レビュー著者: 漫画よしあし
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ピアノの森 の感想と評価(良いところ、悪いところ)

ピアノの森

ピアノの森

著者: 一色まこと

連載: モーニング/ヤングマガジンアッパーズ

ジャンル: 音楽ヒューマンドラマ青年マンガ青春

評価: 9.2/10

あらすじ

森に捨てられた、音の出ないはずのピアノ。それを唯一奏でることができる少年・一ノ瀬海(カイ)は、類まれな才能を秘めていた。転校生で努力家の雨宮修平や、かつての天才ピアニスト・阿字野壮介との出会いを通じ、カイは自らの音楽を磨き、世界へと羽ばたいていく。複雑な生い立ちを背負いながらも、ただひたむきに「自分のピアノ」を追い求めるカイの成長と、彼を取り巻く人々の激しくも温かい人間模様。圧倒的な表現力で描かれる演奏シーンは、読む者の魂を揺さぶり、静止画であるはずの紙面から美しい旋律が聴こえてくるかのよう。全26巻で描き切った、クラシック音楽漫画の最高峰として語り継がれる不朽の名作!

良い所

  • 漫画なのに読んでいるとピアノの音が聴こえてくるような圧倒的な画力に驚きました。天才カイの自由な演奏と、それを見守る阿字野先生の師弟愛が本当に素晴らしくて、何度読んでも鳥肌が立ち、涙が溢れてきます。
  • 天才のカイと努力型の秀才である修平、二人の対比が残酷で美しかったです。音楽に対する葛藤や嫉妬を乗り越え、親友でありライバルとして成長していく姿が丁寧に描かれていて、青春群像劇として最高に熱くなれました。
  • ショパン・コンクール編の盛り上がりは凄まじく、一気に全巻読み切ってしまいました!登場人物それぞれに深いドラマがあり、最後の最後に全てが報われる大団円のラストは本当に見事。読後の多幸感が半端ないです。
  • カイの過酷な生い立ちを思うと、彼がピアノを通じて自分の居場所を見つけていく過程に胸が熱くなります。汚い大人の事情に負けず、真っ直ぐに鍵盤に向かうカイの瞳が美しくて、明日を生きる勇気をもらえました。
  • クラシック音楽の奥深さをこの作品で初めて知りました。コンクールでの緊迫感あふれる心理戦がミステリーのようにスリリングで、音楽漫画の枠を超えた面白さがあります。一生大切に読み返したい、不朽の名作です。

悪い所

  • カイが育った『森の端』の環境が想像以上に重くて、水商売や暴力が絡むドロドロとした描写に少し引いてしまいました。純粋にキラキラした音楽漫画だと思って読み始めると、精神的にかなりしんどい部分があります。
  • 雨宮くんのお母さんや一部のライバルたちの言動が、あまりにも身勝手でプライドが高すぎて読んでいてイライラしてしまいました。人間ドラマがリアルな分、嫌なキャラクターの毒気が強くて少しストレスを感じます。
  • 絵柄に少し独特のクセがあるので、最初はなかなか入り込めませんでした。人物の表情の描き方が独特で、読み慣れるまでは違和感があって少し敬遠していましたが、内容は素晴らしいので食わず嫌いしていたのが勿体なかったです。
  • 物語の序盤と終盤でかなりスケールが変わるため、子供時代の素朴な旅立ちが好きだった私には、コンクール編の政治的な駆け引きや大人の事情が少し複雑で退屈に感じる場面がありました。もっと純粋な音を楽しみたいです。
  • 深刻な家庭環境や怪我の問題が、ピアノの才能一つで奇跡的に解決していく展開が、どこか現実味に欠けてご都合主義のように見えてしまう瞬間がありました。漫画的だとは分かっていますが、少し冷めてしまう時があります。

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