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レビュー著者: 漫画よしあし
最終更新日:

昭和天皇物語 の感想と評価(良いところ、悪いところ)

昭和天皇物語

著者: 半藤一利能條純一

連載: ビッグコミックオリジナル

ジャンル: 人間ドラマドキュメンタリー歴史・時代劇

評価: 9.1/10

あらすじ

誕生の瞬間から『神』となることを義務づけられ、大国日本の運命を背負わされた一人の少年、裕仁。のちに激動の昭和を生き抜く昭和天皇の、孤独な葛藤と知られざる激動の生涯を、半藤一利の『昭和史』を原作に描く巨編近代大河劇画。二・二六事件、あるいは太平洋戦争への泥沼の開戦。国を愛し、平和を望みながらも、時代の巨大な波と軍部の暴走に抗い切れず、苦悩の涙を流す天皇の生々しい『人間味』。能條純一が放つ、無言の凄みと線の美しさが極限のリアリティを与える。十死零生の特攻作戦が開始される最新18巻まで、日本の運命と戦争の悲劇を淡々と問いかける至高の歴史群像劇!

読む前に確認したい相性

向いている人

  • 重責を背負わされた一人の人間の、壮絶な孤独と葛藤を骨太に描く歴史劇を読みたい人
  • 宮廷や政治の内幕を、緻密でリアルな筆致でじっくり味わいたい人
  • 視線や沈黙だけで時代の重圧を語らせる、台詞に頼らない演出に唸りたい人

向いていない人

  • 戦争の悲劇を美化なしに突きつける重さを、読んでいて受け止めきれない人
  • 歴史の解釈に踏み込む題材を、政治的に身構えず気軽に読みたい人
  • 会議や交渉の描写が多く進行が緩やかな物語を、冗長に感じやすい人

良い感想・レビュー

  1. 俺、生まれた瞬間から神として生きることを強制された、昭和天皇・裕仁の「一人の人間」としての壮絶な孤独と葛藤に魂を射抜かれた。能條先生の描く、一切の感情を殺した静かな表情の説得力が凄まじい。
  2. 宮中某重大事件や二・二六事件、開戦を巡る意思決定プロセスなど、教科書では学べない昭和のドロドロした政治の内幕がリアルで面白い。半藤先生の原作をベースにした一級品の歴史ドキュメンタリーだわ。
  3. 言葉を排し、キャラクターたちの静かな目線や冷や汗、すれ違う沈黙だけで「時代の重圧」を語らせる演出の凄みが素晴らしい。劇画ならではの無骨で息が詰まるような緊張感が、この重厚なテーマに完璧に合致。
  4. 最新18巻でのインパール作戦やフィリピンでの過酷な「特攻作戦」の開始に、胃を痛めながらも苦悩を深める天皇の姿にボロ泣きした。綺麗な美化じゃなく、生々しい歴史の痛みをそのまま伝える覚悟がある名作。
  5. 東條英機や鈴木貫太郎、近衛文麿といった、歴史を動かした軍人や政治家たちを単なる「悪役」にせず、彼らの脆さや人間味まで描いているのが凄い。誰もが自分の正義を抱えて破滅へ向かう、極上の歴史群像劇。

悪い感想・レビュー

  1. 特攻作戦の凄惨さやインパール作戦の餓死など、当時の生々しい戦争の悲劇が一切の美化なしに淡々と描かれる展開が僕には重すぎた。精神的なダメージが大きすぎて、気楽なエンタメを期待すると完全に鬱になる。
  2. 天皇の描き方や戦争の解釈に対して、読者自身の政治的思想や歴史観によって「美化されすぎている」などの賛否が激しく分かれるデリケートな作品。客観的な歴史事実として割り切って読むのには少し覚悟がいる。
  3. 月2回連載のせいか、単行本(最新18巻)が出るスパンが年に1回近く空く遅い刊行ペースがファンとして本当にもどかしい。次の巻が出る頃には、過去の事件や複雑な宮廷の相関関係を完全に忘れている。
  4. 歴史のプロセスを緻密に追うため、政治交渉や会議シーンが多く、ストーリー全体の時間の流れが非常にゆっくりで少しじれったい。大迫力のアクションや、スピーディーなどんどん進む展開を求める人には退屈。
  5. 能條先生特有の、主要キャラの目が笑っていない不気味で特徴的な劇画デッサンが、私には少し不気味で馴染めなかった。登場するおじさん達の顔の描き分けが難しく、名前を思い出すのに苦労する瞬間がある。

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