レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:
最強!都立あおい坂高校野球部 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
最強!都立あおい坂高校野球部
完結著者: 田中モトユキ
連載: 週刊少年サンデー
評価: 8.4/10
あらすじ
専用グラウンドもない都立高校の野球部から、部員が次々と逃げ出した。残ったのはたった四人、廃部寸前のその場所へ、五人の新入生が現れる。彼らは六年前、予選に敗れて泣きじゃくる恩師へ「甲子園へ連れてってやる」と誓った教え子たちだった。強豪校の誘いをすべて蹴り、わざわざこの弱小校に集まったのだ。左の下手投げから速球を投げ込むエースを軸に、ぎりぎり九人のチームが夏の大会で強豪を食い破っていく。指を痛めたエースが偶然つかんだ浮き上がる球、かつての仲間との意地のぶつかり合い。練習風景で足踏みせず、次から次へと続く試合の連続で息もつかせない。六年越しの約束を果たすために九人が駆け抜けた、ひと夏の快進撃!
この作品が載っている特集
読む前に確認したい相性
向いている人
- 練習の描写より試合をたっぷり読みたくて、ページの大半が勝負の場面で埋まっている熱い野球漫画を探している人
- 見下されていたチームが強豪を食い破っていく、下馬評をひっくり返す痛快さに胸が高鳴る人
- 恩師との約束のために仲間が集まるという、まっすぐな青春の熱さを照れずに楽しめる人
向いていない人
- 実際の野球に近い戦い方や采配を求めていて、理屈より勢いが先に立つ展開だと冷めてしまう人
- 超人じみた球や根性技が出てくると白けてしまい、地に足のついた競技の描写だけを読みたい人
- 危なげなく勝ち上がっていく話よりも、負けや行きづまりを腰を据えて描く物語をじっくり味わいたい人
良い感想・レビュー
- 読み始めてすぐ驚いたのが、とにかく試合の場面ばかりで寄り道がないところです。練習風景を長々と見せず、いきなり打席と投球で押してくる。野球漫画のおいしいところだけ食べさせてもらった気分でした。
- 僕が好きなのは敵校の描き方だ。どの学校にも飛び抜けた選手が一人か二人しかいないという加減で、勝ち上がる一勝の重みがちゃんと残る。派手さより手触りを選んだ作りに唸らされた。
- 二塁を守る子が夏を最後に野球をやめると決まっていて、全員で戦えるのはこの一年だけ。期限つきのチームだと分かった上で見る試合は、点差以上にひりつきます。一年限りという縛りがよく効いています。
- 勝つために必要なのは技術だけではない、と丁寧に描き出す姿勢に引き込まれた。押しつぶされそうな重圧との付き合い方、壊れかけた体の守り方。勝負の外側にある苦労まで拾い上げる視点に、何度もうなずかされた。
- 一年生だけで全国に挑むという無茶を、ひと夏の大会だけで最後まで描き切ってしまう。中だるみなしで大会をまるごと走り抜ける運び方に驚かされました。当時としては相当に思い切った作りだと思います。
悪い感想・レビュー
- 終盤の采配がどうにも腑に落ちない。同点で迎えた最終回、満塁でカウントが三ボールなのに強く振らせる場面など、普通なら一球待たせるところだ。野球好きほど作戦の粗さが気になる作りだと思う。
- 設定の奇抜さに振り回されました。左の下手投げという珍しさは分かるものの、右打者を並べられたら相当に苦しいはず。見た目の格好よさが理屈より先に来るので、競技をかじった人ほど引っかかると思います。
- 後半になるほど僕の気持ちは離れていった。浮き上がる球が出てきたあたりから根性でバットをへし折るような超人技が増え、高校野球を見ていたはずなのに別の競技を見せられている気分になった。
- 教え子が恩師を助けに来るいい話として始まるのに、そもそも部員を大量に辞めさせたのはその恩師です。美談の土台にある指導の乱暴さが最後まで飲み込めず、応援したいのに素直には乗れませんでした。
- 謎の球だともったいぶっていたのに、いつの間にか普通に名前で呼ばれていて拍子抜けした。都合よく物事が転がるハッピーな野球漫画と割り切れば楽しいが、筋の詰めの甘さは終始ちらつく。










