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魔法使いの嫁 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
魔法使いの嫁
著者: ヤマザキコレ
連載: MAGCOMI/月刊コミックブレイド/月刊コミックガーデン/コミックグロウル
評価: 9.1/10
あらすじ
生まれつき人ならざるものを見る力を持ち、家族や周囲から疎まれて孤独に生きてきた少女・羽鳥智世は、自暴自棄の末に闇のオークションで自らを商品として差し出す。そこで彼女を高額で落札したのは、骨頭の異形の魔法使いエリアス・エインズワースだった。弟子兼“嫁”として迎えられたチセは、イギリスでの生活の中で魔法を学び、様々な人や異形の存在と出会いながら、自らの過去や心の傷と向き合い成長していく。
良い所
- 緻密で美しい作画と、英国の民話や神話を織り交ぜた世界観が圧倒的で、ページをめくるたびに物語に引き込まれる。
- キャラクターの心情描写が丁寧で、チセとエリアスの関係が少しずつ変化していく過程に胸を打たれた。
- 魔法や異形の存在が登場するファンタジーでありながら、人間の孤独や絆といった普遍的なテーマがしっかり描かれている。
- 背景や小物まで細かく描き込まれており、異国情緒あふれる雰囲気が作品全体を包み込んでいる。
- 一話ごとのエピソードが短編としても完成度が高く、読み返すたびに新しい発見がある。
悪い所
- 物語の進行がゆっくりで、展開を急ぐ読者には冗長に感じる部分があった。
- 専門用語や固有名詞が多く、ファンタジーに慣れていないと理解に時間がかかる。
- チセが自己犠牲的な行動を繰り返すため、読んでいてもどかしさを感じる場面があった。
- エリアスの感情や行動原理が掴みにくく、キャラクターとしての共感が難しいと感じた。
- シリアスな場面と日常的な場面の切り替えが急で、物語のテンポが不安定に感じられることがあった。


