レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
ひとりでしにたい の感想と評価(良いところ、悪いところ)
ひとりでしにたい
著者: カレー沢薫
連載: モーニング
評価: 8.6/10
あらすじ
生涯独身だった伯母の「孤独死」に衝撃を受けた、35歳・独身の山口鳴海。彼女は、「誰にも迷惑をかけず、ひとりでより良く死ぬ」ために、婚活を捨てて「終活」に全力を注ぐことを決意する。カレー沢薫が贈る、現代社会の不安を笑いに変える終活コメディ。お金、介護、人間関係、および死。現実の厳しさを突きつけられながらも、前向きに「よく生きる」ためのヒントが詰まった、全独身者必読の書!
良い所
- 孤独死や老後資金という重いテーマを、カレー沢先生らしいキレのあるギャグで描いている点が素晴らしい!不安を煽るだけでなく、行政の活用など非常に具体的な対策が学べる「終活の教科書」のような一冊です。
- 「孤独死=悲惨」という固定観念を壊し、「いかに自分らしく最後を迎えるか」を前向きに考えさせてくれます。鳴海が失敗しながらも、現実を直視して一歩踏み出す姿に、同じ不安を抱える自分も勇気をもらえました。
- 世代間やライフスタイルの違いによる衝突、「結婚=安心」という価値観への疑問など、現代社会の葛藤が鋭く描かれています。綺麗事ではない、人間の本音や汚い部分も含めて肯定してくれる作風に、深く救われます。
- 35歳という、将来の不安がリアルに迫ってくる年齢設定が絶妙です。親の介護問題やお墓の話など、避けては通れない問題をシミュレーションする物語は、読む前と後では人生の解像度が確実に変わるほどの力があります。
- コメディタッチでありながら、「よく死ぬことは、よく生きること」という本質的なメッセージが胸に響きます。不安で足が止まっているすべての独身者に、優しく寄り添い、背中を押してくれるような温かい傑作です。
悪い所
- カレー沢先生特有のクセの強い絵柄とノリが、好みの分かれるところだと思います。内容は素晴らしいのですが、独特の絵に馴染めるかどうかで、作品への没入感がかなり変わってしまうのが惜しいポイントです。
- 孤独死や死を真っ向から扱うため、精神的に余裕がない時に読むと心理的な負荷がかなり強いです。現実の厳しさを突きつけられる描写が多いので、癒やしや娯楽を求めている時には少し刺激が強すぎるかもしれません。
- 社会保障や制度の話が非常に詳細で文字量も多いため、漫画として読み進めるには少し疲れてしまうことがありました。情報密度が高すぎて、ストーリーのテンポが損なわれているように感じる場面があったのも事実です。
- 主人公の鳴海が、時折あまりにも悲観的すぎて、読んでいて少しイライラしてしまう瞬間がありました。彼女の不安に共感できるからこそ、もう少し明るい兆しや、ポジティブな展望をもっと早い段階で見たかったです。
- 「終活」というテーマに特化しているため、20代などの若い世代には、まだ自分のこととして捉えるのが難しいかもしれません。ターゲット層が明確な分、万人が同じ熱量で楽しめる作品ではないのかなと感じました。




