レビュー著者: 漫画よしあし
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終末のワルキューレ奇譚 ジャック・ザ・リッパーの事件簿 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
終末のワルキューレ奇譚 ジャック・ザ・リッパーの事件簿
マークダウンで表示連載: 月刊コミックゼノン
評価: 8.5/10
あらすじ
人類史上最悪の殺人鬼・ジャック・ザ・リッパー。だが、霧の都ロンドンの最暗部に実在したのは、その名を騙って『真の悪』を狩り続ける、紳士的で冷徹な一人のダークヒーローだった!『終末のワルキューレ』屈指の人気闘士の生前を、美麗な筆致で描き出す公式スピンオフ第2弾。マザーグースや王立竜騎兵団といったアングラ組織との、ワイヤーや騙し討ちを駆使した極限の知略・暗殺バトル。おちゃらけた態度と、裏腹に宿る圧倒的な殺意。三騎将やフォグとの死闘を経て、彼がなぜ『死の芸術家』と呼ばれるようになったのか、その驚愕の真実を暴く驚天動地のサスペンスアクション!
良い所
- 俺、ジャックの紳士的な美しい佇まいと、冷酷に悪人を解体していく「死の芸術家」としての狂気のギャップにシビれまくった。悪を以て悪を制する、彼のダークヒーローっぷりがとにかく格好いい。
- 実はおぞましい殺人鬼「本物のジャック・ザ・リッパー」を殺し、その名を騙ってロンドンの真の悪党(マザーグース等)を狩っていたという大胆な裏設定に脱帽。本編の彼がもっと深く大好きになった。
- 真っ向勝負ではなく、ワイヤーやナイフ、ハッタリ(欺瞞)を駆使したトリッキーな脳汁ものの暗殺バトルが最高。ロンドンの不気味な路地裏の環境すら武器にする、彼の知略のキレに毎回興奮させられる。
- イイヅカケイタ先生の描く、19世紀ロンドンの退廃的で美しいアングラな街並みや、仕立ての良い衣服の描き込みが素晴らしい。ジャックの端正な顔立ちと、ふと見せる冷たい笑顔がマジで眼福すぎる。
- 10巻のマザーグース・モンクの裏切りと、三騎将カカとフォグの極限の激突は本当に熱かった!これまでの伏線が一気に回収されて、闇社会の覇権を争う大規模なバトルのボルテージが最高潮に達している。
悪い所
- 単行本第3巻以降から、ジャック個人の暗殺劇から「王立竜騎兵団」などの組織同士の大規模なバトルものに作風が激変したのが残念。もっと少人数での不気味なアングラサスペンスを期待していた僕には合わない。
- 組織間の抗争が巨大化しすぎたせいか、ジャック自身の出番が減り、サブキャラ同士の戦闘が何話も続くパートが正直しんどかった。ジャックが知略で悪を狩るエピソードを、もっとメインで読みたかった。
- 本編(アジチカ先生)の持つ脳汁が滲み出るようなおぞましく力強い劇画デッサンに比べると、本作は線が綺麗すぎて少しマイルドに感じる。もっと生々しく血生臭い、狂気的な毒気が欲しかったのが本音。
- 登場人物がみんな超人並みの能力者ばかりで、歴史的なジャック・ザ・リッパーの『ロンドンの連続殺人鬼』という退廃的なリアリティが薄れてしまった。異能バトル漫画としてインフレしすぎなのが少し冷める。
- 「悪を制するダークヒーロー」としてジャックを綺麗に描きすぎている気がして、原作の『人類史上最もおぞましい殺人鬼』としての真の邪悪さが薄れているのが、彼の冷酷なファンとしては少しモヤモヤした。





