レビュー著者: 漫画よしあし
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僕×スター の感想と評価(良いところ、悪いところ)
良い所
- 主人公・昇の、底辺から這い上がろうとする凄まじい執念に、読んでいて全身の血が熱くなりました!王道の爽やかさとは無縁の、泥を啜るような這い上がり方に、本物の「生」の衝撃を強く感じました。
- 肥谷圭介先生の描く、動きのキレとスピード感溢れる画力が凄まじいです。パンチが空気を切り裂く音や、殴られた時の衝撃が画面からダイレクトに伝わってくるような臨場感に、思わず息を呑みました。
- 「スター」という言葉が持つ、残酷なまでの輝きと影を鮮明に描き出している点が素晴らしい。ただ勝つだけでなく、周囲を惹きつけ、かつ破壊していく昇のカリスマ性に、恐怖と同時に強い魅力を感じました。
- 登場する悪役たちの、どうしようもない人間臭さや悲哀が丁寧に描かれているのが良いです。単なる記号的な敵ではなく、彼らもまた必死に生きていることが伝わってくるので、どの対戦も非常に重厚でした。
- 挫折を繰り返しながらも、リングという居場所に執着する泥臭いドラマに何度も涙しました。綺麗事だけではないボクシングの世界の厳しさと、その先にある一瞬の光を追い求める姿に、深い勇気をもらいました。
悪い所
- 独特すぎる絵柄には、正直かなり好みが分かれると思います。特に顔の造形がかなりデフォルメされていて、慣れるまではそのクセの強さに物語への没入を邪魔されてしまう瞬間が何度かありました。
- 物語の構成が第1部と第2部で大きく変わるため、前半のノリが好きだった自分としては、後半の急展開に少し戸惑いを隠せませんでした。もっとじっくりと昇の成長を追いたかったな、という不満が残ります。
- 一部のバイオレンス描写がかなり過激で、読んでいて不快感を感じる場面がありました。裏社会のリアリティを出すためとはいえ、もう少し加減してほしかったなと思う、かなり尖った表現が多い作品です。
- 主人公の視点が定まらない回があり、誰の物語を追っているのか分からなくなることがありました。脇役の描写が深すぎるがゆえに、昇の影が薄くなってしまう時期があったのが、ファンとしては少し寂しかったです。
- 物語の結末について、少し駆け足で終わってしまった印象が拭えません。これだけの熱量で描いてきた物語だっただけに、もっと圧倒的なカタルシスを味わえる大団円を見たかった、というのが正直な感想です。





