レビュー著者: 漫画よしあし
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昭和天皇物語 の感想と評価(良いところ、悪いところ)
昭和天皇物語
連載: ビッグコミックオリジナル
評価: 9/10
あらすじ
漫画界の巨匠・能條純一が、半藤一利の監修のもと昭和天皇の幼少期から激動の生涯を描く歴史大河漫画。5歳から始まる宮中での生活、側近・足立孝との交流を通じた人格形成過程、そして戦争へと向かう時代の中で「天皇」という重い立場に苦悩する裕仁の姿が丁寧に綴られる。天皇であるがゆえの栄光と同量の苦慮が随所に描かれており、自由も意見も言えない特殊な境遇の中で実直に生きようとする人間としての姿が胸を打つ。活字では伝わりにくい細やかな表情の演技を漫画ならではの演出で体現しており、近代日本史を学ぶ副読本としても高い評価を得ており、平成・令和世代に昭和を伝える貴重な作品となっている。
良い所
- まさかマンガで読めるとは思わなかった。昭和天皇の幼少期から人格形成の過程が丁寧に描かれていて、天皇という立場の重さと孤独が伝わってきて深く胸を打たれた。歴史の教科書より心に入ってくる。
- 活字本では伝わらないマンガ独自の演出がとても良かった。昭和天皇の青年期の話が勉強になるだけでなく、人間としての裕仁の姿が丁寧に描かれていて読んでいるうちに感情移入してしまった。
- 天皇であるがゆえの栄光と同量の苦慮がそこかしこにある。自由も意見も言えない立場の中で実直に生きようとする姿が輝いていて、読んでいるうちに現代の自分のことを深く考えさせられた。
- 菊のカーテンの向こう側を漫画にしてくれてありがとうという気持ちになった。自由も意見も言えない状況の中で天皇として生きた裕仁の物語が、読む前と読んだ後では昭和という時代の見方が変わった。
- 歴史ものが好きで読んだが、内容の重厚さと絵の丁寧さのバランスが素晴らしかった。NHKでアニメ化してほしいほどの名作で、昭和天皇という存在の大きさを改めて実感させてくれる作品だった。
悪い所
- 節子皇后との関係をもっとじっくり掘り下げて読みたかった。タイトルから期待していた内容と少しずれがあって、期待外れに感じてしまった部分もあったが、歴史物として見ると水準は高いと思う。
- 祭祀についての記述が少ない点が気になった。日本の国体として重要な部分を描かないのは欠落があるとも感じた。歴史漫画として見ると丁寧だが、読む角度によっては物足りなさを覚える部分もある。
- 各巻を読み進めるにつれて昭和天皇の苦悩が続き、読んでいる側もずっしり重い気持ちになってくる。内容の質は高いのだが、感情的にしんどい場面が多くて一気読みするには少し辛かった。
- 歴史漫画として高い完成度だが、絵柄が少し古風に感じる部分もあって、現代漫画に慣れた読者には最初に少し壁を感じるかもしれない。内容を理解する前に絵に慣れる時間が必要だと感じた。
- 史実に基づいた丁寧な描写が続くので、エンターテインメントとして楽しもうとすると展開がゆっくりに感じることがあった。歴史を学ぶ姿勢で読むべき作品であることを事前に理解しておく必要があると思う。




