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レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:

不滅のあなたへ の感想と評価(良いところ、悪いところ)

不滅のあなたへ

不滅のあなたへ

著者: 大今良時

連載: 週刊少年マガジン

ジャンル: ファンタジードラマSF

評価: 9.3/10

あらすじ

「それ」は最初、ただの球体だった。やがて苔になり、オオカミになり、少年になり——出会った存在を模倣しながら世界を旅する不死の存在が、「生きること」の意味を学んでいく。大今良時が描く、喪失と出会いを繰り返すことでしか前に進めない圧倒的な命の物語。出会う人間たちが生き、傷つき、死んでいく。その一つ一つが「それ」の、そして読者の心に刻み込まれていく。

良い所

  • 読んでいて本当に辛くなりました。フシが心を開いた人物が次々と去っていき、その度に自分まで胸が締め付けられる。これほど登場人物の死を「自分のこと」として受け取ってしまった作品は他にありません。
  • 大今良時先生の描く「感情の揺れ」が凄まじい。フシが人の温もりを知り、失い、それでもまた誰かと繋がろうとする繰り返しに、生きることの美しさと残酷さをどちらも突きつけられます。
  • 一話ごとに感情が大きく動かされて、読み終えた後に少し呆然としてしまいます。それでも次の話を読まずにいられない。この中毒性は「感動したい」という欲求を正面から満たしてくれる作品ならではです。
  • フシが人間的な感情を少しずつ理解していく過程が、まるで人間の成長を超高速で見ているようで、哲学的な問いを漫画という形で体験させてくれます。読後に「自分はなぜ生きているのか」と考えてしまいました。
  • 序盤の少年のエピソードだけで既に傑作の域に達していると思います。あの数話で涙が出なかった人はいないのではないかと思うほど、繊細な命の描き方に心を掴まれました。

悪い所

  • 精神的に非常に重い作品です。読む人の気力が満ちている時でないと、喪失の連続に押しつぶされてしまうかもしれません。沈んでいる時に読もうとするとさらに落ち込んでしまうので、タイミングを選ぶ作品です。
  • 物語の中盤以降、時間が大きく飛ぶ展開があり、それまでの愛着を持っていたキャラクターたちとの距離が急に生まれてしまって、感情が追いつかない時期がありました。
  • フシが不死であるがゆえに、周囲の人間が次々と年老いたり死んでいくのが作品の性質なのですが、あまりにそれが続くと「また離別か」という慣れが生まれてしまいます。感情の消耗との戦いがある作品です。
  • 後半の展開は前半の静謐さとはかなり異なる方向に進み、初期のシンプルな哲学的テーマが好きだった読者には、スケールが大きくなりすぎたと感じる意見もあります。
  • アニメの評判が高く、そちらから入った場合、原作の独特な絵の質感に慣れるまでに少し時間がかかることがあります。絵の温度や密度が作品の空気感を大きく作っているので、慣れると唯一無二の魅力になります。

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