出てこない。どこにでもいる中学生が泥だらけで練習するだけなのに、主将が誰にも見せずに積み上げた影の努力の場面は何度読んでも目が熱くなる。主将が代替わりしていく作りも面白く、四人で引っ張り方がまるで違うから、同じチームなのに毎回別の物語が始まる。負けて悔しがってまた練習する、その繰り返しだけで進む等身大のスポ根が刺さる。絵はあっさりしているのに、一コマ止めると選手の体つきも動きの速さも線から伝わってきて、削りきったシンプルさに驚かされる。読み終えると寂しくなるほどで、かっこ悪い姿ばかりなのに、そのかっこ悪さがまぶしい。

気になる点

三代目の代に入ったあたりから絵の線が荒れ、コマのつながりも雑になる。気持ちの積み重ねが飛ばされていて、途中で別の漫画になったような戸惑いが残る。中学生が夜中まで走らされる場面が続くところは、今の感覚だとブラック部活そのものにしか見えず、力尽きるまで追い込む描き方に乗れない。ピッチャーの立つ盛り土がなかったり、走者が動き出すと塁の間がやけに縮んだりと、公式戦なのに草野球の空気が漂うのも惜しい。四代目に入ると初期の顔ぶれがほとんど消え、終盤は大会の途中でふっと話が途切れて幕引きらしい幕引きがないまま終わる。

こんな人におすすめ

魔球も超人的なプレーも出てこない、地道な練習の積み上げだけで前に進む野球の話を読みたい人

こんな人には不向き

必殺技や派手な決め球で試合が一気にひっくり返る展開を求めて、スポーツ漫画を手に取る人

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6

MAJOR

完結

亡き父への想いを胸に、数々の絶望的な困難を乗り越えメジャーリーグを目指す野球大河ドラマ。

MAJOR
作者
満田拓也
掲載誌
週刊少年サンデー
ジャンル
少年マンガ/野球/スポーツ/青春
完結
完結
評価
9/10

良い点

幼稚園の頃からメジャーリーガーになるまでの半生を追う、スポーツ漫画でもめったにない壮大なスケールに引き込まれる。右肩の故障のような絶望的な困難が次々と襲いかかるのに、何度でも立ち上がる主人公の姿に胸が熱くなる。ライバルとの切磋琢磨や家族との深い絆まで描かれていて、スポーツの枠を超えた人間ドラマとして読める。どんな強敵にも真っ直ぐぶつかっていく投球が格好よく、辛い時に読み返して力をもらう人生のバイブルにしている読者もいる。子供の頃から夢中で追いかけた人ほど、全巻読み終えたときの達成感は他では味わえない。

気になる点

怪我や不幸、理不尽なトラブルがあまりにも多く連続するので、読んでいて主人公が可哀想になってくる。重たい展開が続く時期は精神的に疲れて、読むのに体力がいる。主人公の実力がずば抜けているぶんチームメイトとの差が開きすぎていて、ワンマンチームで勝ち進む流れにリアリティを感じにくい。七十八巻という長編なので、マイナーリーグ編のあたりでは中だるみもあり、もっとテンポよく本場での活躍を見たかった。自己中心的な振る舞いにイライラする瞬間も何度かあり、怪我を押してまで投げる根性論の描写は、今のスポーツの価値観からすると少し危なっかしく映る。

こんな人におすすめ

幼稚園からメジャーリーガーになるまでの半生を追う、スポーツ漫画でもめったにない壮大なスケールに圧倒される人

こんな人には不向き

主人公に降りかかる怪我や不幸の連続が多すぎて、読んでいて主人公が可哀想になる人

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7

ダイヤのA

完結

名門校でエースを目指す沢村栄純の、努力と成長を描く王道野球漫画の最高峰!

ダイヤのA
作者
寺嶋裕二
掲載誌
週刊少年マガジン
ジャンル
少年マンガ/野球/スポーツ/青春/学園
完結
完結
評価
9/10

良い点

特殊能力も魔球も出てこない。ひたすら練習で伸びていく泥臭さが清々しく、ライバル校の選手まで応援したくなるのがこの作品のいちばんの強み。主人公がイップスでもがき、折れて、また立ち上がるまでの道のりが長いぶん、エースナンバーを勝ち取る瞬間の感動がとんでもない。天才捕手との衝突を重ねながら、それでも一緒に最高の一球を作り上げようとする関係の描き方もうまい。暴言も体罰もなく補欠のケアまで考える監督像もいい。三年生が負けたあとの祝勝会では、誰も手をつけない食べ物と引退した先輩の涙が刺さり、試合に出られなかった三年生の悔しさまで丁寧に拾ってくれる。

気になる点

試合展開がとにかく遅い。一球ごとに心理描写が入るので一打席が終わるまでに何週もかかり、単行本でまとめ読みしないと全体の流れが見えない。主人公が不遇な期間も長く、イップスになったり練習に参加できなかったりが続くあいだ、同期の天才右腕ばかりがスポットを浴びてストレスが溜まる。三年生が引退したあとの新チームは推進力がガクッと落ち、しばらく読むのがきつい。登場人物が多すぎて名前を追うのも大変で、寮生活や日常のパートを中だるみに感じる場面もある。長く描いてきた相手との甲子園での決着がないまま閉じる最終回は、16年続いた連載のラストとして納得しづらい。

こんな人におすすめ

補欠争いや投手同士のプライドまで丁寧に描く、リアルな高校野球の圧倒的な熱さに痺れたい人

こんな人には不向き

ひとつの試合に何巻もかけてじっくり描く、進行の遅さに焦れったさを感じてしまいやすい人

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8

ROOKIES

完結

荒れ果てた野球部に赴任した熱血教師と、不良たちが甲子園を追いかける青春野球ドラマ!

ROOKIES
作者
森田まさのり
掲載誌
週刊少年ジャンプ
ジャンル
スポーツ漫画/少年漫画/高校野球/ヤンキー・不良/学園
完結
完結
評価
8.7/10

良い点

力でも権威でも押さえつけず、生徒を信じ抜く担任の向き合い方にやられる。熱血教師に不良生徒、廃部寸前の部活という古典的な構図なのに、一人ひとりが生き生きしていて読んでいて楽しい。根性だけで何とかなる話にはせず、練習も研究も怠れば勝てないときちんと描いてくれるのもいい。野球に縁のなさそうな連中ばかりなのに根っこは真面目で熱く、突っぱねていた選手が本音を漏らす場面では涙が出る。主将の一打では鳥肌が立ち、映像化を見たあとでも原作に戻りたくなる。しんどい道のりを見てきたぶん、最後に起きることが奇跡ではなく必然に思えてくる。

気になる点

終盤の展開がとにかく駆け足で、最後の試合の余韻をゆっくり味わえない。危機感を持たせたいのはわかるものの、処分に乱闘、そのうえ主力が三人もけがと追い込み方がいささか強引に見え、選手層の薄さばかりが目につく。暴力沙汰が得意でないと、殴り合いの場面が続くところはつらい。先生と生徒の関わり方も問題の片づけ方もさすがに現実離れして見え、試合の描写が細かすぎてテンポが落ちる場面もある。同じ作者の前作と比べると、野球が主役になってからヤンキー漫画としての濃さが薄れて物足りない。先生の熱血ぶりも突っ走りすぎに思えるときがある。

こんな人におすすめ

荒れた運動部が一から立て直されていく熱血スポーツものが好きで、王道の流れに素直に燃えられる人

こんな人には不向き

けんかや殴り合いの場面が苦手で、荒っぽい描写が続くと気持ちがしんどくなってしまう人

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9

Mr.FULLSWING

完結

未経験のパワフルバカが名門野球部で大暴れ!笑いと熱血の超人野球バトルが開幕!

Mr.FULLSWING
作者
鈴木信也
掲載誌
週刊少年マガジン
ジャンル
少年マンガ/野球/スポーツ/ギャグ・コメディ
完結
完結
評価
8/10

良い点

下ネタ全開の爆笑パートから試合の激アツな展開へ切り替わる、ギャグとシリアスの落差が最高。ド派手な必殺技に中二心をくすぐられ、野球の枠を超えたバトル漫画のようなわくわく感がたまらない。ただのバカかと思っていた主人公が、仲間のために魂を削って戦う姿を見せてくるので、成長のたびに号泣させられる。必殺技の名前や構図のセンスも抜群で、超人野球という独自の世界観として成り立っている。シュールなパロディやメタ発言に笑いながら、最後はスポーツの爽快感で満たされる。個性豊かな仲間たちの絆を見ていると、明日も頑張る元気が湧いてくる。

気になる点

下ネタや強引なギャグのノリが合わないと、かなりしんどい。試合の緊迫した場面で急にふざけだすので物語に集中できず、人を選ぶ作風だとはっきり感じる。野球漫画としてのリアリティを求めて読むと、物理法則を無視した超人バトルに冷めてしまい、もはや野球である必要がない気がしてくる。キャラクターが多すぎて後半は名前を追うのが大変で、掘り下げが足りないまま新キャラが出てくることもある。終盤は選抜大会からの展開が早すぎてお気に入りの決着が消化不良のまま終わり、当時の流行りネタは元ネタが分からないと笑えないので人にすすめにくい。

こんな人におすすめ

爆笑ギャグからド激アツ展開への落差が最高で、一気に笑って泣ける野球漫画が読みたい人

こんな人には不向き

試合中でも全開の下ネタや強引なギャグが続くと、どうしてもノリに乗り切れなくなってしまう人

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10

ラストイニング

完結

廃部寸前の野球部を、元インチキセールスマンの監督が知略だけで甲子園へ押し上げる

ラストイニング
作者
中原裕/神尾龍
掲載誌
ビッグコミックスピリッツ
ジャンル
青年漫画/スポーツ漫画/学園ドラマ/心理戦・頭脳戦/高校野球
完結
完結
評価
8.9/10

良い点

一球ずつの配球に理屈が通っていて、ここまで細かく描いた野球漫画はなかなかない。選手ではなく監督の目で進んでいく試合運びが面白く、若くて口が達者でキレ者の主人公が想像もつかない方向へ話を転がしていく。野球のルールをろくに知らなくても、頭脳ゲームと呼ばれる意味がすんなり飲み込める。根性論や悲痛さから離れてエンタメに振り切った作りなので、気楽に読み進められるのもいい。性格を見てやる気の出し方を変えていく人の動かし方は、会社で人を預かる立場の人ほど学ぶところが多い。青春や正々堂々といった大人の押しつけを、理屈だけで黙らせていく痛快さもある。

気になる点

県予選までの読み合いの密度が高すぎて、そこから先の後半がどうしても薄く感じる。打線が一部の打者頼みのまま進む場面も多く、中軸以外の野手にもう少し出番があればチーム全体で勝った手ざわりが強くなったはず。一試合ごとの読み合いは面白いのに、チームが今どういう位置にいるのかが掴めないまま進むので、何度も前に戻って確認するはめになる。試合の外で起きる騒動を扱う流れは盛り上がりに欠け、騒動を起こす側の人物が弱いぶん肩透かしを食らう。まっすぐな青春を期待して開くと、打算だらけの勝ち方が最後まで続くところで裏切られる。

こんな人におすすめ

気合や根性ではなく、読み合いと確率で勝ち筋を組み立てる試合運びをじっくり味わいたい人

こんな人には不向き

汗と涙のまっすぐな青春を求めていて、打算や駆け引きだらけの勝ち方にはどうしても乗れない人

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11

砂の栄冠

完結

託された一千万円を元手に、甲子園を計算ずくで攻め落とす異色の高校野球

砂の栄冠
作者
三田紀房
掲載誌
ヤングマガジン
ジャンル
青年漫画/スポーツ漫画/学園ドラマ/高校野球
完結
完結
評価
8.6/10

良い点

一千万円で甲子園を買いに行くという入り口からして普通じゃない。最初は眉をひそめても、出場から逆算して手を打っていく筋道にすっかりハマってしまう。登場人物がそろって腹の底が黒く、保身しか頭にないダメ監督の立ち回りには笑わされ、読み終えたあとはテレビ中継で監督のしぐさばかり見るようになる。設定はありえないのに分析の中身は妙にリアルで、ノックの積み重ねがどれだけ効くのかを理屈で説明されると、野球をやったことがなくてもうなずくしかない。ごちゃごちゃ考えていた主人公が最後に無心でバットを振る場面には泣かされる。

気になる点

細眉派と太眉派の対立が始まったあたりで、一度読む手が止まる。眉毛の太さで割れる部内抗争が長く続くのがしんどく、早く野球の話へ戻ってこいと何度も思わされる。甲子園での勝ち方を組み立てていく前半が面白かったぶん、後半が普通の野球漫画に寄っていくのは物足りない。名将の看板だけ持った監督の采配が空回りするたびイライラさせられ、足を引っ張る大人を眺め続ける時間も長い。決着の直後にいきなり大会後へ飛ぶ終わり方も、張ってきた伏線の行方が分からないまま幕が下りるのでがっかりする。一千万円の使い道では、吹奏楽部への投資がいちばんもったいない。

こんな人におすすめ

汗と根性で押し切る展開よりも、勝つための段取りを一つずつ積み上げていく過程をじっくり追いかけたい人

こんな人には不向き

まっすぐな汗と涙で押し切ってくれる、王道の熱血スポーツものを読みたくて手に取る人

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12

ONE OUTS

完結

1アウトごとに金が動く契約から始まる、頭脳戦だけで球界をひっくり返す野球漫画

ONE OUTS
作者
甲斐谷忍
掲載誌
ビジネスジャンプ
ジャンル
青年漫画/野球/ギャンブル/心理戦
完結
完結
評価
8.5/10

良い点

対戦相手より、金勘定しか頭にない球団オーナーとの化かし合いのほうが楽しみになってくる。盤外から相手の思惑をひっくり返す運びが小気味よく、他の野球漫画では味わえない変わった読み心地がある。ルールを知り尽くしていないと仕掛けられない罠また罠の連続で、スポーツに縁がなくても仕掛けの理屈がわかるたびにうなってしまう。わざとアウトを取られて試合そのものを無効にするような、やってはいけない側から攻める発想にも驚かされる。ずっと張りつめた話のはずなのに勝負の持っていき方がおかしくて何度も笑えるし、心を病んだ投手が立ち直る回では泣かされる。

気になる点

主人公が冴えているのはいいとして、相手の監督も打者もそろって間抜けに見えてしまう。引っかかる役が最初から決まっている構図が続くうち、駆け引きの緊張がだんだん薄れていく。心理戦と呼ぶより屁理屈の押し合いに近い場面も多く、プロがこんな初歩を知らないのかと言いたくなる詰めの甘さが気になる。アウトごとに報酬が積み上がるはずの契約が話の都合で作り替えられていき、金額の膨らみ方も現実離れしている。真剣に球を追う選手たちが主人公の賢さを引き立てる駒に見えてくるうえ、終わり方も投げっぱなしで宙ぶらりんな気分が残る。

こんな人におすすめ

汗と友情で押し切る青春ものより、頭で相手を出し抜く勝負のほうにわくわくしてしまう人

こんな人には不向き

競技や選手を正面から描く話を求めていて、勝つためなら手段を選ばない主人公が苦手な人

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目的別のおすすめ

よくある質問

紹介している12作品はすべて完結していますか?

はい。ここで取り上げた12作品はどれも最終巻まで刊行されていて、途中で止まる心配なく読み通せます。巻数はいずれも10巻以上あるので、腰を据えて読みたい時期にぴったりです。

野球のルールを知らなくても楽しめますか?

大丈夫です。多くの作品は選手の気持ちや人間関係を軸に進むので、ルールが分からなくても置いていかれません。頭脳戦の作品でも、仕掛けの理屈は作中できちんと説明されます。

長い作品が苦手です。どこから読むといいですか?

まずは高校三年間で区切られる高校野球ものから入るのがおすすめです。最後の夏という終わりが見えているぶん、読むペースを作りやすくなります。半生を追う大河型は、そこで面白さを掴んでからでも遅くありません。

恋愛の要素が苦手でも読めますか?

作品によって配分が違います。恋と部活が半々で進むものもあれば、グラウンドの勝負だけで最後まで押し切るものもあります。恋愛が苦手なら、頭脳戦や監督視点の作品から選ぶと引っかからずに読めます。

実写ドラマや映画を先に見ていても楽しめますか?

楽しめます。映像化された作品でも、原作のほうが登場人物の背景や試合の細かい駆け引きまで描き込まれています。映像で気になった人ほど、原作で拾えるものが多いはずです。

完結していれば結末はすっきりしていますか?

そこは作品ごとに分かれます。最後の一言まで言い切る幕引きもあれば、勝負の行方を読者に預けたまま閉じるものもあります。この記事では各作品の引っかかるところにも触れているので、そこを見てから選んでください。

まとめ

12作品を並べて見えてきたのは、どれも白球より、それを追いかける人間のほうを長く見つめているということです。言えないままの初恋も、何度でも立ち上がる不屈さも、勝つための冷たい計算も、たどり着く先はどうして勝ちたいのかという一点でした。全部きちんと終わっているので、途中で放り出される心配はありません。まずは気になった一作から、最後の一球まで付き合ってみてください。