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最終更新日:

放浪息子 の感想と評価(良いところ、悪いところ)

放浪息子

著者: 志村貴子

連載: 月刊コミックビーム

ジャンル: 青春・学園ジェンダー人間ドラマ日常

評価: 9.1/10

あらすじ

「女の子になりたい男の子」の二鳥修一と、「男の子になりたい女の子」の高槻よしの。小学校の転校先で出会った二人が、周囲には隠しながら互いの『なりたい性別』を共有し、不器用に寄り添い合う青春群像劇。声変わりや体毛、胸の発達といった避けられない二次性徴の肉体的変化への恐怖と葛藤、そして周囲の無理解や偏見にさらされながらも、自らの居場所を模索し続ける。志村貴子が淡く美しい水彩画タッチの圧倒的画力で描く、少年少女の壊れやすく繊細な心理。理想通りにはいかない現実の中で、各々が自分自身の身体と心に折り合いをつけ、一歩を踏み出していくビターで愛おしい成長物語の金字塔!

良い所

  • 私は二次性徴による声変わりや身体の変化に絶望し、周囲の好奇の目に晒されながらも足掻く修一の葛藤に胸が締め付けられた。美化も誇張もしない、当事者のリアルな痛みを丁寧に描く姿勢に拍手を送りたい。
  • 志村先生の淡く透明感のある水彩画風の美しい作画が、思春期の少年少女の壊れそうな心を優しく包み込んでいる。テーマ自体は凄く重いのに、静かでどこかノスタルジックな空気感の中で読めるのが本当に素晴らしい。
  • 最終15巻の結末がとにかく誠実。理想通りにはいかない過酷な現実を受け入れつつも、自分なりの着地点を見出して前を歩き始める二人の姿に号泣した。切ないけれど、これ以上ない最高の大団円だと思う。
  • 千葉さんや佐々ちゃん、安那など、周囲の友達がそれぞれに抱えるドロドロした思春期特有のねじれた感情の描き込みが深い。単なるテーマありきな漫画じゃなく、一級品の群像劇として心が激しく揺さぶられた。
  • 中学生編の修一が女装して、よしの達と文化祭で劇をやる一連のエピソードの瑞々しさと緊迫感が最高に好き。自分の「なりたい姿」を必死に表現しようとするひたむきさに、読んでいて本気で勇気をもらえた。

悪い所

  • 修一たちが直面する周囲からの容赦ない偏見や冷ややかな視線などの現実の厳しさがリアルすぎて、読んでいてかなり息苦しかった。自分の思春期の生きづらさや古傷を抉られるような痛みがあって、正直しんどい。
  • 前半の小学校・中学校編の丁寧なテンポに比べて、高校生編から最終章にかけての時間の流れが早すぎて駆け足に感じてしまった。もっと彼らが大人になっていく日常のグラデーションを、じっくり見守りたかった。
  • 修一やよしの、千葉さんたちの間で誰が誰を好きで誰に嫉妬しているのかという恋愛関係がドロドロに複雑化しすぎて、途中で読んでいて胃が痛くなった。もっと純粋な性自認の悩みだけにフォーカスして欲しかった。
  • 修一たちが自分の「なりたい性別」に悩み、何度も同じような葛藤や自爆を繰り返すじれったい展開に、せっかちな僕は少しイライラしてしまった。リアリティはあるけど、もう少し物語としての爽快な展開が欲しい。
  • よしのが「男の子になりたい」と言いながら、結局は生物学的な女性の肉体を受け入れざるを得ない結末に対して、私的にはどうしても釈然としない寂しさが残った。仕方ないけど、ハッピーエンドを求めていた。

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